西村健のレビュー一覧

  • 地の底のヤマ(下)
    2023.02,21
    福岡県大牟田市を舞台にした大河ミステリの力作である。
    まず、大河ドラマの要件となるキャラクターそれぞれの深みがある部分が良い。
    ヒトの弱さ、「オンナ」の生き物としての力強さが描きぬかれている。
    そして、人はヒカッしゃんであれ、主人公であれ、江崎のおっちゃんであれ、「生きている」...続きを読む
  • 激震
    2020年の本作執筆時点から「四半世紀前」となる1995年を振り返っている。作中の出来事は、大半が1995年に起こっている事ということになる。
    本作の中心視点人物、主人公は雑誌等の各種媒体に記事を寄稿するフリーライター、フリー雑誌記者を生業としている男、古毛冴樹(こもさえき)である。本作は一貫してこ...続きを読む
  • 地の底のヤマ(下)
    評価は5.

    内容(BOOKデーターベース)
    三池炭鉱を舞台に描かれた熱き人間ドラマ。地元の警察官・猿渡鉄男は、「名刑事」だった父の死の謎を追い続けていた。時代は、昭和から平成へ。斜陽化する炭鉱の街、必死に生き抜く人々、時代を反映した数奇な事件。すべてが折り重なって解明された、父親殺しの真相とは?第...続きを読む
  • 地の底のヤマ(上)
    評価は5.

    内容(BOOKデーターベース)
    昭和三十八年。福岡県の三池炭鉱で大規模な爆発事故が起きた夜に、一人の警察官が殺された。その息子・猿渡鉄男は、やがて父と同じく地元の警察官となり、事件の行方を追い始める。労働争議や炭塵爆発事故の下、懸命に生きる三池の人々と、「戦後の昭和」ならではの事件を描...続きを読む
  • 残火
    どこかで著者は高倉健さんの熱狂的なファンだと読んだ記憶があるのですが、任侠映画の中の健さんが、2000年代まで生き残ったらこうなるだろうな、という武骨で切れのある男の物語、カッコいいですね。ある種の古さというか、任侠映画を今、見たときに、昭和だなと思う感じを含めて、そういう著者の愛する世界観がそのま...続きを読む
  • 地の底のヤマ(下)
    殆どの人は、心の中に表と裏というものを持っていると思う。表が良くて裏が悪い、ということではない。表とは、他人に見える、或いは見せてもよい自分。そしては裏とは、他人には見えない、或いは見せない、ある意味では本当の自分の心。本書はある警官が多くの人間関係を通して、様々は人々の心の裏に迫っていくという物語...続きを読む
  • 劫火(4) 激突
    いよいよ一同が集まって、テロリスト達とその黒幕相手に戦いを始めます。
    長いわりにあっさりという気もするし、圧巻だったとも思える。
  • 笑い犬
    メガバンクの支店長・芳賀は、ある日突然上層部に裏切られて、刑務所に入れられてしまう。会社をかばって沈黙を守り、精神的に追い詰められた芳賀は、自分も知らないうちに笑っていた。その「笑み」が、卑怯で狡猾な「勝ち組」をおののかせる―刑務所小説と企業人小説と家族小説を、革新的に融合した力作。




    世の...続きを読む
  • 目撃
    え〜、えー、エー!
    しばらくは、背後が気になって仕方がなさそう。
    利用しているつもりが、されていて、幾重にも絡み合う思惑。
  • 東京路線バス 文豪・もののけ巡り旅(小学館新書)
    都バス愛に満ち溢れた都内の小さな旅。ICカードでお手軽な一日乗車券を駆使して作家や小説ゆかりの地を巡る。

    ブログからWeb記事そして単行本となったからか、筆者の作品とは異なり肩の力を抜いた記述が冴え渡る。身近な地、身近な交通機関であってもテーマがあるとこんなにも魅力的な旅になることが、実に新鮮。
  • 地の底のヤマ(下)
    長いなあ
    しかし読みごたえがあった
    舞台となる大牟田は私もよく知る街
    とにかく引き込まれた

    どちらかというと、苦手とする作家である
    西村健は、綿密な取材に基づく細かいディテールの上に、荒唐無稽な物語を乗せる人という印象である
    その事実と虚像が嚙み合っていないと感じてしまうのが常で、感情移入ができな...続きを読む
  • 目撃
    夫 戸田昭伸と離婚調停中の奈津美は検針員の仕事をしているが、殺人事件のあったお宅も訪れていたことから、何者かに監視されているのを感じていた.警察に相談し穂積亮右からアドバイスを受ける.穂積は"見立て屋"と称され、個人行動を黙認されており、彼なりの捜査を続行する.殺人現場の様子から犯人の冷静さを見立て...続きを読む
  • 激震
    97その時代の真っ只中にいた人間としてその時の空気や土地のにおいが蘇ってくるような臨場感がある。災害も厄災もきっと次々に起きるし、またそれに立ち向かい市民もどの時代にも居るということか。最後のサクセスストーリは蛇足でしたね。
  • 激震
    仲間内の「青伝」するのに大蔵の官官接待批判⁈同根じゃないの!起死回生の記事が「ヤクザの救援活動」?震災のどさくさの殺人事件?関心ないだろうと冷めてたら、大どんでん返し。訳も分からず走り回った1995年、確かに色々ありました。デジャブ?
  • 激震
    フリーの記者の目を通して阪神大震災、サリン事件、沖縄少女レイプ事件等を描く社会派小説。一文が短くテンポ良く進むので緊張感もあり一気に読めた。西村氏の文章は好きだけど、終わり方が調子良くて、そこが残念。
  • ヤマの疾風
    教訓は立派だが、ある意味根本的に解釈が違っていると感じるところもあった。ただ、その生き様は友ならどんなことがあろうが助けようとする心意気だ。そこを否定することは出来ない。
  • 地の底のヤマ(上)
    5月-1。4.0点。
    炭鉱の街大牟田の警官。幼馴染みたちや、地元住民との色んな関係を描く。
    70年代の炭鉱での労働争議の中、発生する殺人。
    時代ごとの部構成で、一つずつ事件を解決し、その周囲の移り変わりを描く。
    労働争議の中、警官の父が殺害されたことも追っていく。

    時代背景を丁寧に描写。面白い。下...続きを読む
  • 地の底のヤマ(下)
    5月-2。4.0点。
    現代に向かっていく下巻。大牟田の衰退が顕著に。
    本人も、密漁捜査をしながら、父の殺人事件の真相を追う。
    思ってもみなかった父親の別の貌。

    上下巻で1,400頁と、読み応え有り。
    ラストは救いがあって良かった。面白かった。
  • 地の底のヤマ(下)
    漁業と炭鉱の街を大牟田を体現するのが「ヒカっしゃん」らしい。「ヒカっしゃん」の身体が弱ってきたことと、漁業と炭鉱の街であった大牟田の衰退と重なる。しかし、その中でも次の世代の人たちによる新しい大牟田の息吹も伝わる。
    長大だが読み応えがあり、中だるみせずに最後まで読める。
    しかし、黒煙の向こうに衝撃の...続きを読む
  • 地の底のヤマ(上)
    炭鉱の街、大牟田の現代史。
    炭鉱があるがゆえに集まった人々が、炭鉱だったが故に引き起こされた事件・事故に翻弄される。
    三池炭鉱の大規模爆発事故のさなかに、殺された警察官の息子が、ずっと悪夢の中に見る黒煙。
    すこしづつ、黒煙の向こうで起きた事件が明らかにされていく。
    感想は下巻で。