・核保有(かくやすあり)は、小柄でおとなしそうな老人であった。
・「僕が武器のコレクションをしているのは、僕が背が低くて腕力がないからですよ」
・「僕は子供の頃、体の大きな子にいつもいじめられました。
いくら逃げても向こうの方が足も速く、体力もあって、すぐ追いつかれてしまう」
・「お前なんで
...続きを読むそんなチビなんだ、悔しかったらかかってこいや、そう言って、暴力を振るうわけです。
そういったときの恐怖と惨めさ、発散できない憎しみは体験した者にしかわかりません。
恐怖と惨めさから逃れるために、自殺を何度考えたことか」
・「そんなある日、僕は例によっていじめっ子にわけもなく馬乗りにされ、殴られ続けてました。
その時、苦し紛れに伸ばした手が石をつかんだのです。
とっさでした。いじめっ子の横面に、つかんだ石をぶつけたのです。
さっきまで威勢の良かったいじめっ子が、実にあっけなくひっくり返ってしまったのです。
それ以来です。僕が武器というものに強く惹かれるようになったのは」
・「僕は気がついたのです。力のない者でも、強力な武器さえ持てば、どんなに強い相手も倒すことができるのだと」
・鎖の先にとげのついた鉄球がついている武器。
・「見てください。見るからに敵の頭をかち割りそうでしょう。僕のお気に入りです」
・「お約束したように、写真を撮るための形式試合ということでお願いします」
「わかってますよ、本気になるとお互い危ないですからね」
・「気を付けてくださいよ、もう少しでぼくに当たるところでしたよ」
「惜しい」「なんですって!?」「惜しいと言ったんだ。貴様の頭をかち割ることができなくてな」
・止められない。近づけば、あの鎖の付いた武器の餌食になる。
・「止めてくれ、あんたは本気でぼくを殺そうとしているみたいだ!!」
「そうとも、この大男め。武器さえ持てば貴様のようなウドの大木など…」
・「止めろというのに止めないなら、こっちも本気になるぞ!」
・「はっ、す、すいません、大丈夫ですか?」
「僕こそ悪いんです。どうも大きな人を見ると、昔のいじめっ子に見えてきて、逆上してしまうんです」
・「パパ、見てて」→鎖の付いた武器を投擲→「おお、そんな使い方もあったのか!」
・核親子は、仲良く話し合いながら、鎖の付いた武器を拾い上げた。