『往生際の意味を知れ!』予測不能な元カノ×元カレラブストーリー
「元カノと結婚したい」、そんな驚愕のセリフ(しかも合コン中)から始まる『往生際の意味を知れ!』。7年前に別れた元カノに未練ありまくりの青年・海路を主人公とした、ラブ&アンモラル&サスペンスが入り混じる予測不能な話題作です。
ぶっ飛んだヒーロー&ヒロイン、そしてまったく先が読めない展開が読者を惹きつけて離さない、深呼吸必至の元カノ×元カレ“やり直し”ラブストーリー。
その基本情報やキャラクター、作品の魅力などをご紹介します。
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※当記事に記載の内容は全て「ぶくまる編集部調べ」です。また、当記事には一部ネタバレを含みます。
『往生際の意味を知れ!』とは?
メインキャラクターや見どころ紹介の前に、まずは今作の基本情報やあらすじをおさえておきましょう。
『往生際の意味を知れ!』の基本情報
作者は『あげくの果てのカノン』(小学館)などで知られる米代恭(よねしろきょう)先生。独特の世界観、魅力的でリアルな人物造形、感情をギュンギュン揺さぶる描写と展開などが持ち味で、その作品には押見修造先生や、小説家の村田沙耶香先生などから賞賛のコメントが寄せられています。
今作『往生際の意味を知れ!』は、小学館の『ビッグコミックスピリッツ』にて連載中。2021年8月現在で、単行本・電子コミックともに1~4巻が発売されています。
メインカップルの尖りっぷりや、際立ったストーリー展開で「マンガ大賞2021」の一次選考を通過。最新刊が出るたびに、予想を裏切る展開に度肝を抜かれる、今もっとも勢いに乗るマンガの一つです。
『往生際の意味を知れ!』の物語
主人公は区役所勤務の市松海路(いちまつかいろ)。7年前に謎の別れ方をした元カノ・日下部日和(くさかべひより)を忘れられず、いつどこで誰に対しても「元カノと結婚したい」とのたまうなど、往生際の悪い日々を過ごしています。
ある日、突然目の前に現れた元カノに、無理難題を要求される海路。そのお願いとは……。
大学の映画サークルに所属していた海路に「私の出産記録を撮ってほしい」「精子が欲しい」と言い放ちます。それでいて、妊娠どころか結婚もしていない、相手すらいないとのたまう日和。あまりにもぶっ飛んだお願いに、はじめはあ然としていた海路でしたが、ある考えから結果として承諾します。
次第に明かされていく日和の想いとは————?
個性爆発!『往生際の意味を知れ!』のキャラクター
出るキャラ出るキャラ、全てがねっとりと濃い今作。主要人物をチェック!
市松海路(いちまつかいろ)
区役所勤めの29歳。10年前に日和に出会い、映画サークルの活動の一環で、日和主演の自主映画「降伏」を製作します。被写体として惹かれるうちに好きになり、7年前に告白。無事付き合うも、手すら繋がないまま1カ月でフラれることに。以来、別れの理由も告げず失踪した日和に未練を抱き続けていました。
落雷により、日和ゆかりの持ち物がアパートの部屋ごと消失。自殺まで考えるほど呆然としているタイミングで、日和と再会しました。日和からの依頼をチャンスと捉え、もう一度日和を手に入れようと試行錯誤します。
高学歴、公務員、映画『降伏』が海外の映画祭で高く評価される才能の持ち主(※フラれて以降は映画が撮れなくなりました)で、実はハイスペ。
日下部日和(くさかべひより)
海路の元カノ。海路より3歳年下。父はおらず、家族は母親と、二人の妹だけ。
不可解な失踪を遂げたのち、7年後に唐突に海路に連絡を寄越します。
再会後、海路に「妊娠記録」の撮影を依頼。後日、作品の劇場公開を考えていることがわかります。天使のような見た目ですが、意外にも交際経験は海路のみとのこと。どうやら男性に不信感を抱いているようです。
美人でかわいく、常に笑顔、穏やかなたたずまいの裏に、狂気が垣間見える人物です。
榊田正史(さかきだまさし)
大学時代からの海路の友人で、現在は人気俳優。海路に付き合わされ、ドキュメンタリーのプロデューサーを務めることに。海路を真剣に心配する(※ただし海路にはあまり伝わっていない)いい人。
日下部由紀(くさかべゆき)
日和たち三姉妹の母。漫画家。夫とは死別。
自身の家族を描き、連載が続くほのぼの家族エッセイ『星の三姉妹』は国民的人気を誇り、子ども向けの長期アニメ化もされています。
日下部珠緒(くさかべたまお)
日下部家の次女。歯科衛生士を目指しています。日和とともに家を出て、叔母の美智と一緒に暮らしています。
日下部千世子(くさかべちよこ)
母親と暮らす三女。体が弱く、足が不自由。今後の展開の鍵を握る人物になりそうな予感……!
