金子薫のレビュー一覧 アルタッドに捧ぐ 小説家を目指すニート青年が原稿用紙から飛び出してきたトカゲもどき(ファンタジー作品の動物なので実在はしない)の世話をする話。 原稿用紙から実際に飛び出してくるからファンタジーかと思いきやそこから事件が起きたり話が展開したりするわけではなく、主人公もそれを当然として受け止めているのでファンタジーではな...続きを読むい。 持って回った言い回しや凝った文章を書きたい青年の妄想録のような文章は面白かったが、ストーリーがない。 登場人物は自分と創作作品のキャラと元カノだけで、行動範囲は基本的に家の中だけで世界がとても狭く感じた。 創作作品の描写は細かくて情景が浮かぶような文章力はあると思うけど、分かりやすい話が好きな自分には合わなかったな。 Posted by ブクログ アルタッドに捧ぐ 成熟した文章表現と あまりに幼い主人公の思考とのアンバランスさ。 主人公は学生なのだから考え方が幼くても 不思議はないのだけれど、 計算されてのことだとするとすごいな、と。 自分の創作した世界の顕在化は 創作する者にとっては一度は夢見ることだと思う、 それを或る意味で実現させたわけですね。 ”書くこ...続きを読むと”に対する考え方に関してはあまり共感できない、というか、 なんだか十数年前の自分の日記を読み返しているような気恥かしさがあった。 それを踏まえて10~20年後、アルタッドと本間のその後を書いていただきたい。 Posted by ブクログ アルタッドに捧ぐ 今年の文藝賞受賞作。献本企画で頂き、光栄にも 読ませて頂きました。 難解なお話、というのが最初の印象。 読み進めてゆくと、村上春樹さんの 「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」 をどういうわけか思い出しました。 作者様がお好きなのかもと、ふっと考えついたり。 主人公は、何故か物語の中...続きを読むで死んでしまった人物から アルタッドというトカゲを譲られます。 自ら紡ぐ物語の中からやってきたトカゲ。 アルタッドとの、現実か夢のあわいか…と思うような生活。 そういう側面を見れば、これはもちろんファンタジーで。 主人公が小説をものしようといろんな着想や言葉、 世界観を自分の中で形にしようとする経過を見れば これは現代小説で。 まとまった作品世界を生み出すまでの、ふわふわとした 思考の塊を、何をするでもなく捻り続ける、小説家の脳内 を垣間見させることと、作品世界が書き手にとっては、 「紛れも無いもう一つの現実」 だと知らしめるような、言葉の世界から具現化してきた アルタッドとの生活。 異質な二つの世界を、「死」を夢想するということで 繋ぎあわせたのが、この作品です。 このお話を練りながら、作者の金子さんもこういう思考や 心理状態を辿ったのかな、と深読みもしましたし。 二つの側面、どちらかに重点を置いて描いていたら、 もっと分かりやすいお話になったのでしょうね。 アルタッドという同居人を小説世界で自在に動かすために 一見停滞しているような日常の中で考えを尽くす主人公。 振り返れば「現実」にまでやってきてしまったアルタッドとの 日々は、主人公が原稿用紙の上で活写したいことなのだから 愛しくも心和む時間になるのは当然かもしれません。 いいですよ。トカゲ。うん。 実際には主人公、なかなか筆は進まないので その閉塞感が難解さとか、なんとなく作品を覆う 疲労感になっている気がします。 魅力的な世界を生むために、こんなにも閉塞した中で 降りてきたインスピレーションと付き合うのはキツイ…と そんな納得の仕方をさせてもらいました。 これが作者様の現実ではなく、小説だというのだから なおすごい。 実際にこういう経過を辿って作品が 生まれてくるとしたら、本当はもっとシンプルな 掴みどころのない感じなのでしょう。 それを小説にしたら文章がドラマチックになった、という 解釈を私はしました。 書いた経験のない読者には、少々難しい感じがしますが 解りにくいからと放り出さずに、じっくり二度読みがいいかも。 次回作はどんな感じなのでしょう。 意外とガラリと違うものをお書きかもしれないと 何故か思わせる作品でした。 Posted by ブクログ アルタッドに捧ぐ 献本企画で読ませていただきました。うーん、正直言ってなかなか作者の世界に入れませんでした。アルタッドがとても魅力てきなのは伝わりましたが、カタカナや凝った表現が私的には邪魔になって、あまり入り込めませんでした。作者の力は感じましたが。つぎはもう少し気負いない作品でお目にかかりたいです。 Posted by ブクログ アルタッドに捧ぐ 文藝大賞の献本企画でいただいた。 主人公の書く小説の中から出てきた(と表現していいのかどうか?)トカゲのアルタッドとの生活。比喩表現なのか何なのか、非常に不思議で幻想的な雰囲気の小説で、それが夢なのか、現実なのか、生活のスパイスの比喩表現なのか、そもそもファンタジー要素でアルタッド実際にいるんじゃ...続きを読むないかとか、いろんな考えが頭をもたげる。 アルタッドが妙に可愛いし雰囲気は好きだけど、巧みな表現方法が全体に及んでいて、国語の授業中にやった「この比喩表現は何を言っているのでしょうか」という課題をひたすら投げつけられているような気分になって結局の所なんだったのかよく分からないままに読んでいた。 文章に力が入りすぎてやしないか?それか私にはレベルが高過ぎたのか… Posted by ブクログ <<<123・・・・・・・>>>