『吸血鬼すぐ死ぬ』吸血鬼とハンターが織りなす爆笑ギャグ漫画

アニメ化が決定し、話題沸騰中の『吸血鬼すぐ死ぬ』、略して“吸死”。クセが強すぎる吸血鬼&バンパイアハンターたちが繰り広げるハイテンションギャグには中毒性があり、一度ハマったら抜け出せない強い沼みを感じます。
かくいう筆者も中毒患者の一人。一定期間摂取しないと禁断症状に陥る、そんな(ある意味)ヤバい今作の基本情報や魅力、同じく沼にズブズブハマった同胞読者からの感想などを、全力でご紹介します!
また、リンク先の電子書籍ストアBookLive!では、新規入会者限定の50%OFFクーポンを差し上げています。気になる作品にご利用ください。
※当記事に記載の内容は全て「ぶくまる編集部調べ」です。また、当記事には一部ネタバレを含みます。
目次
『吸血鬼すぐ死ぬ』とは?
そもそも『吸血鬼すぐ死ぬ』ってどんな漫画? という方のために、基本情報やあらすじをご説明します。
『吸血鬼すぐ死ぬ』 1~15巻 盆ノ木至/秋田書店
『吸血鬼すぐ死ぬ』を無料で試し読みする
アニメ化決定! ハイテンションギャグ漫画『吸血鬼すぐ死ぬ』
盆ノ木至(ぼんのき・いたる)先生による『吸血鬼すぐ死ぬ』は、秋田書店の「週刊少年チャンピオン」で2015年から連載されているギャグ漫画です。2020年7月末現在、コミックス最新刊は15巻(5月8日発売)。15巻の発売と同時期にアニメ化が発表され、放映時期、キャストなどに注目が集まっています。今後の続報にご期待ください!
なお、「怒涛のネタ量!!」と評された盆ノ木先生のデビュー作にして読み切り版「吸血鬼すぐ死ぬ」はコミックス2巻に収録されています。
『吸血鬼すぐ死ぬ』のあらすじ
吸血鬼ハンターのロナルドは、行方不明の子供を救出するために「真祖にして無敵」と呼ばれる吸血鬼・ドラルクの城に潜入します。強敵出現の予感に奮い立つロナルド。しかし、実際のドラルクは壁に挟まれただけですぐ死ぬ(①)クソザコ吸血鬼だったのです。

改めて感じるタイトルの潔さ……!
ちょっとした衝撃で簡単に死んでは再生する(②)吸血鬼ドラルクと、退治人ロナルドは、悪口の言い合いという名の攻防戦(③)を繰り広げつつ子供を追います。なんやかんやで城が爆発(④)し、居場所を失ったドラルクは新横浜(⑤)にあるロナルドの事務所へ押しかけ、強引に同居生活を始めます。
簡単なあらすじだけでも5カ所のツッコミが入るギャグっぷり、どうですたまらないでしょう? 基本的には1話完結で、ドラルク&ロナルドコンビ+個性強めのキャラクターたちによる乱痴気騒ぎが描かれます。どうぞ、頭を空っぽにして楽しんでください。
SNSで大反響! 『吸血鬼すぐ死ぬ』人気投票の斬新なルール
本編の魅力を語る前に、その独特の世界観を物語る斬新な企画についてもご紹介。よく見る「人気投票」も、吸死の手にかかればこんな結果に……!?
アニメ化を記念し、2020年5月上旬発売の「週刊少年チャンピオン」23号にて、初の人気投票が開催されました。話題になったのは作者が設定した新しすぎるルール。すなわち、
・「集計の人をギリギリぶっ壊さない」ならどれだけの数を投票してもよい
・烈海王なり米津◯師なり、作中に登場しないキャラクターに投票しても良い
・4位になったキャラのメイン回を描く
といった、1枚のハガキにありったけの想いを込める“自己申告制投票”です。スリリング、かつ1票の格差問題を解決する(?)このルールで、みなさんなら何票入れるでしょうか?
注目の結果は7月2日発売の31号で発表されました。
総得票数は「20澗2溝400億3187万2259無量大数1158不可思議9994那由他7923阿僧祇5925恒河沙3394極17載227正5013澗7636溝3129穣701杼8436垓3237京5482兆1365億2080万2682票」と天文学的! へぇーこんな単位あるんだ。
ランキング結果は巻頭のカラーページで発表されましたので、コミックス派の方は新巻の発売をそわそわしながらお待ちください。なお、「作中に登場しないキャラクターでもOK」ルールによって、『魔入りました!入間くん』(秋田書店)の主人公・鈴木入間も上位にランクイン。マンガ本編には西修先生が描き下ろした入間が登場し、うれしいコラボが実現しました。さらに、本編は公約により4位のキャラのメイン回になっています。役得キャラは誰なのか、ご自分の目でぜひ確かめてくださいね。
なお、上記の結果は全部手作業で集計されたようです。集計の人がぶっ壊れなくてよかった……。
『吸血鬼すぐ死ぬ』のユニークなキャラクターたち
本作のはちゃめちゃさがだいぶわかってきたところで、改めてメインキャラクターたちをご紹介しましょう。振り落とされないよう、頑張ってついてきてください!
ドラルク
200年以上生きる不死身の吸血鬼。物理的・精神的ダメージですぐに死ぬ=塵の状態になりますが、割とあっさり再生しますのでご安心ください。非力オブ非力なザコですが、一応は知的で人間に友好的な高等吸血鬼(バンパイアロード)。

