トーマス・セドラチェクのレビュー一覧
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大野和基 / ポール・クルーグマン / トーマス・フリードマン / デヴィッド・グレーバー / トーマス・セドラチェク / タイラー・コーエン / ルトガー・ブレグマン / ビクター・マイヤー=ショーンベルガー最悪のシステムの中の最善のシステムである、資本主義について、情報技術によってますます加速し、変容をしていく先に何が待っているのか。2019年の断面で7名の経済学者が未来を予測した書
キーワードは以下です。
米中の対立
資本主義の修正と変容
富の再配分
人工知能の発達と普及、そして雇用への影響
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前作がとてもためになったため、本書にも興味を持ち購読。
著者は本書執筆目的として
「経済のシステムにより生じた精神的・実在的な深淵へと読者を案内するため」
と述べている通り、過去と現在の経済動向を心理学や哲学を絡めて解説している。
『予言』をテーマにした項が、コロナ禍に加えて政権の暴走で疲弊する...続きを読むPosted by ブクログ -
経済の思想史というべきものです。
経済学の知見が少なくても理解はできます。でも、経済学の知見があればあるほど、より楽しく読めると思います。但し、著者の考えがすべてとは思いません。
また、一つだけ、コロナ対策で評価の高い権威主義的国家での経済についての記載が少ないように思えました。 -
ヘブライ人の善をなす理由をそれ自体におこうとする思想、これは神という彼岸に現象の理、因果性、意図を求めようとすることによる悩み、矛盾を解決しようという試みが始まり。彼らの悩みは、問の置き方の掛け違いに過ぎぬのではないか?
ギルガメシュは現象の理不尽さを見て、それが善か悪かといった倫理問題に発展するこ...続きを読むPosted by ブクログ -
ピケティさんの資本論が統計学と数学を用いた現代経済の分析なら、本書は哲学と歴史から分析した経済学の再定義であり、どちらも読むと良いと感じた。著者は「欲望の経済史」でも取り上げられていた若き天才セドラチェク。経済学に関する本なのに数式やグラフは一つも出てこない。むしろ、神話、ローマ・ギリシャの哲学者や...続きを読むPosted by ブクログ
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久しぶりの書評です。表面的なテクニックに留まらず「あるべき」という倫理を追求することは、改めて仕事に当てはめる必要があると感じさせられました。
本書は、経済思想は本来、哲学、宗教などと密接に関連し、常に「倫理的な規範」「善と悪」の価値判断と不可分であるが、現代の主流派経済学は分析的アプローチと...続きを読むPosted by ブクログ -
この本は作中にも書かれているように「機械論的・強権的な主流派経済学に対する批判の書」です。つまり、現在の経済学にありがちな数式等を駆使したものではなく、数式で表すことの出来ない倫理、哲学を土台にした経済学の本であると言えます。私自身もこの作者の意見には賛成で、物理学等と違い、経済学は人間の行動を相手...続きを読むPosted by ブクログ
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2017.7昔栗本慎一郎とかはやったけれど、そのあたりの話なのかなあ。いずれにしろ倫理と考え方の話が経済から落ちているのは確かに共感できる。定常状態がもっと見えてもいいのかもしれない。持続可能性とか。まあ面白くよめた。
2017.6 4章まで読んでいったん止めることにした(近代に入る前)。面白いのだ...続きを読むPosted by ブクログ -
現在のウォール街の問題をギルガメッシュの壁から語り起こす経済学についての一大叙事詩です。道具としての経済学はいかに近年のものであり、経済が人間とか社会に向き合う学問である限り、「倫理」からは目を背けてはならない、という熱い想いが一貫されています。「神の見えざる手」の元祖とされているアダム・スミスに対...続きを読むPosted by ブクログ
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ジャレド・ダイアモンド / ブランコ・ミラノヴィッチ / ケイト・レイワース / トーマス・セドラチェク / レベッカ・ヘンダーソン / ミノーシュ・シャフィク / アンドリュー・マカフィー / ジェイソン・W・ムーア / 大野和基未来の資本主義についての識者の見解を集めた書籍。資本主義の問題点、特に格差にについてはいろいろと指摘をされているが、これだけの人たちを集めてもその解決に決定打がないということは、現況を受け入れるしかないのか。Posted by ブクログ
