『からかい上手の高木さん』の魅力を徹底レビュー!ほっこりからかいバトルに悶絶!

お互い好きだけど付き合うとかそういうことではなくて、毎日教室で他愛もないことをしゃべって、なんとなく一緒に帰るのが当たり前になっていて、それが楽しくて楽しくて、そのコがいるから明日も学校に行くのが楽しみになる――。あ”ーーー青春うらやましぃいいと、読めば絶対に心が叫びたがってしまう漫画、『からかい上手の高木さん』。
2018年、2019年と2度にわたってアニメ化もされ、全世界を「高木さんにからかわれたい願望」に染め上げた青春ラブ(?)コメディの基本情報と魅力、読者の感想などをご紹介します。
※当記事に記載の内容は全て「ぶくまる編集部調べ」です。また、当記事にはネタバレを含みます。
目次
『からかい上手の高木さん』とは?
とある地方の町を舞台に、中学生2人の何気ない日常を描く『からかい上手の高木さん』。毎回、特に事件は起こらないのに、読めば必ず甘酸っぱい気持ちにさせられてしまう話題のムズキュン漫画とは?
基本情報
本作は、タイトルの通り、からかい上手なヒロイン・高木さんと、彼女にからかわれてばかりの純情男子・西片という中学1年生2人の日常を描いた青春ラブ(?)コメディです。
©山本崇一朗 / 小学館2013年、『ゲッサン』(小学館)付録の小冊子に初掲載されたことをきっかけに、2016年8月から同誌で定期連載。作者は『ふだつきのキョーコちゃん』(小学館)『それでも歩は寄せてくる』(講談社)の山本崇一朗先生です。2019年11月現在、単行本は11巻まで発行され、シリーズ累計発行部数は700万部越え!
©山本崇一朗 / 小学館さらに、2018年1月に初TVアニメ化、2019年7月には第2期「からかい上手の高木さん②」が全12話で放送されました。アニメーション制作はシンエイ動画が担当、監督は赤城博昭。主人公2人の声優を務めた高橋李依、梶裕貴の声もばっちりはまり、放送のたびに「#高木さんめ」がtwitter上にあふれるなど、アニメも話題に。現在、作品は動画配信サイトでも視聴可能で、3期放送が待ち望まれています。
©山本崇一朗 / 小学館ちなみにアニメで舞台として描かれたのは、作者の出身地である小豆島。自然に恵まれたノスタルジックな美しい風景も見どころとなり、放送開始以降、聖地巡礼として島を訪れるファンが後を絶たないとか。
『からかい上手の高木さん』のストーリー
舞台は、とある地方都市の中学校。どこにでもいるごく普通の中学1年生男子・西片には、ある大きな悩みがあった――。それは、隣の席の女子・高木さんが、いつもいつも自分をからかってくること。授業中に手渡された筆箱を開けば飛び出す仕掛けが仕込まれているし、ロッカーに隠れて脅かしてくるし、教室で好きな深夜アニメをばらされるハメになるし……。
©山本崇一朗 / 小学館なんとか高木さんをへこませてやりたい!と、あの手この手で反撃する西片だったが、常に高木さんの方が一枚上手。
ムキになって勝負を仕掛けるたび、毎回、高木さんの魔性の言葉にやりこめられてしまう。
「もし西片が勝ったら私のファーストキスあげるよ。」
「今日手つないで帰ろっか」
「私、西片のこと好きだよ」
©山本崇一朗 / 小学館そんな思わせぶりな言葉にいちいち真っ赤になる純情な西片と、その反応を面白がる高木さん。その度に「高木さんめ!」と悔しがる西片……。
でも高木さん、それって本当にからかっているだけ……?
