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シュメール人が発明した文字は貸借記録の必要に迫られたものだった。ルネサンス期に生まれた銀行・保険業と大航海時代は自由な金融市場をもたらし、国家間の戦争は株式・債券の基を創った。そして今日、進化したはずの国際市場では相変らずデフレ・インフレ・バブルが繰り返される……人間の営みとしての「金融」を通史として俯瞰する試み。
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金融初心者ほどおすすめ
この本はタイトル通り金融の歴史についてざっとみていく内容になっていますが、素人が分からないような専門用語はなるべく避けるか説明がきちんとなされてあるので金融関係者でなくても安心して読めます。難しい理論書などを読む前に前提知識、教養として最初の一冊に読むのにちょうど良いかもしれません。
#タメになる
Posted by ブクログ
知人で大学の先生から頂き、拝読しました。 非常に興味深かったです。 見通しよく、本質的に重要な関連事項が巧みに整理されていて、尚且つ随所に著者の高い教養が滲み出ていて、大変勉強になりました。 金融の歴史は人間の欲の歴史。人間の営みの歴史。 風が吹けば桶屋が儲かるというような形で、順を追って歴史...続きを読むを紐解く事で、複雑化してみえる金融の本質が見えてくるように、分かりやすく興味深い雑学満載で解説、案内されています。 今ある金融の仕組みには、必ず存在意義があります。 今の金融の様相は、どんなに複雑に見えても、必ず人の欲や営みが生み出すことには変わりはない事、人は必ずしも完璧に合理的でなく、それが複雑性を生み出す事なども、歴史的具体例が挙げられていて、よく分かりました。 単に歴史を紹介するのでなく、金融の本質とは何かについて考えさせてくれる本です。 帳簿、利子、貨幣、市場、先物、株式、保険、他金融商品、その生い立ちが非常に分かりやすく整理されていて、金融初心者にとって、非常に読みやすく、大変良い本だと思います。
2020/12/18金融の世界史 板谷敏彦 金融の歴史について博識 人類は進歩せず 同じ過ちを繰り返している 1.冒険貸借 航海ビジネス→プロジェクトファイナンス 利子ではなく保険料 財産権の侵害 国王への貸付は踏み倒される →破産 預金封鎖も同じ エリザベス女王ドレイクの海賊ビジ...続きを読むネス=ベンチャービジネス 2.大航海時代で欧州の優位性 コロンブスの「多様性」vs中国「明の永楽帝」鄭和の大遠征 価格革命-新大陸の銀・インフレ-新興勢力の活躍、 印刷-宗教革命 グローバル化 閉鎖的な価値体系 異質が価値 利益をもたらす 資本が差異を失わせる 東インド会社 全ての航海を一事業 永久資本 3.鉄道事業 大規模な資金調達 株式会社の発明 エージェンシー問題 1899年時価総額の63%が鉄道株 1861年南北戦争国債発行に苦慮 投資銀行クックが個人向けに販売 4.ワイマール共和国 ハイパーインフレ 賠償金負担 物価上昇 マルク安 輸出堅調 ドイツ経済は好調 国債発行 短期債を中央銀行引き受け 長期債の発行へ振り替えが難航 通貨増発へ 仏国の賠償金過大 ドイツ経済の疲弊 ナチスの台頭 対仏戦争 戦勝 復讐の連鎖
メソポタミアで農耕が始まった頃に原始的な徴税のしくみが生まれた。穀物の再分配のためには記録が必要になりシュメールの粘度板には在庫管理だけでなく不動産取引も記録され所有権移転のしくみがあった。ハムラビ法典には銀や穀物の貸し借りに対する利子の規則が定められている。ちなみにまだ貨幣は発明されていない。小麦...続きを読むであれば順調にいけば1年後には当時のメソポタミアでは20倍以上に増える。1年後の小麦が貸した方から借りた方に移転していると考えれば返す時には量を増やして返すのは当然のように思える。これが利子の発明だったのかもしれないのだ。 コインの発明は金、銀を一定の比率で同じ重さに切り分けたものから。原料費と額面の差額が発行者の利益になった。紙幣の場合は素材には価値が無く信用が元になっている。宋の時代には手形が発達しこの証書が貨幣の変わりとして使われたことから紙幣が使われる下地になった。政権の権威が凋落すると紙幣は流通できなくなり金貨や銀貨が復活する。ミクロネシアで使われた大きな石の貨幣も信用が元になっており現物の引き渡しは無くてもよかった。有る時には先祖が削りだした石を持ち帰る時に船ごと沈没したが証言者がいたため貨幣として認められた例もあるらしい。