児玉雨子のレビュー一覧

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     誰もが何者かになりたがる現代社会に於いて、何者かになろうとするのではなく、何者かであることを辞めることでしか救われない人間を描く。児童ポルノは主題ではない。


     社会や大人に無責任に消費され、名前というアイデンティティを為す術も無く蹂躙された少女達が互いを呼び合った渾名には、それこそ救済を渇仰す...続きを読む
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    ちょっと芸能活動っぽいことをして、それがデジタルタトゥーとして刻まれる人たち、たぶん同世代では少なくない。芸能活動でなくても、ニコニコ動画やYouTubeや配信アプリ。
    "知ってる"話で、"見たことある"光景で、"感じたことのある"感情がこの本の中にはありました。
    加害って、案外ありふれてその辺に転...続きを読む
  • 誰にも奪われたくない/凸撃
    この作品は本当に自分にとって良い作品だった。
    生き辛さを表現する作品は多いけど、この表現の仕方は斬新で面白かった。タイトルがこのように回収されると思わなくて驚いた。

    「1人じゃ生きていけない」の解釈がとても面白い。
    気付いたら1人で生きてなかった。みたいな感じで、自然に他者ありきの自分が成り立って...続きを読む
  • ##NAME##
    うまく言葉にならないけれど、主人公・雪那の抱えている思いがずしっとのしかかってくるような作品だった。
    かつては「ゆき」呼ばれることに抵抗があったのに、大人になり、その名前になるための手続きをする…というラストは、「闇」の中にいた雪那が、「被害者」とひとくくりにされず、美砂乃ちゃんと精一杯頑張っていた...続きを読む
  • ##NAME##
    この作者さんの作品に触れるのが初めてだったのですが、とても良かったです。
    私にはこういう経験がないものの、とてつもなく胸を打たれるものがありました。
    素晴らしい作品をありがとうございました。
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    私も夢女と呼ばれる者の端くれなので、帯の「夢小説」という言葉に惹かれて購入。(読んだのはだいぶ前なので、この感想も記憶が曖昧な中書いているのだけど……)
    具体的にどんな内容なのか想像つかず読んだ記憶があるが、内容は児童ポルノ問題とか毒親要素もあって、なかなか重めだった。
    「あくまで『夢女子』に焦点を...続きを読む
  • 江戸POP道中文字栗毛
    児玉雨子さんによる江戸(近世)文芸の紹介エッセイとリメイク短編小説を収録した本。そういえば江戸(近世)文芸ってあまり話をしている人たちも見ないな…?と思って読んだ。あと単純に児玉雨子さんの『##NAME##』が超よかったので他の著作も読んでみたくて。松尾芭蕉の創作者メンタルや平賀源内の異種ヤンデレ純...続きを読む
  • ##NAME##
    児玉雨子さんは初めて読んだのだけど、好きな作家さんだ。テーマの切り取り方も文体もかなり好みだ
    人の無遠慮さを描くことにためらいがなくて、目をそらしたくなるような言動が主人公にぶつけられて雑な扱われ方をされ、それに慣れていくことにこちらも疲れてくる。そう思った矢先に「傷つくことに疲れてきた」という一文...続きを読む
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    たまたま同級生がジュニアアイドルをやっていたので、どんなものなのかは昔から知っていた。雪那と同じように、情報の授業で同級生が名前を調べて、ひそひそ噂をしていた。その子はキャラクターの問題もあってかいじめのようなものはなかったけれど、やはりなんとなくみんなその話題については触れてはいけないものと認識し...続きを読む
  • ##NAME##
    大人が子どもにさせることは、ちゃんとその子の将来のためになっているのか考えるべき。
    逆に苦しませることになるかもしれない。
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    児玉雨子さんが書く歌詞が大好きで読んでみた。
    雨子さんは私が好きなアイドルの歌詞も書いていて、雨子さんがどんな気持ちでこの小説を書いたのかすごく気になるし、私が好きなアイドル達がこの小説に出てくる子達と同じような思いを抱いているのだろうかと考えると少しは思い当たることがあって辛くなる。
    最近のアイド...続きを読む
  • 誰にも奪われたくない/凸撃
    わたしが初めて児玉雨子さんに触れたのは、アンジュルムの「乙女の逆襲」の歌詞だった。「テレビもなんにも夢さえ見てない、そうゆう世間もあたしを見てない」というちょっと後ろ向きな歌詞を、白いミニドレスで着飾ったアイドルたちに歌わせたMV映像が今でも印象に残っている。この楽曲がリリースされた2015年当時は...続きを読む
  • 江戸POP道中文字栗毛
    意外と面白かったし、新しい言葉も学べた~風来山人の根南志具佐はBL・俳諧はカウンターカルチャーなど近世文化と現代ポップカルチャーには共通点あり~可愛い顔しててプロフィールにアイドルの文字を見つけたのでアイドル活動もしているのかと勘違いしたけど、アイドル向けの30歳の作詞家から教わったのは「糞リアリズ...続きを読む
  • ##NAME##
     かつてジュニアアイドルとして活動していた雪那。芸名が本名だったため、彼女の人生にはいつだってその過去がついて回って。
     漫画家が児童ポルノ所持で逮捕され、雪那が所属していたBL研究会のメンバーの一人は彼女の境遇を現代社会の闇だと断じ、雪那が被害者として声を上げないことを糾弾する。
     でも、雪那にと...続きを読む
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    トークイベントで桜庭一樹さんと共に登壇されてた作家さんの本。

    知らず知らずのうちに傷つけられてしまった女の子の再生の物語…かな?

    夢小説とか、まったく知らなかったな!
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    性的な対象であることそれ自体が雪那を苦しめているというよりは、それに付随する社会からの差別に苦しんでいるという構成だと思った。とは言え、周囲の人間や社会がジュニアアイドルとしての彼女の活動を称賛し、認めていたとすれば、彼女の苦痛が無くなっていたのかと言われればそれもわからない。
    自分はアイドルが好き...続きを読む
  • ##NAME##
    好きな夢的二次創作に名前を入れずに読んでいた、過去に色々な事を経験した女の子が自分の名前を自分で手に入れる話、なのかな。
    憤りももどかしさも分かるけれど、だからこそ言葉にしないと自分の気持ちは理解して貰えなくて、話していないからこそ理解できない相手に突然酷い言動をしてしまうのはどうなの?とは思った。...続きを読む
  • 誰にも奪われたくない/凸撃
    著者の作詞が好きなので、今回この本を手に取りました。
    自分が実生活でうっすらと感じていたことが、所々ではっきりと言語化されている2編でした。
    『凸撃』p.147で宏通が少年に伝えたことは、あまり共感したくはないけれど、確かにそれが人間かもしれないな、と思いました。


    (これは本の感想になのか分かり...続きを読む
  • 誰にも奪われたくない/凸撃
    児玉雨子さん。初読み。と言うか、たぶん一作目。
    主にアイドル系の楽曲の作詞家をしており、なかなかお美しい人。
    若く瑞々しい感性に満ち溢れた短編2編。

    とは言っても、明るい内容ではない。むしろ若さ故の生きづらさを丁寧に描いている、という印象を受けた。
    メッセージの絵文字まで文章で再現しているところに...続きを読む
  • 誰にも奪われたくない/凸撃
    話の構造面白い。極北の描写めちゃくちゃ的確。
    センス溢れる罵倒。笑いながら胸を締め付けられるような当事者感。
    先行する作家もいるような気はするけど、今の今、最先端に居るのではないでしょうか。