周囲からはうすうす「あの2人、付き合ってる?」と勘違いされていることも気にせず、今日もふたりのからかい勝負は続くのだった。
『からかい上手の高木さん』のキャラクター
西片&高木さんの絡みだけで9割が展開していく本作ですが、脇役たちも密かにいい仕事してます。主人公2人と、2人を時に盛り立て、時に距離を縮めるきっかけをくれるクラスメートたちを紹介します。
西片(にしかた)
入学式で高木さんの落としたハンカチを拾ったのが運の尽き。同じクラスで隣の席となって以降、1年中からかわれ続けることになった隙だらけの男子。高木さんが自分のことをからかうのは、「からかいたいだけだと思う」と解釈している超鈍感系主人公。1巻で、その日高木さんにからかわれた回数×10回腕立て伏せをすることを課して以降、日に日にたくましくなっていく。深夜アニメ『100%片思い』にハマっていることを必死に隠している。
©山本崇一朗 / 小学館めちゃくちゃ単純なザ・中学生男子
モテたいとか女子と付き合いたいとかよりも、まだまだ全力で「勝負」したいお年頃な西片。腕相撲も身長も、女子である高木さんに本気で負けたくないと思っているのが、単純な中1男子の見本のようです。ちなみに西片が考える「高木さんをからかう」は、カエルで驚かせようとしたり、石蹴りや水切り勝負を仕掛けたり、というお子様系。
高木(たかぎ)さん
西片のクラスメイトで、隣の席の女子。ポーカーフェイスで常に微笑んでいる。成績は学年10位で運動神経も抜群。三度の飯よりも、西片をからかって真っ赤にさせることが好き。というか、西片が大好き。西片のリアクションを楽しむためには、掃除用具入れに隠れたり、超人的な変顔を見せたりと体を張った勝負も辞さない。趣味は漫画を読むことと散歩。
©山本崇一朗 / 小学館西片のことが好きなのに伝わらない
本作最大の萌えポイントは、相手をからかって楽しむという優位な立場に立っている高木さんが、西片にぞっこんなこと。本当は西片に気持ちを伝えたいのに、素直になれずついついからかってしまう……。好きな子ほどいじめてしまう男子小学生のような行動に出ている高木さんがかわいい!
ミナ
高木さんと西片にちょくちょく絡む女子3人組の1人。いつも元気いっぱいで、マラソン大会、バレンタインなどイベントは全力で楽しむ陽キャでおバカ。集中しないとおしっこが出ないという謎の癖を持つ。
©山本崇一朗 / 小学館ユカリ
同じく女子3人組の1人で、学級委員長。恋愛に興味深々のおませさん。真面目な性格で、歯に衣着せないサナエのフォロー役でもある。西片と高木さんの仲の良さにいち早く目を付け、2人は付き合っていると思い込んでいる。
©山本崇一朗 / 小学館サナエ
同じく女子3人組の1人。無表情で言いにくいこともズバリと指摘する神経の図太さを持ち、気に入らないときは暴力に訴えることも辞さない。さらに人を困らせるのが好きで、トイレではユカリのおしっこの邪魔をするのが好き、という困った性格。陸上部。
©山本崇一朗 / 小学館中井(なかい)
2巻から真野と付き合っている男子。女ゴコロに鈍感で、しょっちゅう真野を不安にさせている。
©山本崇一朗 / 小学館真野(まの)
中井の彼女。中井にベタ惚れだが、マイペースな彼に振り回され気味。高木さんによく恋愛アドバイスを求めている。
©山本崇一朗 / 小学館高尾(たかお)
西片とよくつるんでいる出っ歯&眼鏡男子。モテないことを嘆いている。
©山本崇一朗 / 小学館木村(きむら)
西片とつるんでいる友人その2。見た目の期待を裏切らず、食べることが大好き。席替えの際には、早弁ができないからという理由でトレードを希望していた。マラソンが苦手。
©山本崇一朗 / 小学館田辺(たなべ)先生
西片たちのクラス担任。授業中勝負にかまけている西片に目をつけている。西片いわく「怒ると一番怖い」。一見強面だが、バレンタインには、本命チョコを渡す現場をさりげなく見逃すなどのやさしさが垣間見えることも。
©山本崇一朗 / 小学館『からかい上手の高木さん』の魅力
お互い好き同士のイチャイチャカップルにしか見えない西片と高木さんの攻防。それが最強に尊いのは一体なぜなのか? 本作の魅力を改めて考察してみました。
からかわれて動揺する西片がかわいい
思春期の入口でもあるお年頃の西片。ただの勝負だったはずが、“異性へ興味を持っている自分”をふとした瞬間に自覚してしまい、それを必死に否定しようとして混乱し、そこを高木さんにつけこまれるハメになるのが毎回のお約束です。高木さんと相合傘をすれば赤くなるし、ジュースを譲られれば間接キスを意識するし……。純情すぎる西片を、高木さん目線で見るとニヤニヤが止まりません。高木さんのことは「かわいい」と思っているものの、負けた気がして口には出せない……という中学生男子ゴコロもかわいい。
©山本崇一朗 / 小学館高木さんの恋心にドキッとする
毎度、子どもっぽい勝負をしかけてくる西片を、赤面させる言葉でやり込める高木さん。西片はまったく気づきませんが、その言葉には高木さんの本音がにじんでることがしばしば。
しかし、ザ・中学1年生のスルースキルたるや、メッシのドリブルもかすむレベル。決死の乙女心は華麗にかわされ、まったく伝わりません。その2人のやりとりが、とにかくもどかしい。
そして巻数を重ねるほど、高木さんのアピールもどんどんヒートアップ。
「私は西片のことばかり考えてるよ。」
「私は西片のクッキー食べたかったよ」
「私のこと好き?」
©山本崇一朗 / 小学館思わせぶり……どころか西片への好意をぐいぐいストレートに伝えてくるように。
極めつけはこちら。
「私が勝ったら、今まで通り一生からかってもいい?」
もはやプロポーズです!