島に来たドイツ人は石にX印をつけ返して欲しければ道路整備のために働けと脅した。島民は破産を怖れて一生懸命働いたそうだ。道路完成後にはX印は消され島民は金を取り戻した。笑い話の様だが同じことは先進国でも起こっている。大恐慌の直後にフランスはニューヨーク連銀にある手持ちのドルを金に換えた。金本位制の停止を怖れたのだが金はそのまま連銀に預けて帰った。ラベルを張り替えただけなので石にX印をつけるのと変わらない。アメリカでは金が国外に流出していると騒ぎになった。 金融派生商品デリバティブの歴史も古い。世界最初のオプション取引はギリシャ時代にアリストテレスから世界初の哲学者と紹介されたタレスがやったものだ。タレスはある年のオリーブが豊作だと予測しあらかじめオリーブオイルの搾油機の使用権を買い占めた。予定通り豊作になるとタレスは搾油機の権利を売り大もうけした。手付金をオプション料と考えればいろんなものが取引できる。 銀行、為替、株式、保険などいろいろなものが大きく発展を始めたのは大航海時代からだ。複式簿記、減価償却などもこのころにはできて来ている。グーテンベルクの印刷機は書類の偽造を困難にしヴェネチアに銀行が生まれた。それまでも現物の貨幣の両替は行われていたが、帳簿と手形だけで決済や資金の移動ができるようになったのだ。一方で信用の創造は17世紀のロンドン、預かった金に対する預かり証が貨幣の代わりに使われ、ゴールドスミス(金の保管業者)は預かった金以上の貸し出しが可能なことに気づいた。新大陸で発見された大量の銀はメキシコ・ドルとして世界中で流通した。イギリスの海賊フランシス・ドレイクがペルーからパナマ経由で大量の銀を持ち帰り次いで太平洋横断から世界1周公開を企画した。これに投資したエリザベス1世は大儲けし対外債務を全て返済しさらに余った金で東部地中海のイスラエル辺りを開発するレヴァント会社に出資した。この会社が儲けた金で作られたのが東インド会社だ。東インド会社を首になった中には有名な海賊ジャック・スパローもいる。イギリスの東インド会社は1航海1事業とした特許会社で出資者が無限責任を持つ共同事業体だった。これに対してオランダの東インド会社は出資者の責任は出資金の範囲の有限責任であり、21年間の全ての航海を一つの事業とした。また株式は誰でも買える近代的な株式会社でアムステルダム証券取引所で株の取引が行われた。 国債の誕生はイギリスの名誉革命から。それまでは戦費を国王の個人的な借金でまかない、たびたびデフォルトしたり、貨幣の作り替えでインフレにして借金を返済したりしていたが、権利の賞典により王の権限が制限され主権が議会に移った。これにより借金の主体は王個人ではなく国家に変わった。保険の歴史も古いが1678年にロンドンのロイズ・コーヒーハウスでは海上保険が売買されるようになった。投資家は航海が無事に終われば分け前がもらえる変わりに損失が出れば無限責任を負う。 ナポレオン戦争でも資金調達は争点になっている。オランダを支配下に置いたナポレオンは金融業者を追い出し、アムステルダムに変わってロンドンが金融の中心になった。戦費調達に困ったナポレオンは1803年フランス領ルイジアナをアメリカに1500万ドルで売った。アメリカ中部15州をまたぎ現在のアメリカの23%の面積を締める。1867年日本では坂本龍馬が暗殺され大政奉還があり、マルクスが資本論を書いた年に世界で初めての国際通貨会議が開かれた。ナポレオン戦争の復興資金は金本位制のロンドンでのポンド建て公債として調達されており、フランスを始めとする国は金本位制を導入し世界的な通貨同盟を支持した。しかし肝心の金の現物なしでは話にならず、銀を売って金を買ったこのため金と銀の交換比率は15倍からアメリカが金本位制を採用した1900年代後半には30倍を超えるようになている。日本は日清戦争での賠償金を元に金本位制を導入し、また日露戦争の戦費調達は金本位制だからこそ可能だった。後に第二次世界大戦に突入する原因となったのは資源の確保が原因だが、これはドル建てであり日本は絹のストッキングをアメリカに輸出してドルを稼いでいた。しかしナイロンの発明とともにいずれは無くなる運命だったことが1996年に機密解除になった外交文書に書かれている。高橋是清の積極財政が始まるまで1ドル2円ほどだったのが金本位制からの離脱により一気に4.7円への急激な円安が進行している。1941年7月以降アメリカの預金封鎖により決済資金のドルは上海などで闇で入手するしか無くなったがこのレートは1ドル8〜9円だった。