恥ずかしながら本村さんを存じ上げなかったのですが、とても面白い方でした。
著作を見てみると、数々の古代ローマ本の他に、競馬の世界史なんて本もあったりして、とても興味が惹かれます。
今回の対談でも、そんな本村氏と佐藤優氏の対談で、日頃メディアで聴くような現代的価値観から来る言説とは違った方向から切
...続きを読むり込む言葉の数々がとても楽しかったです。
個人的には、またこのお二人の対談は見てみたいです。
以下、私が気になった(気に入った)点です。
ー「第1次世界大戦で明らかになった問題(近代的価値観の限界)が解決されずに現代にまた蘇ってきている」という話。最近は、落合陽一さんなんかもよく約100年前にあたる1920年代を再考する機会が増えていると度々仰っています。そういうことなのかなという理解が進みました。
ーかつて「神権」であったものが近代に「人権」になったが、近い将来これがAIに置き換わってしまうかも知れないということが、こういう所でも真面目に話されるようになってきたということに少し驚いています。そして、それが「中世への逆戻り」と表現されているのが面白かった。AIはかつての神に成り代わるのか?
ー「豊かな時代になってからも精神的な気高さみたいなものを維持することに成功した社会は、世界史の中にひとつもない。」と言い切る本村さん。
ー「日本では国会議員の世襲が批判されて「いまは二世や三世が多いからダメなんだ」と言われますけれど、ローマの元老院なんて何世まで続いているかわからないぐらいですよね(笑)」
ー「二分心」の話。「「遠い昔、人間の心は、命令を下す『神』と呼ばれる部分と、それに従う『人間』と呼ばれる部分に二分されていた」というビックリするような仮説」「神々の声が聞こえなくなる過程とアルファベットが普及していく過程が、同じような時期に同じような地域で起きている」
ー「同じ宗教でも、一神教的になったり多神教的になったりする。そういうスペクトラム(連続的な分布)の中で、いまその宗教がどこに位置づけられるのかを見たほうがいいと思います。」「本来は多神教でも、一神教的な要素が高まると通常より攻撃的になるというのはたしかにありますね。」