中上健次のレビュー一覧

  • 岬

    レビューを書くのが遅くなってる間に印象は忘れた。

    黄金比の朝
    予備校生の主人公のもとに、大学を追放された左翼学生である兄が転がり込んでくる。友人と兄と三人で喫茶店にいるところに、ちょっと頭のおかしい感じの見知らぬ女が合流する。女は死んだ兄と行方知れずの妹の居所を聞くためにに占い師の女の家を探してい...続きを読む
  • 千年の愉楽
    他の方もおっしゃってるように、どことなくガルシアの『百年の孤独』を想起させるような、題名と内容。
    「高貴で穢れた血」を持つ者の生き死にを、路地唯一の産婆のオリュウノオバが追憶する物語でした。

    半蔵や三好など個々の人物とその淫蕩な人生に焦点を当てつつも、中本の一統の血筋への悲哀と諦念、そしてオリュウ...続きを読む
  • 新装新版 十九歳の地図
    わっけわっからーん。と思いつつ、あれ?これって一度読んだことあるかもしれない。高校ぐらいのとき……でもその時もわけわからんかったと思う。

    中上健次の作品では同じモチーフが容れ物を変えて何度も繰り返されるようだ。
    和歌山の川と海と山に囲まれた町、父親の違う兄妹、どこかからの流れ者、火つけ、兄の自殺、...続きを読む
  • 中上健次
    初めて中上健次氏を知り、著書を読みました。
    和歌山の古座・串本・大島・新宮あたりの
    どろどろとした日本的な村落の風景が感じ取られる
    ような作品。むかし白浜に向かう42号線の風景が
    少し重なる感じを持ちました。
    日本の昔の風俗というか、愛憎や愛欲などが克明に
    多く語られているのですが、少々食傷気味です...続きを読む
  • 新装新版 十九歳の地図
    小説の持つ力、熱、質量、そういったものはものすごく高い。10代や20代の前半に読んでいたら、衝撃たるや今の比ではなかっただろう。ただ、この年齢に達してから読むと、ちょっと取り残されたような、過ぎ去った日々を懐かしむような、妙に老成した気分になってしまった。再読すれば、また印象が変わりそうな気がするが...続きを読む
  • 千年の愉楽
    ものすごく乱暴かつ陳腐に言い表すと、「生」と「性」が濃密に絡み合っている作品。通称「路地」を舞台にした連作短篇集ですが、<各篇が小宇宙、一冊で大宇宙>というより、<各編が大宇宙、一冊で無限大>という感じでしょうか。自分にはスケールが大きすぎて理解できていないことが理解できるので、評価は曖昧な★★★
  • 千年の愉楽
    一人の産婆の視点から見た
    野良猫のように
    生まれ死んでゆく
    路地の男たちの物語。

    短命なのは
    中本の血のせいなのか
    漢ぶりのせいなのか。

    憧れる。

    とりあえず
    短命でも良いので
    彼らのようになりたい。
  • 十九歳のジェイコブ
    正直に言うと表紙につられて買いました。綺麗だもん。音楽好きすぎ、ヤクやりすぎ。音楽を聴いている描写が心地良い。
  • 紀州 木の国・根の国物語
    空疎なスピリチュアルブームなんかで伊勢や熊野に注目するのではなく、
    その土地の空気歴史を感じる姿勢が大事だと思って読んでみた。
    ガイドブックにあるような観光スポットをめぐるだけでは決して分からない、
    そこに住んできた人を知り、その生活を知る、紀州においてそれは部落差別の問題と切り離すことはできない。...続きを読む
  • 千年の愉楽
    中上 健次の描く世界は、日本語が持ち得るエネルギーの塊を熱いまま僕らに見せてくれる。
    男はどこまでも強くそして心細く、路地裏の匂いと音が襲ってくる。
  • 十九歳のジェイコブ
    これを読んで、マイルスの「skeches of spain」とアーチーシェップの「attica blues」を買いました。