原田宗典のレビュー一覧

  • 優しくって少し ばか
    表題作がなかなか独特な文体ながら、じつにこの…あまーくぬるーい、男女の生々しい感じがすごい。明るい外の光を閉ざして薄暗い部屋で貪るむやみやたらな幸福感というか。風邪をひいて部屋で二人、というのがいいんだろうな。
    表題作もよかったけど、個人的には「ポール・ニザンを残して」が一番好きかもしれない。シャレ...続きを読む
  • スバラ式世界
    「本家」「元祖」「スッゴク」など、中島らもの「明るい人生相談」並に間違えて2冊買いをやらかしかねないシリーズの1本目。高校生の時にやらかした失敗談から、バイクにまつわる話など、少々まとまっている。

    ショーモナイ話をそれなりに読ませてしまう原田エッセイではあるが、この本ではまだ荒削りで、「こういうこ...続きを読む
  • 十七歳だった!
    あんなことをした、こんなことをしたっていろいろ書いてあっておもしろかったけど、所詮早稲田に入れる人なんだよな、とちょっとやっかみ(汗)
  • メメント・モリ
    原田宗典と言えば、軽妙な文章で抱腹絶倒のイメージ。それが久々の小説で、タイトルが『メメント・モリ』とくればやはり気になる。人の生死について、虚実とりまぜて語られた本書。死んでいてもおかしくなかった。だけど、生きていてこれからも書いてくれる。それが確認できてよかった。
  • メメント・モリ
    心許ない気持ちになって、だんだん不安になっていく。いつ、すとんっと落ちてしまうかわからないようで。死を想うことから始まり、幼子の健やかさで終わることに、再生を期待させる。
  • はたらく青年
    労働に関わる短編小説かと思って読み始めたら、筆者の大学時代を中心に行ったアルバイトの経験談だった。多くの場合、責任を取る立場にならないような短期アルバイトというのは、いろいろな人生の中におけるネタになるもんで、本書もそれに準じている。

    ガソリンスタンドのバイトから始まり、エロ本の配達まで、なかなか...続きを読む
  • 十七歳だった!
    今で言う厨二病のような、原田少年の高校時代。高い自意識、見栄っぱりな会話、不良少年への憧れ、エッチな本への苦悩。根は真面目な原田少年が精一杯背伸びした青春時代。

    笑ってしまって電車で読めないと聞いて家で読んだが、わたしにとっては電車内でも問題なく読める作品だった。
  • 人の短篇集
    短編集ではあるのですが、実験的なほどに短く、特に印象を持つ前に終わってしまった感じでした。この作家の作品、大学時代によく読んだなぁ。
  • 優しくって少し ばか
    表題作は慣れるとあの文体も味があるように感じられる。表題作以外はどれも結構不気味。そして出てくる男性も女性もほんと愚か。
  • ハラダ発ライ麦畑経由ニューヨーク行

    ライ麦畑が作家に与えた影響とは

    名作「ライ麦畑でつかまえて」の作品の切り口から、ニューヨークの旅行記を綴った作品。
    しかし時の流れで、ライ麦の主人公が歩いた1950年代と、現代のニューヨークでは、あまりにも乖離があり、その試みは難しかったのかもしれない。また、著者が英語を話せない事もあるのだろうが、現地での交流は希薄に思えた。
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  • 東京見聞録
    視点がとても面白い。やはり、書くべくして書いているひとは、普通のひとが思いつかないような、見えていないような、そういうものを書いてしまうのでしょう。早く帰還して、わたしは彼の新たな作品が読みたい。
  • かんがえる人
    村上春樹は、35歳は人生の折り返し、と書いた。これは筆者がその妙齢で書いたエッセイ。“中年の壁”の入り口で、必死に“らしさ”を模索して、日常にカッと目を凝らす、筆者のもがきを感じたり。かるーいテーマのなんだけど、10代のそれとは違うほろ苦な人生の未来を、なんだか予習した気分。内容は右脳編に味わいあり...続きを読む
  • いろはに困惑倶楽部
    読書録「いろはに困惑倶楽部」3

    著者 原田宗典
    出版 角川文庫

    P173より引用
    “ところが時に、我慢してもその先に幸福な新展開がない我慢、
    という何とも厄介な局面を迎えることがある。御褒美のない我慢
    とでも申しましょうか。ただ我慢するだけ、世の中で一番辛いの
    は、正にこれだと僕は思う。”

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  • 東京見聞録
    読書録「東京見聞録」3

    著者 原田宗典
    出版 講談社

    P14より引用
    “つまり東京とは、金を持っているか持っていないかによって、
    目に映る風景がぜーんぜん違う街なのである。”

     コピーライター、小説家、エッセイスト、劇作家と多方面で活
    躍する著者による、東京のヘンで面白い部分を紹介する一冊。
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  • しょうがない人
    読書録「しょうがない人」3

    著者 原田宗典
    出版 集英社

    P18より引用
    “メロンは偉い。
     ごくたまに果物屋の店先などを覗くと、それはいつも少し高い
    場所に飾ってある。”

     コピーライター、小説家、エッセイスト、劇作家と多方面で活
    躍する著者による、普通の人々の日常を描いた短篇集。
     メロン...続きを読む
  • 人の短篇集
    再読。この人がうつになったあたりから作品を読んでいなくて、久しぶりにどうされてるんだろ?とググッてみたら、ダブル不倫だの離婚だの愛人に子供が出来ただの破天荒なエピソードばかりヒットして驚いた。なんだかんだ、いいパパでいい旦那さんぽかったのに。でもこの短編読むとダーク宗典さんはこのときから健在なんだな...続きを読む
  • 27

    27

    現在23歳の私からすると、少し古い言葉使いに感じられたけどそれでも軽く読めてよかった。しかし、あとがきに仰々しく注意書きしてあるが、噴き出すほどではなかった。世代の問題かもしれない。
  • スバラ式世界
    「スバラ式世界」3

    著者 原田宗典
    出版 集英社

    p145より引用
    “何しろタイはバイクに関して免許がいらないのだから、ナナハ
    ンだろうがハーレーだろうがおかまいなしに乗れるのである。”

     コピーライターである著者による、日々の出来事を描いたエッ
    セイ集。
     目の悪いことの悩みについてからバイ...続きを読む
  • 十七歳だった!
    「十七歳だった!」3

    著者 原田宗典
    出版 集英社

    p122より引用
    “ぼくはまあ基本的にはマニュアル文化に対して批判的な立場で
    はあるけれど、「自分をよりカッチョよく見せたい!」という高校
    生の願いまで否定するつもりは毛頭ない。”

     コピーライターである著者による、著者の若かりし頃の体験を
    ...続きを読む
  • 何者でもない
    登場人物は、魅力的に見えたり最低に見えたりで振幅がとても大きかった。とても人間味のあるキャラクターたちだったのだろうと思う。