朝日に弱い、昼間は超快適な棺桶の中で睡眠をとる、ニンニクが苦手……など、「すぐ死ぬ」以外は一般的なイメージの吸血鬼と同様の特徴を持っています。
また、コウモリにも変身可能。……というと吸血鬼っぽいですが、そこはやはりクソザコ。変身のコツを忘れた結果、だいぶ気持ちの悪い生命体に(死ぬとリセットされます)。

腐っても高等吸血鬼なので、血を吸った人間を眷属にできます。しかし、不摂生のために最近は牛乳であっさりと済ませており、いざ吸血すると胃がびっくりしちゃう模様。どこまでもひ弱です。
引きこもりのため、特技は料理をはじめとした家事全般とゲーム。現実世界では最弱ですが、二次元の世界では大活躍します。その腕を買われて、クソゲーレビューの仕事や、動画サイト「シャブシャブ動画」の「ドラドラちゃんねる」でゲーム動画の配信などをしています。

ロナルド
新横浜駅から徒歩7分ほどの場所で「ロナルド吸血鬼退治事務所」を営むバンパイアハンター。

赤い帽子、赤いマント、銀髪イケメンとビジュアル担当っぽいのに、体裁を気にしたりエッチなことにはウブだったりと、中身は割と残念。基本的にはツッコミ担当ですが、巻が進むほどに脳筋ゴリラらしい頭悪めのボケが増えていきます。
ハンターとしては着実に結果を出し続けており、自伝小説「ロナルドウォー戦記」(通称「ロナ戦」)は固定ファンがつくほど人気。その出版社であるオータム書店の編集担当・フクマさんを恐れています。

ジョン
ドラルクの血を飲んだ使い魔で、世界一かわいいアルマジロ。今作のマスコット的存在として、誰からも愛されています。名前は「ジョーカーボールたまおマルスケオリハルコンZガーディアン」の略。

鳴き声は「ヌー」。ドラルクとの絆はとても深く、ジョンが使い魔になったエピソードには誰もがうっかりほっこり涙ぐむはず。さあ、今すぐ5巻をダウンロード!
ドラウス
妻と息子を溺愛するドラルクの父親。後述の「Y談おじさん」とは因縁の仲。

ドラルクとは違い強大な吸血鬼ですが、すぐに心が折れて自虐を始める一面も。
御真祖さま
ドラルクの祖父で、一族の当主。真祖にして最強、無限の体力・気力をもつ最も厄介な吸血鬼。趣味や思いつきに一族を付き合わせがち。

ヒナイチ
神奈川県警吸血鬼対策課(=略して吸対)所属捜査官、および対吸血鬼特殊戦闘員の女の子。ドラルクの調査のためにロナルドの事務所を訪れるも、予想外のロマンティックな対応にノックアウト。ドラルクを強大な吸血鬼と勘違いして彼の監視任務に名乗りを上げますが…。

兄のカズサは吸対の本部長を務めるエリートです。

半田桃(はんだとう)
人呼んで吸対の“奇行子(きこうし)”。吸血鬼と人間のハーフ=“ダンピール”なので、吸血鬼の気配を探知できます。ロナルドや、雑誌「週刊バンパイアハンター」の記者カメ谷とは高校時代からの同級生。
愛する母親が「ロナ戦」ファンのため、ことあるごとに作者のロナルドに突っかかるマザコンです。基本的に仕事ができるいい男ですが、ロナルドに嫌がらせしている時の知能指数は小学生レベル。一周回ってロナルド大好き疑惑はぬぐえません。

