金子薫のレビュー一覧
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驢馬に跨ってメタ的なファンタジーの世界を旅する双子の姿に、『はてしない物語』の冒険者アトレーユとその愛馬アルタクスを彷彿した。異なるのは「少年と馬」でなく「双子と驢馬」であるということ、それから『はてしない物語』は「読み出す物語」であるのに対して、これは「書き出す物語」であるということだろう。
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彼の想像力が好きだ。
驢馬は驢馬のことを言っているのか、飼育されているのは誰なのか、その寓意性とでも呼ぶべきものが、好きだ。
この物語は、小説を書くことについて語っているのだと思う。
双子が驢馬に跨って親子を助けに来るだろう、という想像。想像は創造され、まず驢馬がU夫妻の元へやって来る。やがて双子が...続きを読むPosted by ブクログ -
極限状態から解放された時、通常では考えられない物事に喜びを感じ取り憑かれてしまう。
洗脳は、この様に行われるのだと分かった。
それにしても蛹の格好をした拘束から解放された時、蝶になる事を夢見るものなのだろうか。
人は理不尽な暴力すら肯定してしまう程、自分のしている事に意味があって、存在する事...続きを読むPosted by ブクログ -
『自由のない檻の中で翔び方を忘れた揚羽蝶』
金属製の蛹から開放されたと思ったら、金属製の蝶を作らされ、意味もなく棒で叩かれる。そんな理不尽で異様な世界を描いた作品。蚕に変えられ工場で働く少女たちを描いたカレン・ラッセル「お国のために糸を繰り」を彷彿させる世界観。Posted by ブクログ -
以前書いたと思った感想が見つからない。
わかんなさが村上春樹っぽくて、寓話っていうとどこを教訓にすればいいのかわかんない。多分双子は後でたどり着いた。たどり着いたに決まってるんだ。Posted by ブクログ -
記憶を失い監禁され続ける父子と、彼らを救出すべく旅を続ける双子と驢馬。双方の視点から語られる不思議な物語。
父子の名が「君子危うきに近寄らず」と「君子」という冒頭からして意表を突かれる。なぜどこに監禁されているのか、自分たちの本名も、さらには本当に親子なのかもわからない。ただ、何の根拠もないのだが...続きを読むPosted by ブクログ -
不思議な世界だな。「君子」「君子危うきに近寄らず」という名前の監禁されている親子を驢馬に乗った双子が助け出そうと旅に出る…というお話。昔話を読んでいるような小さな世界を感じるとともに、驢馬、ラクダが日本の苗字っぽい名前でそのほかの人はイニシャル(例えばSとかW)で、ますます独特の世界。大きな山もなく...続きを読むPosted by ブクログ