『往生際の意味を知れ!』をおすすめしたい人
誰にも自信を持って勧められる今作ですが、特に読んで欲しいのはこんな人! 読みどころや理由も合わせてご紹介します。
「忘れられない人がいる」人
まずはズバリ、「海路に共感できる方」。海路の日和への未練&執着が、とにかく強すぎるんです。家が焼けてもへこたれない代わりに、映画「降伏」のデータや3枚きりの写真、日和からもらった腕時計など日和グッズがなくなった途端に生きる気力を失うなど、海路の生き方はあまりにも極端。
それは再会してからも変わらず、海路はいつでも日和全振りです。最初こそ戸惑っていたものの、徐々に全てを肯定し、日和の家族にまで取り入っていきます。
しかし、読者の中には「俺の方が片思い歴は長いぜ!」「何回も付き合って別れてを繰り返している相手がいるよ!」「いやいや年数じゃない、結局は想いの強さだ!」という方もいるのでは? 一見異常とも受け取れる海路だからこそ、一度共感してしまったら、後はもう応援し続けるしかないのです。
「心理描写が丁寧な作品が好き」な人
海路、日和はもちろん、各キャラクターたちの内面が細やかに描かれているのも特徴。海路が日和に抱く思いや、日下部3姉妹の会話シーンなど、揺れ動く感情が確かな画力で表現されています。そのため個性的なキャラクターが多いものの、読みやすく、作品世界にグイグイと引き込まれるはずです。
映画製作の能力がある海路がカメラを回すシーンも頻繁にあり、バストショットからクローズアップに続いたり、定点カメラのように画角が固定されたりと、コマ割りなどに工夫が見られます。どこか映像を見ている感覚になるでしょう。
また、要所要所でダイナミックな大ゴマや、キラキラとした効果、陰影の強い絵画のような構図などが見られ、人物の心理描写に一役買っています。
常にアルカイックスマイルを崩さない日和が目を見開いたシーンなどにも注目してほしいです。
「奇想天外な作品を読みたい」人
筆者が初めて1話を読んだ感想は「全員ぶっとんでる」。しかし、読み進めると、海路も日和も悩み、苦しみ、その中できちんと生活をしていることがわかります。
とにかく設定が奇抜で、先の読めないストーリーが続く怒涛のエンタメ力。しかも、恋愛、ミステリー、復讐劇など、さまざまな要素を含むので、読者を飽きさせることがありません。
特に「恋愛」要素でいえば、ベタな恋愛漫画に飽きている人にこそおすすめです。(アダルトな意味で)ハアハアしながら、なぜかしているのは復讐の話。かと思いきや、突如としてピュアッピュアな恋愛要素もブチ込まれ、脳と感情がグラングラン揺さぶられます。何を考えているかわからない日和が、素でガチ照れする2巻は必見!
日和の依頼を引き受けるにあたり、海路は自分に「復縁のための3つのルール」を課します。「昔と違う自分を見せる」「自分の人生を充実させる」、そして……「相手を好きだと悟られないようにする」。つまり海路は、大好きな日和に「好き」と言えないんです!!!
かたや日和も、そっけないふりして海路を憎からず想っている様子。ああ、なんてもどかしくて楽しくてドキドキするんでしょう。明らかに両想いじゃないの……。
海路は日和の「目論見」を達成し、復縁を実現させるのか? そして、日和が敵視するある人物はどう動くのか? 先が気になって仕方がありません。
おわりに
極力ネタバレを避けた結果、海路と日和のヤバさばかりが際立った記事になってしまいましたが、いい。それでもいい。だって、すべてはあなたに読んでほしいから。
どこを読んでも続きが気になる今作ですが、各巻の引きつよな終わり方はイケズ。
今後も我々の予想を裏切る展開が繰り広げられるかと思うと、ワクワクが止まりません!