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『よふかしのうた』とは? ちょっとスケベな女吸血鬼と男子中学生のボーイミーツガール

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なんだかちょっと眠れない。そんな夜、あなたはどうしますか?
お酒を飲む? 本を読む? 眠くなるまで運動する?

今作の主人公・コウが選んだのは、どストレートに「よふかし」。
家をそっと抜け出して暗い街に出てみれば、いつも人でごった返す道はシン……と静か。誰もいない道の真ん中を歩く、ただそれだけの行為とわかっていてもワクワクそわそわが止まりません。
“夜”の自由さを堪能していたコウが出会ったのは、とっても可愛いナズナ。眠れない少年と吸血鬼の少女が夜に出会ったことから始まる、ちょっとエッチなラブコメディーがこの『よふかしのうた』なのです。

人気HIP HOPユニット「Creepy Nuts」とのコラボ動画も話題の本作。そのあらすじや魅力をご紹介します!

※当記事に記載の内容は全て「ぶくまる編集部調べ」です。また、当記事には一部ネタバレを含みます。

『よふかしのうた』作品紹介

『よふかしのうた』書影

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『よふかしのうた』あらすじ

14歳の夜守コウは、ふとしたきっかけから不登校、そして不眠に陥ります。初めての「よふかし」で出かけた街でコウが知ったのは、夜の自由さと吸血鬼の少女・ナズナの存在。それまでぼんやりと生きてきたコウは、夜の生き物=夜そのものである吸血鬼に強く惹かれ、吸血鬼になろうと決意します。そのために必要なのは、ナズナに恋をすること――。
夜に救いを求める少年の結末はいかに?

『だがしかし』(小学館)のコトヤマ先生が手がける今作は、2020年3月中旬現在で2巻まで発行中。4月中旬には3巻が発売予定ですので、チェックするなら今がチャンスです!

『よふかしのうた』登場人物紹介

夜守コウ(やもり・こう)

優等生としてそこそこの中学生活を過ごしていた、まだ恋愛感情を知らない14歳。女子からの告白を断ったことをきっかけに、何もかもが面倒に感じられ不登校に。日中に体力を消費しない結果不眠に陥り、夜の街に繰り出したところナズナと出会います。

『よふかしのうた』夜守コウ

やりたいこともなりたいものもなかったコウが、初めて知ったのが夜の楽しさと開放感。そこで“夜”そのものである吸血鬼になろうと、ナズナに恋をしようとします。ナズナいわく、コウの血は「めちゃくちゃ美味い…」とのこと。

『よふかしのうた』夜守コウと七草ナズナ

七草ナズナ(ななくさ・なずな)

夜をさまよう人間に声をかけ、寝込みを襲って血を吸う吸血鬼。真っ黒なコートの下には、露出度がアレな衣装にニーハイを合わせています。

『よふかしのうた』七草ナズナ

眷属を増やそうとは考えていませんが、コウの血が美味しすぎるのでつい吸ってしまうようです。血以外ならビールが好き。
一見普通のロリかわ少女ですが、鏡には映らないという吸血鬼らしい姿も。

『よふかしのうた』七草ナズナ

三つ編みを左右で結い上げている髪は、下ろすと長め。

『よふかしのうた』七草ナズナ

コウとの漫才のようなかけ合いも魅力です。ノリがいいナズナはkawaii。

『よふかしのうた』七草ナズナ

朝井アキラ(あさい・あきら)

コウと同じ団地に住む幼なじみの女の子。コウが失くした腕時計型トランシーバーを、プレゼントだと勘違いして所持。コウのことを一方的に友達だと思っています。

『よふかしのうた』朝井アキラ

20時就寝が日課の朝型。朝4時に夜ふかし中のコウと幼少期以来に再会し、登校するよう説得し続けます。

白河清澄(しらかわ・きよすみ)

某メトロの駅名みたいな名前の24歳。出版社に勤めており、会社の飲み会が苦手。

『よふかしのうた』白河清澄

ナズナが獲物(人間)をおびき寄せるために開いていたマッサージ店がお気に入り。疲れを癒やしに来店したところ、ナズナとコウに破天荒な方法で心を開かされ、夜の楽しさを思い出します。

『よふかしのうた』3つの注目ポイント

1.「吸血鬼もの」に一石を投じる設定の妙

本作をカテゴライズするとしたら「吸血鬼ラブコメ」でしょうか。そもそも異性の首筋に噛み付く「吸血」行為自体がエロティックなために「吸血鬼もの」と「ラブコメ」との親和性は高く、これまでにも『ロザリオとバンパイア』(集英社)や『実は私は』(秋田書店)など、多数のヒット作が世に出ています。

そんな「吸血鬼ラブコメ」のうち、今作の大きな特徴が「吸血鬼に恋をした状態で血を吸われると吸血鬼になれる」という設定。そのため吸血鬼になりたいコウは、ナズナに恋をしようと奮闘するわけですが、ここで彼がまだ恋愛感情を理解していないという設定が生きてくるわけです。気を抜けばドタバタ系ハーレムラブコメになりがちな設定を引き締めるコウの塩対応が、ナズナへの恋を意識したときどう変化するか? そしてコウは本当に吸血鬼になってしまうのか? 見どころは尽きません。

また、コウからの憧れの目線に対して、ナズナもまんざらではない様子。コウに「獲物」以上の感情を抱いている(現状では「友愛」が近いかも?)様子が微笑ましいです。
もちろんコウを「獲物」としても気に入っています。人間の血は眠りに落ちる寸前が“夜”を溜め込んでいて一番おいしいそうですが、それを差し引いてもコウの血は格別とのこと。

血の味で、コウが何を考えているのかがなんとなくわかるとナズナは言います。多くを経験し、多くを学び、多くを感じて、さらに血をおいしいものにせよと舌なめずりするナズナはなんとも妖艶です!

