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室町後期、荘園の新代官として赴任することになった僧の清佑。村のものどもを愛子(あいし)と思って撫育するよう老師から言われたが、村人たちは一筋縄ではいかない。食うや食わずの生活では、どんな手を使っても生きのびることが第一なのだ。寺で純粋培養され、理想に燃える代官と、代官でさえうまく利用しようとするしたたかな村人たち。清佑の一方通行とも見える彼らへの思いは実を結ぶのか。第14回中山義秀文学賞受賞作。
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Posted by ブクログ
室町後期の文亀二年(1502)、和泉国逆巻庄に、京の大寺より一人の青年僧・清佑(せいゆう)が、荘園の新代官として赴任してくるところから、物語は始まる。 前任の代官からは、「村の者どもをあなどってはならん。といって、恐れてもいかんがな」と心得を教えられ、寺の老師からは「村の者どもを愛子(あいし)と思...続きを読むうて撫育するように」とも教えられて、理想に燃え、良識と学識、祈祷の力を武器に、代官職を務めようとするが…。 食うや食わずの生活を贈り、どんな手を使っても生き延びることを第一とする村人たちは、一筋縄ではいかない。 年貢の徴収、公事(裁判)や対決(公判)、盗みの取調べ、干ばつや洪水の祈祷、地所争い、次々と難題が待ち構える。 清佑を取り巻く、政所(代官所)の下級役人、村人らがいずれも個性的に描かれていて物語に奥行きを与えている。 室町時代が興味深く描かれている作品であり、荘園の政所を舞台にした法廷ものの面白さももち、青年代官の成長物語としても読める、魅力的な時代小説である。 第14回中山義秀文学賞受賞作。
連作短編。青年僧が主役なれど時代物の連作によくあるとおり大きな役を果たさないエピソードが多く、そのぶん周辺の人物像がイキイキとしています。 各編の落とし具合が絶妙で荘園という舞台、時代も自分には珍しく是非この登場人物達のその後を知りたく思います。苦労、哀しみの多いものになるのでしょうけど。
中世の荘園を舞台にした作品です。 そこに生きる人間群像を描いています。 荘園の青年代官清佑入道の成長物語としても読めますが、作品世界は軽めです。 ただし、中世の荘園という誰も挑戦しない作品を、難解にならず、分かりやすく描いている、という意味では大変貴重な作品です。 軽めが成功しているともいえるでしょ...続きを読むう! 代わり映えのしない、マンネリの戦国、江戸、幕末の時代小説に厭きた方にはお奨めです。
舞台が室町後期の荘園の村というのも珍しい設定です。京都の大寺院が管理する荘園と地頭との確執と言った背景があったりしますが、描かれる事件の多くはどの時代にでも起きそうな事ばかりなので、さほど時代を意識しなくても読めます。 杓子定規過ぎるところはあるが、心根は優しい荘園の代官の僧・清佑と、貧窮ゆえにした...続きを読むたかに生きる村民達。さらには代官と村民の間に挟まれて苦労する役人。貧窮ゆえの盗みで父親が処刑され、孤児となり、したたかに生きる14歳の娘。派手ではないけど、キャラクターは揃っていて、安心して楽しめる話になっています。
岩井さんは、本当に中間管理職の悲哀や市井の人々の物語を書くのがうまいなぁ。いつの時代も変わらないことがよく分かる。
室町時代の荘園という設定が面白い。悲惨とも思える状況の中、したたかな農民を明るい描写で描いている。新鮮な気持ちで読めたが、設定がやや強引に思えた
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