売るものは無く円安のため資源は高騰と資金面で首が絞まっている。ここだけ見ると今の北朝鮮のような状況に置かれていた様だ。その後は東南アジアに侵攻し自給自足を目指し更なる経済封鎖を受け、例え金を持っていてもドルとは交換できなくなった。東京株式市場は大本営発表を受けて1943年半ばまで上昇を続けたがダウ・ジョーンズ工業指数の底は1942年の4月が底でまだ日本が勝ち続けている時に反転している。 戦後のターニングポイントは1971年のニクソンショック。このころ日本の一人当たり実質GDPはイギリスに追いついた。ニクソンショックから生まれたのがシカゴの先物市場、為替やモーゲージ債、原油など値のつくものは何でも商品になるのはここからが。そして76年には金利先物が生まれ81年に適法になる。現物決済が不要な商品が生まれたことでマネーの受け皿ができてしまい後のサブプライムローン問題につながっていく。そして85年のプラザ合意で円高が進むとともに政府の低金利政策は続きバブルが生まれた。ドル建てで日経平均を見るとニクソンショックから89年の最高値まで年率30%で上がり続けた。 現代史では市場は効率的かそれともそれとも投資家がインデックス投資に勝てるのかの議論が興味深い。1896年から2012年までのNYダウの日時収益率をデーターに取ると中心部はきれいなベルカーブを描きランダムウォークをしているように見える。しかし、正規分布であれば合計29850日のデーターのうち5%以上の上下をする確率は0.22日分しか無いはずなのに現実にはブラックスワンは97日も存在していた年に1度は異常値がでることになる。それでもインデックスに勝ち続けるのはウォーレン・バフェットなどの1部の投資家だけのようだ。バフェットも重視している時価総額/GDPという値を見るとバブル崩壊後は60〜100%で推移しており2013年はおよそ90%になっている。 100年後の金融史にアベノミクスと各国の通貨切り下げ競争はどう評価されるのだろうか。弱い通貨のインフレは既に起こっている。
金融マン必読。 本のタイトル通り「金融の世界史」について非常に具体的かつ分かりやすく書かれている良書。 短期的な証券マン思考を改めるには、このような「金融史」を学ぶ方が良いと思う。 日々の株価推移、為替推移などのチャートのみを追うだけでは、歴史の一部分を切り取ってみているに過ぎず、なぜ現在の金融...続きを読む経済の世界が出来上がっているのか?という連続性を改めて認識できる本。
実務家が書いた歴史の本なので、あまり期待はしなかったけど、面白かった。特に筆者の現役の頃の話は、エビデンスはともかく、当事者の記憶なわけで、時代の雰囲気が分かる。
メソポタミア文明からリーマン・ショックまでの金融の歴史を網羅。当時の政治的背景も併せて述べられており、立体的に理解できる内容となっている。
前半から中盤は、時代時代における金融がどういったものだったのかの説明。この辺りは通貨や利子の話なので、歴史が好きな人であれば素直に楽しく読めると思う。 中盤で株式や債券が出始めたあたりから、歴史と金融の実態の解説が半々になって来る。株式や債券が何なのかわからない人には辛くなってくる。 後半、デリバ...続きを読むティブズやファイナンス理論のあたりまで来ると、一通りの簡単な金融と経済学の用語を知らないと、多分読めない。殆どの単語の説明が不足してるので。 前半と後半で大分趣きが違う。 誰であろうとも前半は読んで置いて損は無い。面白いし為になる。 後半は、金融の意味はわかるがピンと来てない人(自分)の、教養の醸成にピッタリな内容。銀行とか証券会社とか良く分からないし怖い(これも自分)という人にオススメ。
金融が、古くは農業の発達から戦争、グローバル化など、人間活動の結果必要に迫られて発展し現在に至ることが良くわかった。金融の発展により歴史が動いていることもわかり、世界史の見方が変わった。
金融に関わる仕事をしているが、正直内容は難しかった。利子の話から始まり、国債や株の話に遷移して行くが、普段あまり考えない(正確には、ふと疑問に思うけど、考えるのをやめてしまう)ような内容が書かれていて、考えながら読む必要があった。それなりに金融の用語を知っている必要があるのと、一度は自分の頭で色んな...続きを読む金融商品の仕組みを考えたことがある人だとかなり楽しめるのではと思う。自分も歴史と交えて金融をこんな風に話せるようになりたいと思った一冊だった。
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