虚空遍歴(下)
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虚空遍歴(下)

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江戸で行き詰った冲也は、浄瑠璃の本場、大阪で一本立ちしようと決意し江戸をあとにするが、上方でも無惨な失敗に終り、次第に深酒にひたるようになる。冲也はさらに北陸の金沢へと遍歴を続けるのだが……。おのれの人生を芸道との孤独な苦闘に賭けて悔いることのなかった男を通し、「人間の真価はなにを為したかではなく、何を為そうとしたかだ」という著者の人間観を呈示した長編。

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    旗本の次男、中藤冲也が余技として作る端唄は、独得のふしまわしで江戸市中のみならず遠国でももてはやされた。しかし冲也はそれに満足せず、人を真に感動させる本格的な浄瑠璃を作りたいと願い、端唄と縁を切り、侍の身分をも棄てて芸人の世界に生きようとする。冲也の第一作は中村座で好評を博するが、すぐに行き詰り、妻も友をも信じられぬ懐疑の中にとじこめられてしまう。
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    江戸で行き詰った冲也は、浄瑠璃の本場、大阪で一本立ちしようと決意し江戸をあとにするが、上方でも無惨な失敗に終り、次第に深酒にひたるようになる。冲也はさらに北陸の金沢へと遍歴を続けるのだが……。おのれの人生を芸道との孤独な苦闘に賭けて悔いることのなかった男を通し、「人間の真価はなにを為したかではなく、何を為そうとしたかだ」という著者の人間観を呈示した長編。

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虚空遍歴(下) のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    正直、最後まで読み切るのに辛くって息苦しい作品でした。それがこの作品の完成度の高さを物語っています。 「人間の価値はなにを為したかではなく、何を為そうとしたかだ」 この作品のテーマそして内容を凝縮した言葉であります。 浄瑠璃の世界を語っていますがが、現代の私たちにも当てはまる普遍的な内容だと思います

    0
    2012年10月01日

    Posted by ブクログ

    「人間の真価は、その人が死んだとき、なにを為したかで決まるのではなく、彼が生きていたとき、なにを為そうとしたか−である」と言うのが、作者の人生観だそうだが、まさにそれを現した作品であると思った。

    0
    2014年11月12日

    Posted by ブクログ

    これは辛い小説だなぁ。

    主人公の中藤冲也は武士の身分を捨て、浄瑠璃という芸の世界に生きることを選ぶ。

    彼の作る端唄は独特の節まわしを持ち江戸のみならず、遠国でも持て囃されるような才能の持ち主であったが、それに奢ることなく冲也節という新たな芸術の完成だけに専念する。

    これと決めた道に突き進む人生

    0
    2014年10月13日

    Posted by ブクログ

    主人公の視点に立てば立つほど、哀しさや虚しさでいっぱいになって読むのに精神力がいる内容。個人的には、主人公沖也の奥さんのお京さんのものの考え方が一番共感できた。

    0
    2011年11月13日

    Posted by ブクログ

    どうしてこうなった…
    人間誰しも独りぼっちかもしれないが、それに気付かず一生を終えることだって出来ただろうに…そんな環境におったじゃないですかー
    どうにか軌道修正できるように願っているのに、まったく思い通りに行かない、持ち直したかと思えばガクンと落っこちる、その繰り返しがリアルで、冲也に身近な人を重

    0
    2010年05月27日

    Posted by ブクログ

    長年の懸案であった、山本周五郎の長編三部作の最後の一つをやっつけた。義と倫理の『樅の木は残った』、天命の『ながい坂』は、とうに(はるか30年以上も前に)読んだのであったが、芸事の『虚空遍歴』は、今までとってあったのだ。ただ読むと、芸に入れ込んだ浄瑠璃師の、身を摺り込んでいく姿の描写。しかし、全体とし

    0
    2018年10月20日

    Posted by ブクログ

    最後まで読むことに苦痛を感じるほど。
    でも、読後感は悪くない。
    芸術を生み出す人間でなくて良かったという思いです。

    0
    2022年09月12日

    Posted by ブクログ

    「人間のすることでむだ骨折りだということはなに一つないと思います。」おけい
    「死ぬことはこの世から消えてなくなることではなく、その人間が生きていた、という事実を証明するものなのだ、死は、人間の一生にしめ括りをつけ、その生涯を完成させるものだ、消滅ではなく完成だ」中也

    解説を見ると、山本周五郎自身を

    0
    2018年11月25日

    Posted by ブクログ

    おけいは一歩間違えればストーカー。
    矢島濤石はツンデレ。

    そして中藤沖也は作者の
    不器用で頑固な部分を
    表しているように感じた。

    中藤が死を意識したときのセリフ
    (「―もしも死ぬとしたら、少しでも仕事を
      進めておかなくてはならない」)は
    作者自身が亡くなる前の気持ちを
    表現しているように思え

    0
    2010年04月25日

    Posted by ブクログ

    冲也ぶしを結局完成させないまま人生を終えるなんて虚空遍歴,とはよく考えたタイトルだ。言い訳がましくて共感できない部分が多かった。大好きな周五郎に初めて不満を持った。読み方が浅いのかなぁ。

    0
    2009年10月04日

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