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ジャレド・ダイアモンド / ブランコ・ミラノヴィッチ / ケイト・レイワース / トーマス・セドラチェク / レベッカ・ヘンダーソン / ミノーシュ・シャフィク / アンドリュー・マカフィー / ジェイソン・W・ムーア / 大野和基資本主義に対して各識者が色々な主張をしているが、中には反対するような論説もありそれぞれが論理だっているので難しい問題なのだと再認識。脱物質化で環境問題にも対応できると言っているアンドリューマカフィー氏の章だけハテナがたくさんあった。人類が利用している資源量は近年になって減ってきているという主張だが、...続きを読むPosted by ブクログ
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経済を歴史や倫理、哲学等の観点から深堀りした読み応えのある良書。
現代の数式やお堅い専門用語を並べがちな主流の経済学へ一石を投じる内容になっている。
文章の大半は偉人や古典文学からの引用で構成されており、現代の通説は過去の原則で成立している事を理解させてくれる。
知性は情動の奴隷であり、「見えざ...続きを読むPosted by ブクログ -
大野和基 / ポール・クルーグマン / トーマス・フリードマン / デヴィッド・グレーバー / トーマス・セドラチェク / タイラー・コーエン / ルトガー・ブレグマン / ビクター・マイヤー=ショーンベルガー色んな視点があって面白い。
現代社会を憂えている点では一緒。
個人的には、フリードマン、グレーバー、ブレグマン、ショーンベルガーの思想にかなり共感を覚えた。それぞれの著書を読んで、より詳しく勉強しようと思う。
以下、個人的なメモ(ネタバレ?)
ポール・クルーグマン
富の集中は防がなければならない...続きを読むPosted by ブクログ -
大野和基 / ポール・クルーグマン / トーマス・フリードマン / デヴィッド・グレーバー / トーマス・セドラチェク / タイラー・コーエン / ルトガー・ブレグマン / ビクター・マイヤー=ショーンベルガー面白くて一気に読んでしまった。
当世きっての論客七人を少しずつ楽しめるとは、贅沢な。と思って後書きみたら、一部はNewsPicksでの連載記事だったようで、なるほど納得。うまいわけだ。
あくまでもエッセンスでしかないので、それぞれの著書をしっかり読み込みたい。Posted by ブクログ -
前書は、経済を「善と悪」の視点からその西洋における歴史と成長の要因を検討・分析したが、本書では、現実の経済を人に見立ててその精神分析をしようというものである。本書の内容について著書の中で触れているのでそれを引用してみよう。
「この本は経済を心理学的な視点から見ようという本だ。だから、心理学がするよう...続きを読むPosted by ブクログ -
経済学の本というよりは、経済学の歴史の本と言った方が分かりやすいと思う。
ギルガメシュ叙事詩から聖書、そしてアダム・スミスの「神の見えざる手」理論、そして映画『マトリックス』まで。人類の初めから経済はどのように発展していったかを論じている。
経済のことを詳しく知らなくても、根気があれば読みこな...続きを読むPosted by ブクログ -
チェコ人の経済学者による、経済論。
歴史を紐解き、聖書や古代ギリシア、ローマにおける哲学、倫理学、数学等と経済学との関連を明確にし、善悪を含めた倫理の要素と経済学とに焦点を当て論述している。以前は倫理的要素が経済学でも大きく論じられていたが、現在は経済学と倫理学、哲学とは切り離されている。善悪の観...続きを読むPosted by ブクログ -
前作『善と悪の経済学』では神話や哲学のなかに経済学の原型を思索し経済学が抱え及ぼす問題点、つまり不足の「不足」を生み出すメカニズムを論じていたが、本作ではバビロニア神話に登場するリリスをトリガーとし人間が内包する「業」に焦点をあてる。精神分析分野を主軸にフロイトやユングを多数引用し、ナルシシズムや躁...続きを読むPosted by ブクログ
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無味乾燥で数式とCeteris paribus(他の条件が一定なら...)のオンパレードとなった経済学を、倫理と哲学の視点からRe-buildを諮るユニークな一冊である。
アダム・スミスの代表的著書が『国富論』と並び『道徳哲学論』であることを考えれば当然なのだが経済活動と道徳は呉越同舟である。しか...続きを読むPosted by ブクログ -
西洋人の知の土台を再認識することができる一冊。日本人には当然ではなく、その理解なしに現在の問題を同一の視点で語ることは無理がある。一方で問題を相対化して語ることができる可能性があることは、大きな利点でもある。
経済学の本だと思って本書を手に取った人は、良い意味で期待を裏切られるでしょう。Posted by ブクログ