おどろおどろしい装画に手に取るのを一瞬ためらうほどです。ちょっと元気がない時は読むのを遠慮しちゃうかも。
ですが、カバーを外した本体をぜひ見ていただきたいのです…!
カバーの怖さとは一転、何やら真っ黒ではない優しい雰囲気。
おそらく、桃色の紙にこげ茶色を印刷していると思うのですが、それが良い味を出
...続きを読むしているのです。
経年劣化や摩擦で、印刷がはげて中のピンクがうっすら見えてくる。
まるで爪角が老いと共に見出した優しさや情けといった人間らしさをあらわしているよう。
もしくは、冷蔵庫の奥で忘れさられて腐った桃か。
そのどちらでも、読む人によって解釈を自由にできる装丁がすばらしいです。
触れるたびピンク色が増して優しさが滲み出る本。
読むだけじゃなく物語を追体験できる仕掛けがおもしろいと思いました。