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不朽の古典『見聞録』で楽園と謳われた島の架空の港町。新町長の施政下、「鳥打ち」を職業とする三人の青年に、最大の転機が訪れる……文藝賞受賞作家の、自我と自由を巡る飛躍作!
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Posted by ブクログ
これは「境界」についての物語だと思う。 現実と夢、覚醒と眠り、現在と過去、小説と戯曲…。その間に確かにあるはずの境目は、とてもあいまいだ。その境目にはグレーゾーンが存在し、緩やかに一方から一方へと変化してゆく。あるいは、自分が覚醒していると思っていても、別の視点から眺めてみると、それは眠りの中なのか...続きを読むもしれない。一体どこから変わってしまったのか? 架空の町だと思っていたら、そこは「架空の町」という現実の町で、でも、現実だと思っていたら、リュトリュクという夢の中のような地域があり、それでは私は現実にいるのか? それとも夢の中にいるのか? ここは誰かの書いた小説の中なのか? 私が覚醒していることを証明することは出来ない。ここが小説の中ではないと断言することも出来ない。夢の体現であるような美しいアレパティロオオアゲハを守るために鳥を撃ち殺す鳥打ち達も、夜更けには夢の中だ。朝になれば目が覚めるかもしれないし、目が覚めないかもしれない。明日も鳥打ちは鳥打ちであるかどうかは分からない。
圧倒的な世界観。奇妙な状況なのに、生々しい手応えのある3人の心理描写。 私はこの本を読み終えて、時代が変わっていく、また、変えていくときの、人間の物語りだと思った。
円城塔が帯の惹句を書いているというのもあって、なんだか「オブ・ザ・ベースボール」の続編みたいな気分で呼んでいた。 本当の名前もよくわからない架空の町で、威厳も意味も失われて久しい謎の職業に従事する男の話。理屈っぽく、かつ淡々とした語り口。 打ち返す「レスキュー・チーム」の仕事も、打ち落とす「鳥打ち」...続きを読むの仕事も、「空を見て狙いを定める」という時間がその大半を占めるという点ではよく似ている。仰向けか腹這いか、という違いはあるが。 「オブ・ザ・ベースボール」の最後はたしか、打ち返してチームをクビになった男が、「ファウルズ」と呼ばれる町を出るところで終わっている。 それからこの男が辿り着いたのが、この「架空の港町」なのかもしれない。 まあそうすると「沖山」が自ずとこの男ということになってしまって、それはそれで無粋な気もする。 ということは、この物語の最後で歩き出した二人のどちらかがやがて辿り着いた町、それが「ファウルズ」なのかもしれない。 いずれにせよ、この町とあの町は繋がっているような気がしてならない。 この小説はオマージュだったのか、とも思う。 「オブ・ザ・ベースボール」は「キャッチャー・イン・ザ・ライ」のオマージュでもあったわけで。 こうして文学の地図も、次々に繋がって世界を広げていくんだなあ。
「架空の港町」での架空の話。イタリアとかの港町っぽい描写なのに、登場人物は沖山とか日本人名。彼らは美しい蝶を守るための鳥打ちを職業としている。 ちょっと不思議な雰囲気。 ちょっと入り込みにくいけれど、こてこての幻想小説ほど読みにくくもなく、こういう小説もありかも~とは思わせてくれた。
架空の街の架空の不幸 現実ばなれしてるし、本編ではそれどころじゃないのに、巻末に補遺されたレシピは現実においしそう 起こってることの非現実さと登場人物たちのそれに対する行動や考えの現実性、巻末のレシピまで含めて、1冊の中の架空とリアルのさじ加減が絶妙
it like a never ending story. if you're a bird hunter what should you do?
フランス文学のかおりがします(読んだことないけど) 途中の三種類の動物のことが気になって、読み急いでしまいました。 もっと味わって読むべきだったかな ラストのあっさり感は好きです
架空の港町にいきる「鳥打ち」という仕事に就いた男たちの話。ストーリー自体は現実離れしているけれど、現実を思わせるような面白さがあった。何を大切に思い何を守るのか、何が規律でなにが正しいのか。誰が正義なのか。何が美しいのか。余韻の残る読後感で再び読みたくなりそうな作品。
観光資源の蝶を守るために「鳥打ち」という職業についたが、海鳥を吹き矢で殺すことに嫌気がさした若者の物語。メルヘンタッチというか、ちょっと変わった雰囲気のなかで語られる物語。
架空の港町で毒矢で鳥を仕留める鳥打ちという仕事を三人が任されていたが、そのうち一人が10年経って鳥を殺せなくなる。観光源になるであろう蝶を守るため、それを狙う鳥を数多く殺すという世界観に、うっすらとした心地悪さを感じた。
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鳥打ちも夜更けには
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