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若々しく大胆な魂と冷徹な現実主義に支えられた時、政治もまた芸術的に美しい。ルネサンスとはそういう時代であった。女たちはその時、政争と戦乱の世を生き延びることが求められた。夫を敵国の人質にとられれば解放を求めて交渉し、生家の男たちの権力闘争に巻き込まれ、また時には籠城戦の指揮もとる──。時代を代表する四人の女の人生を鮮やかに描き出した、塩野文学の出発点。 ※当電子版は新潮文庫『ルネサンスの女たち』を元に制作しています。地図・年表なども含みます。
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Posted by ブクログ
「歴史」とは"男性"の権力者の物語だが、実は激動の時代は意外に女性の権力者が活躍している。日本も幕末の徳川家の和宮や篤姫など。比較してみるとまた別の視点で楽しめる。何度読んでも飽きない。
若々しく大胆な魂と冷徹な現実主義に支えられた時、政治もまた芸術的に美しい。ルネサンスとはそういう時代であった。女たちはその時、政争と戦乱の世を生き延びることが求められた。夫を敵国の人質にとられれば解放を求めて交渉し、生家の男たちの権力闘争に巻き込まれ、また時には籠城戦の指揮もとる――。時代を代表する...続きを読む四人の女の人生を鮮やかに描き出した、塩野文学の出発点。 「チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷」と同時期に読むと理解が深まると思います。 魅力あふれる4人の女性が取り上げられており、個人的な好みランキングを作るとすると… 1.カテリーナ・スフォルツァ 2.イザベッラ・デステ 3.カテリーナ・コルネール 4.ルクレツィア・ボルジア この順になります。 怖いけど、カテリーナ・スフォルツァがかっこよすぎる! あの時代にチェーザレ・ボルジアに真っ向から立ち向かった結果として屈辱的な事態に陥っても、立ち向かうことすら諦めた他の君主たちとは全く違う。 様々な逸話を残した彼女に、大いなる魅力を感じる。 ルクレツィア・ボルジアは父と兄の思惑に流されすぎて気の毒すぎる…ボルジアの血をひいていなかったら、もっと普通の人生もあっただろう。 いずれにせよ、ルネサンスの時代を彩った女性たちの物語は興味深いです。
『ローマ人の物語』で古代ローマを描き切った塩野七生さんのデビュー作、 後書に1969年とありますからもう40年以上も昔の一冊ですが、決して古臭さはありません。 "デビュー作にはすべてがつまっている"とはよく言ったもので、 史料に溺れることなく、人の営みとそこから出てくる&quo...続きを読むt;歴史"を魅力的に描き出しています。 - 女を書くことは、結果として歴史の真実に迫ることになる。 イザベッラ・デステ:夢もなく、怖れもなく ルクレツィア・ボルジア:皇帝か、無か カテリーナ・スフォルツァ:イタリアの女傑 カテリーナ・コルネール:まずはヴェネツィア人、その次にキリスト信者 本作は15世紀から16世紀にかけてのルネサンスを生きた、4人の女性を題材としています。 彼女たちを描くことで、周辺で歴史の"主役"となった男たちも、自然と描き出されています。 面白いのは、垣間見える性格も成したことも全く違うにも関わらず、どこか共通点を感じる点でしょうか。 この辺りは『ハーバード白熱日本史教室』でも見出せて、非常に興味深い視点です。 - 女は男の被害者とはかぎっていない、と思っている 男性だから、女性だから、との区別(言い訳)に依存することなく、 あくまで一個の人としての在り様をみつめている、そこは塩野さんらしいといえばらしい。 人は愚かでもあり強かでもあり、そして運命の前には無力でもある。 それでも営みは続いていて、それがまた愛おしくてしょうがない、なんて。 ご本人は冒頭で「若書き」なんて諧謔を込めていますが、 こうも仰っています、"若さゆえの未熟にも、良いところはある"と。 ん、ローマ人を再読したくなりました、特に10巻を。
