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『チェンソーマン』悪をもって悪を征す!新時代のダークヒーローが爽快!

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チェンソーマン

頭や腕から飛び出したチェンソーがうなりを上げて、悪魔を切り刻む!! 週刊少年ジャンプから生まれた新感覚のダークファンタジー、それが『チェンソーマン』です。
巨額の借金を抱えて、ジャムをつけたパンすら食べられない極貧生活にあえぐ少年が主人公。正義より何より、まずはいいものを食べて、柔らかなベッドで寝るために、悪魔を狩る。夢や大志をいだくことなく、ただ今日を生き延びる。そんな主人公の戦いが、今の時代だからこそ心に刺さります。
すでに多くの漫画ファンの注目を集めている『チェンソーマン』。その基本情報と魅力、読者の感想を紹介していきます。
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※当記事に記載の内容は全て「ぶくまる編集部調べ」です。また、当記事にはネタバレを含みます。

『チェンソーマン』とは?

『チェンソーマン』の作者は? キャラクターや舞台の設定は? 序盤のストーリーは? まずは基本情報を解説します。

『チェンソーマン』の基本情報

『チェンソーマン』は、1992年生まれの若手漫画家・藤本タツキ先生の最新作です。「週刊少年ジャンプ」にて2019年1月から連載がスタートし、現在も継続中。単行本は、2020年2月現在で5巻まで刊行されています。
藤本先生は、ウェブコミック配信サイト「少年ジャンプ+」に掲載された前作『ファイアパンチ』が、SNSで注目されたことをきっかけにブレイク。文明崩壊後の雪に覆われた世界を舞台に、再生能力を持つ少年アグニの活躍を描いたダークファンタジーで、各巻ごとにジャンルを変えることを意図したという、衝撃的な作品でした。
それに続く『チェンソーマン』は、現代の日本が舞台。しかしそこは、異形の悪魔が人々を襲う恐ろしい世界です。鬼才・藤本先生が描く、特異能力を持つ人間と悪魔の戦い。面白くないわけがありません!

チェンソーマン

『チェンソーマン』のあらすじ

父が残した巨額な借金(1話の段階で3804万円)をヤクザに返済するため、チェンソーの悪魔・ポチタと契約し、デビルハンターとして働く少年・デンジ。ところが、彼はゾンビの悪魔との戦いに敗れ、あえなく死んでしまいます。

「私の心臓をやるかわりに……デンジの夢を私に見せてくれ」

ポチタが自らの心臓を差し出して、デンジの体内に入り込むことで命が復活。デンジは、チェンソーの悪魔に変身する特異能力を身につけて大暴れするのでした。

チェンソーマン:デンジのバトル

そんなデンジが出会ったのが、政府の組織「公安対魔特異課」に所属する美しい女性・マキマ。政府直属のデビルハンターとなったデンジは、マキマにその身を管理され、逃げることが許されない運命の中、悪魔との血なまぐさい戦いに身を投じていきます。

チェンソーマン:デンジとマキマ

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『チェンソーマン』のキャラクター

主人公・デンジをはじめ、人間も悪魔も、クセのあるキャラクターばかりが登場する『チェンソーマン』。その主な登場人物を紹介します。

デンジ

チェンソーマンの登場人物:デンジ

16歳の少年。借金返済のため、右目を売ってしまったことから眼帯をしています。子供の頃にチェンソーの悪魔・ポチタと契約してデビルハンターとなり、ヤクザにこき使われることに。ゾンビの悪魔に支配されたヤクザが全滅したときにマキマに拾われ、公安対魔特異4課の一員として働き始めます。
ポチタの心臓を得たことによって、不死身の体に。女性に免疫がなく、自分に満ち足りた食事と居場所を与えてくれたマキマを、すぐに好きになります。
どんなに過酷な状況にあっても悩むことのない、素直な性格。戦いに物怖じすることなくド派手なバトルを繰り広げる、破格の主人公です。

ポチタ

チェンソーマンの登場人物:ポチタ

チェンソーの悪魔。瀕死の怪我を負っていたところを、少年時代のデンジに助けられ、契約することに。デビルハンターとなったデンジの、よきバディであり強力な武器となります。やがて、自らの心臓を差し出し、デンジを復活させることに。それ以後はデンジの体の中にひっそりと存在し続けています。
見た目は子犬のようにかわいいのですが、他の悪魔から恐れられる存在でもあります。

マキマ

チェンソーマンの登場人物:マキマ

デンジの“飼い主”である、公安対魔特異課の女性。デンジに優しく接することもありますが、デビルハンターたちを束ねる立場として、冷徹な一面も持ち合わせています。自らもデビルハンターで、しかも内閣官房長官直属という高い地位にあり、その強さは計り知れません。

早川アキ(はやかわ あき)

