井上里のレビュー一覧
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投資だとか経済の分野には苦手意識があるし大富豪夫妻の暮らしには興味も(ご縁も)ないけれど、ポリタスの石井千湖さんが紹介するなら、と読み始めてみたらこれがすごくおもしろい。4部構成のひとつひとつ読み進むに連れ視点がずらされじわじわと驚きの展開に引き込まれて一気読み。最後には必ず戻って何ヶ所か読み直した...続きを読むPosted by ブクログ
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書店で手にとって開いてみると、かわいい絵地図が見開きでどーんと目に入ってきて、これは絶対によい本だと思った。わたしのなかで、このような地図が描かれている本はまちがいなくおもしろいという思い込みがある。そして、やはりその思い込みは正しかった。章ごとに植物の素朴で美しい装画とメモを楽しめるのもよいし、装...続きを読むPosted by ブクログ
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なにこれ、面白かったー!よくできてる。タイトルと表紙の写真から、金融実録物?などと勝手に思いながら、その先入観を払い除けられ(それさえも仕掛けの1つだった?)、『絆』面白いけどふうんそれだけ?と思っていると、『我が人生』でどうもそうじゃないな、と妙な心地がしてくる。さらに『追憶の記』で捻られ、どんど...続きを読むPosted by ブクログ
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最後の二章はもう夢中で読んで、読み終わってから、大きな大きなため息が出た…
読みながら、映画「ウインドリバー」のことを思い出していた。
本作もウインドリバーも、先住民がどんな思いで生きてきたか、垣間見ることができる。
ああ、でも、あまりに感情が揺さぶられ、いろんな感情が浮かんで来ては、また別の感...続きを読むPosted by ブクログ -
2人の少女の失踪をきっかけにカムチャッカ半島に住む女性たちの虚しさや悲しみが11カ月に渡って語られる。カムチャッカ半島には本土との陸路はなく、島を出るには飛行機か船という閉鎖的な空間。そして女性の立場の弱さや先住民に対する差別的意識もあり登場する女性たちの生きづらさが伝わる。これから先生活がましにな...続きを読むPosted by ブクログ
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カムチャツカ半島で起きた幼い姉妹の失踪事件。そこから波紋が広がっていくように周囲の女性たちの暮らしが描かれる。みんな何かを消失していて、でも何を失ったのか分からないままずっと何かを探しているよう。日常の中に溶け込んだ悲しみと刺すような痛みが淡々と描かれていて、それが美しいほど涙が出てくる。5月と6月...続きを読むPosted by ブクログ
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読んでるうちにどんどん息苦しくなって一回本を閉じてしまった。女性としての自分に突き刺ささりすぎる内容だった。ラストについては、色んなサイトのレビューを読んで、人によって解釈が違うんだと驚いた。自分と同じ解釈の人もいたけど、まったく違う解釈もあって面白い。
二月のレヴミーラの話が個人的に一番刺さる話だ...続きを読むPosted by ブクログ -
二人の姉妹の誘拐事件から始まるオムニバス形式の物語。
性差別や人種差別、都会と田舎の隔たりなど、誰もが少なからず感じたことのある差別意識や劣等感を
描いた作品です。
友人の勧めで読み始めました。
とても面白いのですがどこか暗く重たい雰囲気でなかなか読み進められませんでしたが、大変面白かったです。 -
「生きてゆく」ということは、
「いくつもの大切なものが失われてゆくのを見届ける」
という、絶望との戦いだ。
あり得たはずの未来が失われ、
見つけられなくなってしまう、
そんな毎日のつらさに抗い、
目を瞑らずに立ち向かう、
究極の強さだ。
それでもどうにか進んでゆく。
それこそが人生だ。
と認識さ...続きを読むPosted by ブクログ -
途中までは登場人物や街の名前、場所を何度も最初のページに戻って確認しながら慎重に読み進める。夏休みから始まった物語は年を越し、お互いに接点のなかった彼女、彼等が少しずつ重なり始めてからのスピード感と驚き。
米国生まれの著者がロシア留学時代に訪れて着想を得たという景色を想像しながら、訳者あとがき、「カ...続きを読むPosted by ブクログ -
2人の子供の誘拐事件からカムチャツカ、ミステリー、ロシア、自然、閉塞感、民族、女性、家族、様々な要素が全体的に静かなトーンで語られていく。少しづつ異なる視点の登場人物が広大な半島の中で少しづつつながり合いながらそれぞれの悩みに向き合いなんとか日々を生き残っていく。単純な幸せなんていうものは誰にも存在...続きを読むPosted by ブクログ
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二人の少女が誘拐事件がバタフライ効果のようにさまざまな女性の生き方に変化を与えます。登場する女性たちは、みんなそれぞれの形で苦しみを抱えています。カムチャッカの豊かでありながらも過酷な環境の描写や女性たちの心的描写がとても丁寧に書かれていると思います。本の手触りがとても良いのでそれも含めて星5つです...続きを読むPosted by ブクログ
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幼い姉妹の失踪から始まる物語。だけどその事件のことはあまり語られず一章ずつ語り手を変えながらその人物の生活、不安、怒り、悲しみが描かれていく。失踪のことは語られないけれど常にその空気は感じられて読み手も不安なまま読み進めていく。その緊張感に圧倒される。何かを、誰かを失うということの痛みや悲しみが迫っ...続きを読むPosted by ブクログ
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幼い姉妹の失踪から始まり、まずはみっしりとした不安感に覆われる。しかし読み進むうちに、それも物語の断片であって、登場人物の誰もが、さびれた極寒の地で閉塞感や失望や喪失感を抱えて生きていることがわかってくる。群像劇から浮かび上がってくる、民族や貧困や女性の現況。
被害者が「消費されやすいことを警戒」...続きを読むPosted by ブクログ -
母親に愛されず、ずっといい子を演じてきたイザベル。本を読むこと、物語を書くことが大好きなのに、ずっとその気持ちを押し殺して生きている。ある時、文学部の学生達と知り合ったことで、忘れかけていた「物語が好き」という気持ちを思い出し、いい子を演じない素の自分を思い出していく。
子どもの頃に好きだったもの...続きを読むPosted by ブクログ -
この物語が書かれたのは1974年らしく、40年近くの時を経て、今、この物語に出会えたことがほとんど奇跡のようで、翻訳してくださったかた、出版してくださった方々へ感謝の気持ちでいっぱいです。Posted by ブクログ
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カエルがおなかを解剖されるみたいに
親に虐待されて傷ついた子どもの心を
丁寧に綿密にほぐしているような小説。
わたしが感じてたのはこういうことだったのか!ってこの本を読んで気づく人も多いのでは。
そうなの。
だからあなたは間違ってなんかいないし
誰の目も気にせず
自由に生きられるのよ。Posted by ブクログ -
ジャングル・ブック、モーグリ編を集めた書籍です。最近複数の出版社からジャングルブックが出ていますが、モーグリの物語を読むのであれば、実質的後日談の番外編である「ラクの物語」が入ったこの文春文庫版が良いのではないかと思います。Posted by ブクログ
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投資で富を得た夫婦の真実とは。
世界恐慌の頃のニューヨークでも男性優位社会だったんだ。
最後の妻の日記が物足りない気がした。Posted by ブクログ -
言い回しや表現が素晴らしかった。訳者によるものか作者によるものか不明だが。
カムチャッカ先住民とロシア人、女性と男性、田舎と都会。排他的な差別が描かれていた。
様々な女性のオムニバスのような形で話が進み、それぞれが抱えている孤独がうまく表現されていた。Posted by ブクログ