塩野七生29歳ののデビュー作であり、この後の数々の著作の原点である。小国をその器量で守り抜いたイザベッラ・デステから始まるルネッサンスの女たちの物語は、「歴史家にも許された想像がある」と師に言われたことを数々の考証を重ねて展開していく手法に彩られている。見事なデビュー作であり、その後の活躍を予感させ...続きを読むるに十分だ。
男にも種類があるように、女にも種類があるのだなと思う。 権力を持たせると強さを発揮したり、そうでなかったり。 いつの時代も女には種類があるのだな。 今の世の中に照らし合わせると面白いかも。 塩野七生さんの小説はまさに歴史をどう今に反映させるかを考えさせられる。
マントヴァ公爵夫人イザベッラ・デステ、チェーザレ・ボルジアの妹ルクレツィア、フォルリの女傑カテリーナ・スフォルツァ、キプロス女王カテリーナ・コルネールの4人を題材にルネサンス期のイタリアを描き出す。また関連作が読みたくなってきました。
塩野七生の処女作。 今の彼女のスタイルである、"説明をしつくしながらもくどくない"ところはなく、先へ先へと走っていくような作風が駆け出しの頃の彼女の情熱を感じて楽しい。 ルネサンスを生きた四人の女性にスポットを当て、ルネサンスとは何か考えさせてくれた。
空港で買ったけど、飛行機乗ってるときに小説を読んでると、搭乗券やらもろもろの紙をなくさないことを知った。 4人の女性―マントヴァ侯爵夫人イザベッラ・デステ、教皇アレクサンデル6世の娘ルクレツィア・ボルジア、イーモラ及びフォルリの女領主カテリーナ・スフォルツァ、キプロス女王カテリーナ・コルネール―を...続きを読む通してイタリア・ルネサンスの政治の芸術(アルテ)を描く。 その中で抗った女・流された女・戦った女・利用された女。 塩野七生の書き方は、歴史書とも小説ともエッセイともつかないものだけれど、今回読んでみて思ったのは、研究者が自分のおもしろいと思ってることを親しい人に楽しさのあまりしゃべってるのに近いかもしれない、ということ。 だから、本人が一番おもしろいネタだと思ってることに関して書かれていることが一番おもしろい。 こういう書き方って、『空海の風景』とか「余談だが…」とかいうときの司馬遼太郎に似ている。 正直、ルクレツィア・ボルジアとカテリーナ・コルネールについては、その周り(ボルジア家/ヴェネッツィア共和国)のほうが氏が好きなので、彼女らについてはほとんど蔑ろといっていいくらいな書き方だった。 やっぱり圧巻はカテリーナ・スフォルツァで、美しく残忍、そして賢く大胆、という彼女を余すところなく読まされ、そこだけはページを繰る手が止まらなかった。 最初に出版されたのが1969年というなんとも近現代の画期の中であって、学習院大を出た後イタリアで遊学(!)していた29歳の彼女にとって、女は小さくおろかな存在らしい。ルネサンスという男の政治が芸術的に花開いていた時期の女たち、というのは基本的に賞賛したり自分を重ね合わせたり肩入れするようなものではないらしく、ここまで詳細に書く割に案外冷めた目で見ているのがうかがえるのがなんともまた塩野流で、肩透かしをくらいながらも、やっぱりおもしろいのです。 地図や系図が豊富なのも、非常にうれしい。
イタリア、ルネサンス期の女性4名を描く短編集。 別個のあらすじだが、微妙に交わっていくのが面白い。 同作者のチェーザレやヴェネツィア目線とは違った見方が見れる歴史の醍醐味。 各都市に個性があるイタリアにより行きたくなってきます。
夫を敵国の人質にとられれば解放を求めて交渉し、生家の男たちの権力闘争に巻き込まれ、また時には籠城戦の指揮もとる――。時代を代表する四人の女の人生を鮮やかに描き出した
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