チェンソーマンの登場人物:早川アキ

公安対魔特異4課で、デンジのお目付役的な存在となるデビルハンター。「狐の悪魔」と契約し、自分の体の一部を食べさせながら戦っています。過去に「銃の悪魔」に目の前で家族を殺された経験があり、悪魔との戦いに命を捧げている青年です。

姫野(ひめの)

チェンソーマンの登場人物:姫野

公安対魔特異4課のメンバー。「幽霊の悪魔」と契約し、右目を食べさせたかわりにゴーストの右手を自由に使う能力を得たデビルハンターです。後輩である早川アキに好意をいだいています。酔うとキス魔になるという一面も。

パワー

チェンソーマンの登場人物:パワー

公安対魔特異4課のメンバーで、デンジのバディとなります。その正体は人の死体を乗っ取った「血の悪魔」で、「魔人」と呼ばれる人ならざる存在。自らの血を体外に出して武器に変え、戦います。性格はデンジと似ていて、超単純です。

荒井ヒロカズ(あらい ひろかず)

チェンソーマンの登場人物:荒井ヒロカズ

公安対魔特異4課の新人メンバー。「狐の悪魔」と契約を果たしていますが、その実力はあまり高くありません。22歳で趣味は俳句という、渋い性格。マジメさだけが取り柄という感じの男で、自分を鍛えてくれた姫野を慕っています。

東山コベニ(ひがしやま こべに)

チェンソーマンの登場人物:東山コベニ

公安対魔特異4課の新人メンバー。引っ込み思案ですが、やるときはやる20歳の女性です。出来のいい兄を大学に行かせるため、親に働くことを強要され、風俗かデビルハンターしか選択肢がなかったとのこと。自分が生き延びるためなら、デンジを殺すことを厭わない一面も。

ビーム

チェンソーマンの登場人物:ビーム

公安で働く「サメの魔人」。普段は会話もできないほど狂暴だということですが、「チェンソーの悪魔」であるデンジを慕っていて、言うことを素直に聞きます。壁の中や地面など、どんな場所でも泳ぐことができる能力の持ち主。パワー同様、シンプルな性格です。

サムライソード

チェンソーマンの登場人物:サムライソード

「刀の悪魔」の心臓を持つ人でも悪魔でもない存在。デンジと同じように普段は人間の姿をしていますが、戦闘のときは全身から刀を生やします。デンジをこき使っていたヤクザの組長の孫で、ゾンビとなった祖父を殺したデンジを強く憎んでいます。

『チェンソーマン』の魅力

悪魔だけでなく、デビルハンターにも極端なキャラクターが勢揃いしている『チェンソーマン』。ここがすごい! という5つのポイントを紹介します。

新しい主人公像

子供の頃に親を亡くし、借金返済のため極貧生活に。義務教育を受けられずに育ったのがデンジです。彼が語る「夢」とは当たり前の衣食住や異性と付き合いたいという、ごく普通のこと。それを明るくポチタに語る姿は切なく、なんとも言えない気持ちにさせられます。

チェンソーマン

そんなデンジにとって、公安のデビルハンターになった目的は、普通の生活を手に入れること。悪魔から人間を守るという正義感などはありませんでした。早川は、信念がないと責め立てますが、デンジは自分に嘘はつきません。それが彼の大きな魅力です。

チェンソーマン

ベテラン・デビルハンターのセリフに「悪魔が恐れるデビルハンターはなあ… 頭のネジがぶっ飛んでるヤツだ」というセリフがあります。デンジは、その言葉にぴったりの存在。戦いは常にハイテンションで、いい意味で考えなし。イカレたセリフがバンバン飛び出します。

チェンソーマン

強烈な個性を持つ悪魔・魔人

本作に登場する悪魔はみんな「○○の悪魔」という名前を持っています。その名の通りの特異な能力を持ち、人間にとって恐ろしいものであればあるほど、力も強大になっていくといいます(たとえば、「コーヒーの悪魔」よりも「車の悪魔」の方が強そう、という感じで)。異色なのが4巻に登場する「天使の悪魔」。矛盾めいた名前ですが、かなり強そう

チェンソーマン:天使の悪魔

また、「魔人」という存在もいます。それは人間の死体を乗っ取った悪魔のこと。人間と一体になったことで、ある程度の知性は生まれますが、それでも本性は悪魔。公安に所属しているパワーやビームは比較的知性の高い「魔人」ですが、人格が悪魔そのものという「魔人」も。

チェンソーマン:魔人

2巻でマキマによって語られる、最凶の悪魔が「銃の悪魔」。かつて日本に上陸したときは、たった26秒で5万7912人を殺したといいます。「もしもデンジ君が銃の悪魔を殺せたら 私がキミの願い事なんでも一つ叶えてあげる」とマキマ。現段階でのラスボス的存在です。

