津村節子のレビュー一覧

  • 紅梅
    吉村昭が好きで、よく作品を読んでいる。若いころ結核で死を宣告されたも同然の時期があり、吉村昭の死への思いはとても強い。
    その作家の最期はすさまじく、自分で呼吸器を外しての死だった。自分で安楽死した、というと語弊があるかもしれない。
    その光景を見た妻がどう感じていたのか知りたくて購入したのだが、ここに...続きを読む
  • 紅梅
    私が最も愛する作家、吉村昭の最期を妻が綴った手記。壮絶な最期を遂げた吉村昭の生き様が語られる。潔く死ぬというのを選んだ彼らしい最期。
  • 玩具
    「芥川賞の偏差値」を読んで知りました。芥川賞の偏差値の中でも、高い評価が付いていたような記憶がありますが、そんな評価はどうでもよく、これ読むべき小説だと思う。女の機微がほんと秀逸だし、映像的でかっこいいのですよ。黒い十人の女みたいな感じで映画化してくれないかな。音楽は小西康陽先生でお願いします。
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  • 菊日和
    「紅梅」という短編が収録されていますが、吉村昭の最期を書いた話題作とは別物です。紛らわしいなあ。

    友人に、これこれで・・・って表題作の説明をしていたら、意外に作中人物の関係や展開が複雑なことに気付いて。
    友人も「・・・それ、短篇?」って反応でした。

    読んでてボリューム不足という感じはまったくしま...続きを読む
  • 智恵子飛ぶ
    とても吸い込まれる話だった。とてもよかったけど、終盤に近づくにつれ、とても辛かった。
    母に借りたが、出会えてよかった本である。
    扇子をおいていって、という場面が好き。
    吉本隆明の書く、高村光太郎を読んで見たい。

  • 玩具
    いっしょに住んでておたがいにおたがいの気持ちを探りあうようなことはあまりしたくないんだけどついついそうなってしまう男と女にはつきものの。男はたいていそうなると何かに逃げるというかそらすというか。そういう男心をわかりつつも。金魚に逃げられたらそりゃちょっと戸惑う。でも。ほかの女に逃げなきゃたいていそう...続きを読む
  • 紅梅
    この本を読む前、ご主人の吉村昭さんの「冷い夏、熱い夏」を読みました。
    弟の凄絶な癌の闘病や死を書いた吉村さんが、ご本人が癌になった時、どう向き合ったのか知りたくて手に取りました。

    この本は、同じ作家であり、吉村昭さんの妻である津村節子さんの目から見た、吉村さんの癌発覚から最期の様子を記した本です。...続きを読む
  • 紅梅
    まだ身近な人が亡くなったことがないのでグサグサ刺さったわけではないけど最後はザワッときた

    こんな最後の最後まで想ってくれる人がおるなんて幸せやな、吉村さんの本も読んでみたくなった
  • 時の名残り(新潮文庫)
    小説家ってほんまに大変そうで、かっこいいけどなりたいとは思わへん。
    でもネタのためであれ、詳しい話を聞きに行くとか、色んなことやってみることの大切さは最近とても実感した。学ぼうと思わないと学べへんし、学んだことはどんな雑学でも為になるねん。ちょっとズレるけどそんなこと思いながら読んでた。
  • 掌篇歳時記 春夏
    24節気を3等分した72候があることを知って、日本には季節を細かく愛でる文化があったのだと再認識した.その季節感を念頭に置いて、著名な作家が短編を綴るという贅沢な本だが今回は春夏を読んだ.村田喜代子の雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)が面白かった.戦前の裕福な家庭に育った姉妹だが、それぞれにね...続きを読む
  • 掌篇歳時記 春夏
    トップバッターの 瀬戸内先生のが 一番俗っぽかったな と思うほど 瀬戸内先生 相変わらず かわいらしい人を書くんですね ほぼほぼ 幻想的で不思議な短編 ちょっと読むには 分かりにくいものもある 芥川賞作家が多いからでしょうか
  • 三陸の海
    「遍路みち」「紅梅」、夫であり大作家である吉村昭氏追悼の作品、そして「三陸の海」は津村節子さんの吉村文学引き継ぎの作品でしょうか~!2013.11刊行、2015.10文庫化です。二人で東北、北海道を行商した苦しかった新婚時代、芥川賞、直木賞の候補2度、3度の死に物狂いだった頃、そして津村さんが眺める...続きを読む
  • 遍路みち
    遍路みちは、著者の津村節子さんが、夫である吉村昭さんの死に向き合った日々をようやく、亡くなってから3年後に納めた著作である。亡くなるまでの夫婦の想い、亡くなって初めて気づいたことなど、吉村昭ファンとしては、心に残る作品であった。
  • 紅梅
    辛い。
    健康に生きるのは簡単じゃないけど、死ぬのはもっと難しい。ちゃんと向き合いたいけど、そんなこと出来るだろうか。
    津村さんの本を読んで、吉村さんの本を読んでみたくなりました。
  • 紅梅
    吉村昭の最期の様子を新聞で読み、感動したものだが、その病気から臨終の様子を克明に淡々と描写していく。そして、合間合間に二人の作家の過ぎ去りし日々が語られていく。夫婦愛の物語でもあり、戦後を生きてきた夫婦の物語でもある。老境にさしかかりつつるある自分の身を振り返りながら読み進め、ずっしりと胸に響く一冊...続きを読む
  • 玩具
    65年の芥川賞受賞作を含む短編集。
    だいぶ前のですが…昔は女性の受賞者って少ないんですね。
    同人誌に小説を投稿している風変わりな夫に尽くしながら満たされない平凡な若い妻の話。
    妻の嫌いな金魚を飼ったり、何かにとりつかれたように勝手な夫…
    「名短編ここにあり」に掲載されていた吉村昭が作者の実際の夫。
    ...続きを読む
  • 玩具
    なぜそのような男を、という女もいれば、"上手く"やっているような女もおり。思ったより哀愁は少なく、それぞれに違った弱さや逞しさや献身性や利己性があって色合いは様々。面白かった。
  • 掌篇歳時記 春夏
    二十四節気をさらに三等分した七十二候をもとに、年末から夏にかけて、それぞれ人気作家がつづる短編集。
    季節がテーマで、純文学系の作家が中心ということで、その表現を楽しむ小説であることは間違いない。
    でも、その反面、連想で思考があちこちに飛んでしまうので、集中できないのも確か。
    寂聴氏の作品を初めて読ん...続きを読む
  • 三陸の海
    「三陸海岸大津波」からの流れで。かつて上野発の夜行列車で田野畑村に足を運んだことがある者として非常に懐かしい思いで読ませてもらいました。吉村昭氏と村を繋ぐエピソードの一つ一つがとても印象的。80代半ばにしての津村さんの健脚、健筆にも感服しました。
  • 似ない者夫婦
    1928年福井県生まれ、津村節子さん「似ない者夫婦」、2003.3刊行、2013.4文庫。夫婦てんでんばらばらに過ごした10年間のエッセイ集だそうです。私の原点、書斎の窓、日々の感慨、四季の風景、夫婦の時間の5つの章立てで整理されています。