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近所の小母さんが遺した、謎めいた「暗号」。隣家に住む姉妹とともに解読をこころみる佐保(さほ)は、土地に根づく習俗がからみあう、不思議な世界に迷いこむ。幾重にも交わる家や人の縁、わけしり顔の兄、そして庭から見つかった蛇の石の意味とは? 懐かしくも妖しい世界を描き出し、著者の新境地を拓く長編小説。(講談社文庫)
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Posted by ブクログ
近所の小母さんが遺した謎めいた符号、隣家の姉妹の元に現れる間借り人、ふらふらとしていて達観しているような兄。とうとうと流れる水のような文章に揺られて、どこでもない場所へと連れて行かれます。 流れに揺られるのがなんとも心地いいんです。ちょっと懐かしいような、それでいて丁寧な生活の描写が心地よさを増して...続きを読むくれます。 謎に明確な答えは与えられず、結局どういうことだったの? という幕切れとなりますが、それすらもまた心地いいんですな。
この空気感は好きです。兄弟がいる女としてもこの母親の兄に対する考え方も覚えがある。不思議な謎解きも、いつの時代かわからないけどちょっと前の東京なんだろうなと思わせるノスタルジーさも読んでて不思議と落ち着く。
タイトルは、「となりの姉妹」ではなく、「我が家の兄」の方が良かったのではないか、と思える程、語り手である佐保の兄、立彦の存在感が強い作品でした。 近所の老舗酒屋で、地主でもある「菊屋」のおばさんが亡くなった事をきっかけに、おばさんが残した、謎の暗号めいたしりとりの「キリ」を、佐保と、隣に住む姉妹の...続きを読む逸子さんと咲也さんが探します。 どうも、家族の知らない所で、菊屋のおばさんやおばあさんと親しかったらしい立彦は、何かを知っている様子で、ちらちらとヒントを出して来ます。 そして、辿り着いた「キリ」は…。
登場人物を書き分けるということ。 ともすれば、だれの科白なのか迷子になってしまうようなカギ括弧なしのなか、当然のように彼女ら・彼らはわたしの目のまえに現れる。 ゆったり流れる時の狭間に(気を抜くとずっとおなじ時を刻んでしまっているような錯覚のなか)、だれがはじめたのか定かではない紐解きはすすむ。 ...続きを読むゆるゆると、時間やひとびとの関係性の糸はほぐれていく。時が満ちたみたいに。 余分な脂肪はひとつもないあっさりとした、それでいて暖かなお澄ましでも飲んだみたいな後味のよさ。 それと、はっきりとは語られない、好奇心をくすぐられるヒミツ。 (立彦のあれやこれやなど、ね) 不思議なこと満載なのに、日常の延長のように感じられるのが、長野作品の最大の魅力だとこのごろ切に思う。
この、不思議な感じがいい。 タイトルを見て、姉妹とは小さな女の子たちを想像したのですが(私の頭の中どうなってるんでしょうね?)、大人の女性でした。
ふと、誰の作品を読んでいるのかわからなくなり、ああそうか、と。 細い繋がりを手繰っていくペースが心地よく、気持ち緩やかに和むなあ。
日常の謎的なほんわかムードのお話でした。 不可思議系も好きだけど、こういうのももっと読んでみたいなぁ。
☆3.5ってところかな。 長野さんらしさを期待していると長野さんっぽくない。 梨木さんみたいな感じで、普通に面白いんだけど、せっかく長野さん借りたのになって気もしないでもない。 異世界と現世界のきわどいラインを生きている人たちの話、という意味では長野さんらしいか。 でも、美少年が出てこない。
近所のおばさんが突然亡くなり、彼女が残した謎めいた「暗号」を、主人公の佐保は隣家の姉妹とともに解こうとする。 情報を小出しにする書き方で、最初は全員下の名前しか出て来ず、関係もなかなか明かされないので、人間関係が最初はわかりづらい。 だんだん苗字や、その関係がわかってきて、謎解きも進んでいく。 一...続きを読む生懸命確認しながら読まないと繋がりがわからない。 ラストの謎解きもちょっとわかりにくい。 長野ワールド健在です。
都内某所で暮らす主人公の日常を、彼女が遭遇する少し不思議な出来事を絡めて描いた物語。 タイトル通り隣の家に住む姉妹(妹はまあり出てこないけれど)と、主人公の兄家族が物語の中心人物である。 ゆったりとした綺麗な文体だけれど、文章の情報量が多くて(でも随想っぽく、物語の動きは少ない)なかなか進みが遅く...続きを読む、途中流してしまった。 兄の独特の生き方がすてきである。
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