チェンソーマン:デンジとマキマ

テンポの良い会話

キャラクター同士のテンポのいい会話も本作の魅力です。特にドライブ感があるのが、ともに物事を深く考えないタイプであるデンジとパワー。たとえば、この口ゲンカ。民間のデビルハンターが捕まえた悪魔を問答無用で殺してしまったことを、マキマにとがめられたパワーが、とっさにデンジに責任をなすりつけたことで、子供のような言い争いに。

チェンソーマン:デンジとパワーの口喧嘩

ケンカしたかと思えば、あっという間に意気投合することもあるデンジとパワー。ある相手を倒すために、「頭を使って戦えばいいんじゃ!!」と結論した二人ですが、この会話からして、ものすごく頭が悪そうです。

チェンソーマン:デンジとパワー

3巻で描かれた対魔特異課の飲み会では、デビルハンターたちの楽しい会話が。デビルハンターの戦いは壮絶ですが、悪魔を目の前にしても、半分ギャグめいた軽快なセリフが飛び交います。しかし、次の瞬間、惨劇が起こることもしばしば。コミカルとシリアスの転換がスピーディで目が離せません。

チェンソーマン:対魔特異課の飲み会

デンジとポチタの絆

チェーンソーの悪魔と契約を果たし、ポチタと名づけた子供時代のデンジ。それからずっと、二人は極貧生活をともにしてきました。食パン1枚の晩メシを二人で分け合い、寝るときはデンジがポチタを抱きかかえます。デンジが夢を語る相手もポチタだけ。そうやって長い年月を一緒に生きてきたのでした。

チェンソーマン:デンジとポチタ

マキマは、デンジの中でポチタが生きていることを直感で感じ取ります。「キミの親友はキミの中で生きてる」。こんな言葉を出会ったばかりの他人(しかもきれいな女の人)からかけたれたデンジは、ものすごく嬉しそうな表情を浮かべるのでした。デンジとポチタの絆が分かるシーンです。

チェンソーマン:デンジとポチタ

デンジはポチタの最後の言葉を何度も心の中で繰り返し、自分の中にいるはずのポチタに語りかけます。殺伐とした物語の中で、二人の絆には心温まります。

チェンソーマン:デンジとポチタ

登場人物の死生観

民間では対処しきれない強力な悪魔に立ち向かうのが、公安のデビルハンター。同僚がバンバン死んでいくことで、彼らは仲間の死にはかなり麻痺しています。そんな中で、仲間の死を悲しむ心を持ち続けているのが早川。姫野は、仲間が死んだときに涙を流した早川を愛しく思うのでした。

チェンソーマン:姫野

その一方、悪魔の心臓を持つデンジと魔人であるパワーは、死に対してかなりドライです。「仲間が死んでどう思った?」と先輩に問われたときの、二人の答えがこれ。仲間を殺した敵に対する憎しみも持ち合わせてないみたいです。

チェンソーマン:デンジとパワー

逆に、復讐のために生きているのが早川。復讐が叶えば、自分の命ですらどうでもいいと断言するほどの覚悟を持って、戦っています。これもまた、いびつな死生観。本作のキャラクターたちは、やっぱりみんなどこか「頭のネジがぶっ飛んで」います。

チェンソーマン:早川の死生観

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『チェンソーマン』の感想【ネタバレあり】

読者のみなさんの熱いレビューを掲載します!

悪魔とデビルハンター的な割と正統派な設定が、
勢いのある画面と、垢抜けた演出と、いい感じにアホでグッとくるセリフまわしと、なんかレトロな世界観のおかげで、表現しがたい新鮮さを感じる。
セリフがアホでいい。
なんとなく、こなれたおバカ映画を観ているような気分。
大人が楽しめる作品だけれど、それは別に話が複雑とかそういうのではない。
とてもいい。
by.匿名さん

ジャンプらしからぬ作風ですが、間違いなく少年漫画です。
正直人を選ぶと思いますし、スプラッタが苦手な方もいるでしょう。ですが、内容は少年漫画の基本をおさえています。ぶっ飛んでますが、ある意味純粋なデンジを応援したくなる漫画です。
by.ふじふじさん

『チェンソーマン』の感想をもっと見る

『チェンソーマン』の今後を予想!

「銃の悪魔」を倒すという、デンジたちにとってのゴールのようなものが2巻で示され、その後の戦いは、背後に「銃の悪魔」の存在がちらつくように。ストーリーの大きな軸が立って、ブレることなく巻を重ねている『チェンソーマン』。
チェンソーマン:レゼ
ところが5巻ではデンジに好意をいだいている(?)女の子・レゼが登場し、物語は意外な展開に。彼女の登場が、デンジを変えていくのか? それとも、今までのように戦いに生き、悪魔を切り刻み続けるのか? 「銃の悪魔」はいまだ姿を見せておらず、今後の展開が気になります。
また、マキマが契約している悪魔の正体や、新たにデンジのバディとなったビームの活躍など、気になる点もいっぱい。続刊が待ち遠しい作品です!

チェンソーマン
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『チェンソーマン』 1~5巻 藤本タツキ / 集英社

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