ヒヨシ
ヒナイチ、半田たちの上司で、吸対課長。吸対メンバーには知らされていませんが、実はロナルドの尊敬する実の兄。もともとは優秀な吸血鬼退治人でしたが、あることをきっかけに吸対に転職しました。

女癖が悪いのが玉に瑕。童顔&低身長を気にして、普段はつけひげを愛用しています。
サギョウ
射撃が得意な吸対の新人。半田によるロナルドへの嫌がらせに巻き込まれ、いつも尻拭いするハメに。吸血鬼化したゴボウの「ゴビー」といつも一緒。

フクマ
武闘派出版社・オータム書店の有能編集者。温和な見た目・物腰とは裏腹に、バトルアックス、アイアンメイデンなどの荒々しい得物や、空間を捻じ曲げる能力で絶対に原稿を狩る無敵の猛者。

催眠術を操る吸血猫でさえもペット化してしまう超ねこ好きです。やはり無敵。
ゼンラニウム

股間から生やしたゼラニウムを操る高等吸血鬼。股間から産まれた“種”を飲んだ人間はゼンラニウムの血族となり、その力を受け継ぎます。本当にイヤだ。
フォン・ナ・ドゥーブツ / へんな動物

どんな姿にも変身できる吸血鬼、通称「へんな」。能力のコントロールが苦手で、エッチなことを考えると暴走してわけのわからない姿に変身してしまいますが、気持ちが萎えるとイケメンに。イケメンのまま一生しょんぼりしていてほしい。

ものすごく頑張れば、本物よりもかっこいいロナルドにも変身可能。やむを得ない場合の影武者としてごくたまに活躍します。
ナギリ
“辻斬りナギリ”との異名をとる危険度A吸オーバーの手配犯。……だったのに、新横浜を訪れてからは悲惨な目に遭いまくる不憫な吸血鬼。諸々の理由からジョンを「丸」と呼んで執着しています。

とある因果な巡り合わせで、吸対の熱血警官ケイ・カンタロウに追い回されています。

何というかもう苦労人。
吸血鬼Y談おじさん
「Y談しか喋れなくする」という恐ろしい催眠術を操る吸血鬼。作中でもトップクラスの強大な催眠術の力をY談にしか使わないというしょうもないおじさんです。
古い血の吸血鬼で、ドラルクの父・ドラウスとは腐れ縁。
誰も彼をもからかって面白おかしく生きる、享楽主義の吸血鬼ですが、唯一「御真祖様」には敵わないようで…?

ヨモツザカ

吸血鬼研究センター(VRC:Vampire Research Center)所長。大天才かつ研究第一のマッドサイエンティスト。人権より犬権を尊重するタイプの圧倒的犬派。
アルミニウス・ヴァン・ヘルシング
吸血鬼退治人の祖といわれる伝説のハンター。
聖剣「バンパイアキラー」を依り代にし、幽霊として現世に復活。しかし、すったもんだあって、猿のタマちゃんに憑依してしまいます。

どうやら生前の記憶を失っているようで……?
『吸血鬼すぐ死ぬ』にハマる理由
基本的に1話(12P)完結という限られたスペースで繰り広げられる、おポンチたちの乱痴気騒ぎ。コマの端から端まで全て見どころ、そんな“吸死”ワールドの魅力とは?
何でもあり!? 脇役も含めて全員個性的
主人公はドラルクとロナルドですが、脇役の個性が強すぎて、もはや全員が主役と言っても過言ではありません。本来であれば敵同士である吸血鬼とバンパイアハンターがコンビを組んだことにより、新横浜は吸血鬼、ハンター、吸血鬼対策課たちが入り乱れる超絶カオスな街に。改めて今作の登場人物をざっくりカテゴライズすると……。
ロナルドの事務所
ドラルク、ロナルド、ジョン、ドラルク城から連れてきたメビヤツ、ペットの吸血デメキンなどレギュラーメンバー。

吸血鬼ハンター
ロナルドの所属する新横浜の吸血鬼ハンターギルド(ドラルクいわく「おもしろチンドン集団」)のメンバーは、ダンディなギルドマスター「ゴウセツ」、豪腕なのに気が弱い「サテツ」など。

ほか、東京の「ミカヅキ」、木更津の「キズ」ら各地にもハンターが点在しています。
ドラルク一族
ドラウスとその妻ミラ、御真祖さま、ドラルクの叔母ゴルゴナほか親戚のみなさん。

