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生後間もなく里子に出され、渡米留学するも「奴隷」になり、帰国後は「芸者のヒモ」に落ちぶれ、ペルーの鉱山開発でスッテンテンに。何度も人生のどん底を味わいながら、日露戦争の資金調達に成功して日本を救う。金融史の専門家が『自伝』で描かれたエピソードの虚実を検証し、従来の是清像を大きく塗り替える圧倒的評伝!
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Posted by ブクログ
2010年代の前半頃から、市井の経済学愛好家を中心に「リフレ派」と呼ばれるグループが現れ、財政・金融論壇を賑わせてきた。そのリフレ派の模範として度々名前が挙がっていたのが高橋是清であったが、残念ながら私は経済学徒でありながら日本史や経済史の学習にはさほど熱心でなく、高橋是清が成した財政・金融政策や当...続きを読む時の経済情勢を詳しく知らなかったため、リフレ派vs反リフレ派の論戦をただ傍観しているだけであった。 今般、高橋是清の評伝が出版されたことをSNSで知り、十数年の時を経て改めて学び直そうと思い、本書を手に取った。 上巻は出生から日露戦争終戦までの半生が綴られている。 米国での「奴隷」生活や芸妓のヒモ生活、ペルーでの銀山投資失敗などのエピソードも読み物として面白いが、やはりハイライトは日露戦争での戦費調達である。 大規模化する戦闘に比例し膨らむ支出により金が国外へ流出する中、戦費確保と金本位制維持に必要な正貨調達のため、米国・英国での外債発行を任された高橋是清。当初、極東の新興国である日本への信用は極めて低かったが、米英銀行団との粘り強い交渉とリレーション構築により、初回の外債発行は何とか成功。その後も戦況や欧米各国の経済情勢、外交バランスの推移により刻々と発行条件が変わる中、都合6度の資金調達を成功させた機敏な立ち回りは圧巻であった。 阪谷芳郎の「戦争とは7割が財務、残りの3割が戦闘」の言も強ち嘘ではないと思わせる、著者の描写ぶりも素晴らしかった。
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国家の命運は金融にあり 高橋是清の生涯
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板谷敏彦
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