しかし、ときどき西片の無意識の言動が高木さんを動揺させることも。友だちからのゲームの誘いを断って高木さんと一緒に帰ることにした西片が
「高木さんと帰りたかったし。」
とつぶやいた何気ないひと言に頬を染める高木さん。でも西片はその顔を見ていないのでした……。
ちなみに、ちなみに、山本崇一朗先生原作のもと、稲葉光史先生が描く『からかい上手の(元)高木さん』(小学館)では、結婚し、一児の母となった高木さんのその後が描かれています。結婚相手はもちろん……。(元)高木さんの子ども、「ちー」ちゃんは、勝負に目がなく、単純な誰かさんにそっくり。
高木さんの願いは、どうやら叶えられたようです。
大きな出来事が起こらなくても楽しい
毎回1話完結、1つの勝負がテーマで描かれる本作。
勝負の内容は、中学1年生らしく、「いい雪だるまをつくった方が勝ち」「なぜ今日高木さんが自転車なのか当てられたら勝ち」など、たわいもないものばかりです。
序盤は西片優勢、単純な西片が勝負を確信したあたりで、高木さんの一言で動揺し、結局高木さんの勝利に終わる……というのが毎回の王道パターン。
特に大きな事件が起こるわけでもなく、サザエさん的に中学1年生を延々とループしている西片と高木さんの物語ですが、中学生のかわいい青春にひたすらほっこり癒されます。
©山本崇一朗 / 小学館『からかい上手の高木さん』の感想【ネタバレあり】
読んだら最後、『高木さん』の魅力にハマってしまったという人続出です。読者から届いた本作全体の感想と、最新11巻の感想を紹介します。
『からかい上手の高木さん』全体の感想
「羨まけしからん」
話題になっていたので読んでみました。
漫画タイトルの通りからかい上手の高木さんに翻弄され続ける西片を見て「なんて…なんて羨ましいんだ!」と悶えました。
あんな小生意気な美少女に好意を寄せられてちょっかいを出され続ける学生生活、そして将来はもう確定してるとか…。
西片への嫉妬で狂死しそうですが、西片に感情移入できれば楽しめると思います。
「癒される」
一歩どころか百歩くらい前をいく高木さんにからかわれ翻弄される西片くんに癒されます。
好きな子についついちょっかいを出してしまう学生時代を思い出すような、懐かしい気持ちを呼び起こしてくれる作品です。学生時代に戻りたくなりました。作中もほのぼの、ゆっくりと物語が進んでいくので自分のペースでゆっくり読み進めていけます。
「中学生ならではの不器用さ」
女子を意識し始めた、男子中学生の不器用さを上手く表現している為、
見ていてほのぼの、温かい気持ちになります。
主人公がわかりやすいのもありますが、女子の方が精神的に上の為、
上手く不器用な部分をつついています。
嫌味が無く、からかわれるのも嫌だけれど、かまって貰えないのも嫌だという、
かわいい主人公を見て、つい自分の中学時代を連想してしまいます。
『からかい上手の高木さん』最新11巻の感想
「高木さん告白しまくり」
こんなに真っ直ぐに好きでいられるって、すごく羨ましいです。西片がそれを真っ直ぐに受け止めたり、逆に引いてしまったら成立しない、微妙な距離感を維持する高木さん、職人技です。
山本崇一朗氏の『からかい上手の高木さん 』の11巻を読んでみた。 やっぱ高木さんの西片へのからかい方は可愛いなー。甘酸っぱいなー。
Posted by ブクログ
『からかい上手の高木さん』の魅力
「今日、一緒に帰ろうよ」。
お互いを意識してしまう時がある一方で、そんなひと言をサラリと口にできるのは、2年生でも3年生でもなく、中学1年生というこの一瞬だけの特権なのかもしれません。
学校帰りに寄り道する駄菓子屋、雨宿りできる神社、フナが釣れる小さな池……ノスタルジックな風景の効果もあってか、その時期が遠い昔となってしまった大人世代も、懐かしさとともに「自分にもこんな時代あったっけ」と自然と共感できるのも、本作の魅力です。
この先、西片と高木さんの関係はどうなっていくのか。関係の進展を期待する一方で、できればずっとこのままでいてほしい、とも思ってしまう――。ムズキュン青春ラブコメディ『からかい上手の高木さん』から今後も目が離せません。

