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紋蔵が深川の元締め殺しの背後にある事情に心痛めていた折り、例繰方での経験を生かして、将軍の御前で裁きを披露する「吹上上聴」で扱う事件に、先例がないことを確かめてくれと頼まれた。が、先例を知っていた紋蔵は苦慮の末に逆転の手を閃いて……。定廻りに任じられた紋蔵の葛藤を描いた好評短編連作。
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Posted by ブクログ
目次 ・蘭長者簑吉の名誉 ・時の物売りと卵の値 ・それでも親か ・大坪本流馬術達者のしくじり ・坊主びっくり貂(てん)の皮 ・そそっかしい御武家 ・落ち着かぬ毎日 ・白い息 前巻の最後に、物書同心から定廻り同心への出世がほのめかされた紋蔵。 巻を改めて、またいつもの物書同心の話かと思いきや、ちゃん...続きを読むと定廻り同心に出世していたので驚いた。 サブタイトルに偽りありではないか。 江戸時代の侍の収入は、すべて役職ごとにきっちり決められている。 しかし、直接町人との接点があることで付け届けが入る定廻り同心は、決められた収入しか持たない物書同心の10倍くらい実入りがいい。 身なりや言葉遣いにまだ戸惑いがありつつ、紋蔵はしっかり定廻りの仕事をこなしていた。 でも、30年の長きにわたり物書き同心として勤めあげてきた紋蔵は、定廻りになっても見た目の裏側にある真実を見つけ出す。 しかも、外回りをしていると居眠り病も引っ込んでしまう。 17人の岡っ引きを部下に持ち、さらにその岡っ引きが数人の下っぴきを使う。 紋蔵は一気に何十人もの部下を持つ身になり、それはそれで苦労が絶えないことを学びつつ、定廻り生活を謳歌していた紋蔵。 ところが将軍の前でお裁きを行うことになり、失敗が許されないため、先例探しを手伝わあされたのが運の尽きで、何のしくじりもしていないのに元の物書同心に戻されてしまう。 紋蔵の仕事ぶりが評価された挙句の出戻り。 役職によって手当は決められているので、いくら仕事ぶりが評価されても、定廻り同心の10分の1の収入に戻ってしまうのはいかがなものかと考えてしまうのは、現代の思考とばかりは言えないと思う。 ああ、すまじきものは宮仕え。 紋蔵、切ないのぅ。
突然眠ってしまう奇病を持った定廻り同心、藤木紋蔵が定廻りから例繰方に戻る辞令が出るまでの話。 主人公がしゃしゃり出て派手な推理をして手柄をたてる話ではなく、地味にコツコツと調べて時には見当違いの当たりをつけながら事件を解決していく、静かな推理小説でとてもじっくりと楽しみながら読めた。
何となく白石一郎の「十時半睡」を思わせる作品です。 捕り物と言うより、江戸版リーガルサスペンス。紋蔵の人情味溢れる裁きが見もの。そんなところが半睡に似てるのでしょうね。 可も無く不可も無く。安心して読める作品です。
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物書同心居眠り紋蔵
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佐藤雅美
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