須賀敦子のレビュー一覧
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わりと読む本が偏っている私がいつ、どうやって須賀敦子という作家を知ったのか記憶にないけれど、なんだかとても惹かれて、全集もほぼ買い集めた。何度も読んだわけではないので、これも記憶があやふやだけれど、確か、だんだんと宗教色が強くなってきて、というと聞こえが良くないけれど、信仰という精神、信条にかかる記...続きを読むPosted by ブクログ
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ヨーロッパの最西端と言われるポルトガル領の群島、アソーレス諸島。その近海を泳ぐクジラと島の捕鯨手たちの物語を、虚構混じりの断片から浮かび上がらせていく掌篇集。
再読。何度読んでも美しい本、同じフォーマットを使って自分の好きなものを語りたいと憧れる本だ。史実に即した事柄を語るときにもタブッキは夢を...続きを読むPosted by ブクログ -
虚構と隠喩
仕掛けられた世界を始終彷徨うも
掴めそうで掴めない島・クジラ・女の話
詩的情緒湛える散文は
時間と空間を歪める印象を残す
150頁に満たない物語
思考するほど厚みが増すような
タブッキ…煩雑な出会いPosted by ブクログ -
まえがきからあとがきに至るまで、すべてのテキストが作品の要素となっている詩的な作品集でした。
まず自分はアソーレス諸島がどこにあるのかも分からず、どこか空想の産物のような気がしつつページをめくっていました。世界地図で確認したら、ポルトガルから大西洋へだいぶ行った先にちゃんとあるではないですか。この...続きを読むPosted by ブクログ -
インド夜想曲を読んだあとに読んだ。インド夜想曲のほうが、主人公の目的がある分、全体としての話ははっきりしている。ただ島とクジラと女をめぐる断片のほうが、一つ一つの挿話の質は高かったように思える。
好みの問題ではあるが、私はこちらのほうが面白かった。Posted by ブクログ -
淡々とつづられている文章を読み進むと、何となく泣けてくるような気がする。
文章そのものに鎮静効果があるように感じるのは、少し昔の出来事をあとから整理して書いているからなのかな、と思ったりもする。
コルシア書店、というのは日本によくある町の本屋とは異なり、哲学者や思想家のような人々が集まって議論をする...続きを読むPosted by ブクログ -
かつてミラノの小さな書店に集った仲間たち。
その一人ひとりが、須賀さんの静かで温かな眼差しを通して細やかに描かれている。
須賀さんは彼らをいつも真っ直ぐに見つめ、深い愛情を持って接していたのだろうと思う。
扉のウンベルト・サバの詩がすごく好き。
生きることに疲れてしまった時、そっと寄り添ってくれそ...続きを読むPosted by ブクログ -
少女のような心の瑞々しさと骨太な知性。
美しく編まれた文章に心が洗われる。
合理性は知性のほんの一面でしかない、ということを知っている人の豊かさ。
折に触れて読みたくなる一冊。
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本好きが集うオフ会で須賀敦子の『ミラノ 霧の風景』をいただいたのが昨年の春。以来、この著者の本は「村上春樹翻訳ライブラリー」シリーズと並んで、ワタシの積読棚に常に鎮座することになった。
心が乾いて荒れた時、心が乱れて雑になった時、この著者のエッセイを手にとって、治癒してもらう。美しく繊細でしなやかな...続きを読むPosted by ブクログ -
役に立たない原典探しでたどり着いた本。読んで良かった……。会話文と地の文がひと続きになっているだけでなく虚構と現実もひと続きになっていて、詩情におおいに溢れており、女をめぐる断片とクジラの断片には感嘆させられてしまった。
女は名前以外全て嘘をついていたということは、下男だと言い放ったのも嘘だったの...続きを読むPosted by ブクログ -
どこか距離を置いた視点で描かれる友人たちの個性。最初こそイタリア語の混じった表現に読みにくさを感じたものの、第2章ともなればぐいぐい引き込まれて行く。それは、東京へ帰った著者が、まるで夢か現実か区別のつかない過去に、友人たちという輪郭を描くことによって亡き夫の影を求めて暗中模索あいているかのよう。そ...続きを読むPosted by ブクログ
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須賀敦子さんが『ミラノ 霧の風景』で女流文学賞、講談社エッセイ賞を受賞したのが1991年と知り「なるほど、あの頃か‥」と強烈に思い出した。平成3年。昭和から平成へ変わってまもない頃。
世界では湾岸戦争が起こり日本では雲仙・普賢岳の火砕流で多くの方々が亡くなった年。(個人的事情で忘れられない年でもある...続きを読むPosted by ブクログ