ある年齢を超えて、
競技スポーツを続けている人のメンタルを知りたくなって、
購入しました。
突然ですが、誰もが、老いを経験します。
それは、見た目からなのか、気持ちなのか、ひとそれぞれですが、
老いとは、避けられないものです。
その点、40代で、トレイルランの第一線で活躍していた著者の経験談は、
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老いを、トップアスリートは、どう受けとめて、どう付き合ったかを、
考える上で、非常に参考になりました。
結論から言えば、好きだったからでしょう。
トレイルランが、ただ好きだったという、素朴なソリューションです。
どんな競技をやっても、必ず、能力の限界にぶち当たり、成績は落ちます。
これは、トップアスリートだろうが、アマチュアだろうが、例外なくそうです。
そこで、もがき苦しみ、どうにかして、老いからくる衰えを越えようとしますが、
そう簡単には克服することはできません。
そして、もがき苦しんでいくうえで、タイムや成績だけではない何かに価値を置くようになります。
著者も、そのように語ってると思います。
それは、一つのスポーツ種目にも、様々な視点があることを教えてくれます。
私は水泳が好きで、20年近く続けていますが、タイムが伸びることは、もうないだろう思っています。
よくて、現状維持です。
その状態を感じた時、老いをリアルに感じ、ショックでした。
しかし、フォームの美しさの追及であったり、自分の今の状態を知ることであったり、
はたまた、プールが人間観察や社交の場であったり、練習メニューを工夫して、トレーニング内容自体を、
自分の想像力で組み立てたり、人に教えたり、ストレス解消であったり、考えごとをしたり、
何も考えない状態をつくってくれたり、無限のやることを水泳は、教えてくれます。
これは、人間が避けられない老いに関しても、様々な見方ができるようになることを教えてくれます。
一日一日を、以前よりもまして、充実して生きようとか、
あった人、あった人に、縁を感じるようになったり、
泳ぐ時の1時間が、かけがえのないものに感じたりと、
若い時には、絶対に思えないだろう見方を獲得できるようになってきました。
著者も、競技者から、極限トレイルの運営側、魅力を伝える側に、
劇的にチェンジしていますが、その原動力は、トレイルで、培った、多くの見方だと思います。
何事も続けると、良いことがあるとは、一概に言えませんが、
多くの価値ある見方を教えてくれるのは、間違いありません。
それが、老いを受け入れるベターな方法かもしれません。