2.読者の心をリアル中2にしてしまう、ファンタジー系ラッキースケベ漫画!?

いくらコウが塩対応だと言ったって、ラッキースケベはあるに越したことはありませんよね? ご安心ください、他の吸血鬼ラブコメに負けず劣らず今作だってえっちです。

そもそもヒロインのナズナはやたらと下ネタが好き。可愛い顔してオヤジ臭いセクハラをコウにかます一方、「恋」だの「愛」だのの話には照れまくってしまう乙女な一面も持ち合わせています。きわどいワードはあっけらかんと連発するくせに……。

『よふかしのうた』きわどいワードを発するナズナ

恋愛の話になると急に照れるナズナ。中学生か。

『よふかしのうた』照れるナズナ
『よふかしのうた』照れるナズナ

「はしたない」の感覚がちょっとずれてるナズナもkawaii。

『よふかしのうた』ズレてるナズナ

そんなオヤジくさいナズナいわく、吸血行為は「まぐわい」。

『よふかしのうた』オヤジくさいナズナ

痛みと快感を伴う吸血行為に、コウも確かに「まぐわい」だと納得しています。
また、2巻でナズナが他の人間の血を吸っていたことをに落ち込むコウに対して、ナズナは「今はお前だけだよ」と男前なフォロー。吸血鬼とその眷属(※希望)の絆は、男女関係によく似ているのかもしれません。

さらに、眠る寸前の絶品の血を求めるナズナが考えた「添い寝屋」業務も、読者のスケベ心を存分に煽ってくれます。

『よふかしのうた』添い寝部屋のナズナ

ナズナにとっては血を吸いやすいシチュエーションを作るための仕事ですが、一番お安い「スタンダード添い寝コース」は3000円からで、プラス「ひざまくら10分」「コスプレ」などのオプションもあり。……これは……14歳のリアル中二であるコウにとっては風俗といっても過言でないのでは……? ちなみに血を吸われた直後は「血の気が引いて」よく眠れるみたいです。貧血でなければいいのですが。

もちろん(!?)、一緒にラブホに入る、夜のプールに忍び込むなど、少年誌ならではのドキドキ展開も満載。期待に応える漫画家、それがコトヤマ先生なのです。

3.勢いに乗る人気ユニットとのコラボPVも!

1巻の終わりでコトヤマ先生が書いているように、「よふかしのうた」というタイトルはHIP HOPユニット「Creepy Nuts(クリーピーナッツ)」の楽曲が元になっています。

Creepy Nutsとは、MCバトル日本一のラッパー「R-指定」とDJバトル世界一のDJ「DJ 松永」の2人による実力派ユニット。ラジオ「Creepy Nutsのオールナイトニッポン0」や、「ヒプノシスマイク」オオサカディビジョンへの楽曲提供(「あゝオオサカdreamin’ night」)で存在を知った方もいるのではないでしょうか。ええ曲やでぇ。

Creepy Nutsの特徴の一つに、人間なら誰もが共感する(そして頭を抱えて悶える)劣等感など“負の感情”を笑いや皮肉、哀愁に落とし込んだリリックがあげられます。「よふかしのうた」も独自の歌詞世界に仕立てられており、“夜”がえっちなお姉さんのように表現されています。怪しげだけど強い魅力を持つ“夜”を、気まぐれなサキュバスまたはインキュバスに喩える感性には脱帽。きっとコトヤマ先生も、多くのインスピレーションを受けたことでしょう!

『よふかしのうた』歌詞とのリンク

その証拠に、コウのセリフにも歌詞とリンクしたものが……。

その後楽曲と漫画のコラボPVが公開され、双方のファンから大きな反響を呼びました。

楽曲でも漫画でも、根底にあるのは「魅力的な夜」への憧れ。スタイリッシュな演出も相まって、非常に親和性の高い作りになっています。未読の方への布教動画としてもぜひご活用ください!

『よふかしのうた』読者の声

独特の世界観、甘酸っぱくておかしなコウとナズナのやりとり…早くも魅力いっぱいの今作に寄せられた読者の声の一部をご紹介します!

面白い!
だがしかし のコトヤマ先生の最新作。
前作も女の子がとても可愛かったけど、今回もナズナちゃんが可愛すぎます!
これからどんな展開になるのか、ワクワクです!

どうなっていくか楽しみ!
眠りという要素が物語の大きなカギを握っている。
眠りたいのに眠れなくて街をさまようコウはナズナとの出会いによって夜の楽しさを知っていき、
吸血鬼に憧れる。
一方、ナズナは眠りにつく直前の人間の血を求めている。
なかでもコウの血は格別のおいしさのようだ。
利害が一致しているようでちぐはぐなふたりの関係、
これからどんな風に発展していくのだろうか。楽しみでしかない!

コトヤマ先生の描かれる女子が好きすぎる
何か企んでるような顔つきでニヤ~っとする女子を描かせたら
コトヤマ先生の右に出るものはいない、と思っているのですが
今作もその期待を裏切らないどころか大きく超えてくる
ナズナの怪しさと可愛さ!
添い寝屋やってる女吸血鬼っていうナズナの設定の、
そのトンデモ感からもうクセになります。

終わりに

テンポの良いコミカルなセリフと可愛いキャラクター、そして「夜」と「吸血鬼」というわかりやすいテーマで読者の心をつかむ『よふかしのうた』。今まではコウとナズナを中心とした展開になっていましたが、2巻の終わりで新キャラが続々登場の予感……!?

気になる3巻は4月中旬に発売。それまで眠れぬ夜を堪能しながら待ちましょう!

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