(ドラルク一族を除く)吸血鬼
ナギリやゼンラニウムなどのほか、「Y談おじさん」「野球拳大好き」「マイクロビキニ」「下半身透明」兄弟(見た目と能力は名前の通り)ら変態のオンパレードに加え、意志を持たない単発の下等吸血鬼など。

吸対&VRCメンバー
ヒヨシ、ヒナイチ、半田、サギョウらヒヨシ隊や、VRC所長ヨモツザカなど。

オータム書店の編集者
編集長の業(ごう)さん、フクマ、忍者の里出身のサンズ&クワバラ、名もなきバイオ新人編集者たちなど。

人間、その他
ヘルシング、元ハンターの「靴下コレクション」、「キックボードのガキ」、半田家の夫婦、ダチョウなど有象無象。
特に吸血鬼や御真祖さまの作るドラ●もんばりのアイテムは、何でもアリのため無限に増殖します。読者が考案した吸血鬼「君がエッチなことを考えると星を降らせるおじさん」のインパクトには腰が抜けた。
キャラの誰もがメイン回をはれるだけの個性をもつ今作は、いわばおポンチたちのバーリトゥード! むしろスタイリッシュな見た目・能力のキャラほど出番が少なくなる傾向に涙が出ます。
強めキャラによるハイテンションなギャグ
最初こそドラルクがすぐ死ぬ斬新さに大笑いするものの、読み進めると、今作の本当の魅力はそれも含めた高速のギャグの応酬だとわかってきます。
キャラ同士が組織の垣根を超えて互いにツッコミ合ったり、ボケとツッコミが入れ替わったり……。それだけでも面白いのですが、上記のようにとにかく全員キャラが濃く、我こそはとグイグイ主張してくるので、どうあがいてもハイテンションな展開に。Aのボケ→Bのツッコミ→Cの乱入→Aのツッコミ(クソデカボイス)、この無限ループがクセになるのです。

単発登場の虫ですらツッコんでくる始末。
また、魔術結社のようなオータム書店、生き物の吸血鬼化、変身に失敗するドラルク、脳筋ロナルドの力任せのオチ……など、IQ2でも笑えるわかりやすいギャグ、コントのように飽きのこない展開も魅力的。
内容はわかりやすく、展開はユニークで、ボケ&ツッコミの語彙は豊富かつ緩急のメリハリが絶妙。年齢問わず、誰もがハマる理由はここにあるのではないでしょうか。

“笑える”だけじゃない読後の爽快感
「すぐ死ぬ」と物騒なタイトルながら、今作に漂う雰囲気はとっても優しいことにお気づきでしょうか? 罵詈雑言は飛び交うし、ドラルクはよく死によく殺されるけれども、世界観は基本的にとても穏やか。なんだか微笑ましい気持ちになるのです。
それはきっと、どのキャラも嫌いになれないから。いくら変態でも、いくら意味がわからない存在でも、いざとなればみんなで協力して奇跡を起こしてくれそうだという、謎の信頼と安心を感じるからではないでしょうか。
その最たる例が主役の二人。普段はケンカばかりですが、博識なドラルクと凄腕退治人のロナルドは、いざタッグを組めば最強! 母親に記憶を操作されて連れ去られたドラルクを、ロナルドとヒナイチが追う第145死(12巻収録)は、二人の信頼関係が浮き彫りになるシリーズ屈指の神回です。

新横浜の人間と吸血鬼たちが巻き起こす狂乱の宴。約200年もの間ジョンと静かに過ごしてきたドラルクにとって、それはきっとうれしい騒音なのでしょう。
基本爆笑、時にエモくて、やっぱり笑える。笑いたい時はもちろん、癒やされたい時、暇な時、辛い時、悲しい時、怒りを鎮めたい時など、あらゆる感情に寄り添う懐の広いギャグ漫画が今作なのです。HAPPY!
『吸血鬼すぐ死ぬ』の感想
Booklive!に寄せられた熱いレビュー(中には1500字を超える激推しレビューも…!)の中から、いくつか厳選してお届けします。吸死沼の深みがすごい。
アニメ化!
今度アニメ化する作品です。ずっとアニメになってほしいと思ってたので嬉しいです。
すごく笑えて面白いので、未読の方にはぜひ読んでほしい作品です。
十巻を超えても、一巻と変わらない面白さって、すごい。
あと世界観が優しいので、見ていて嫌な気持ちになることがない。
登場人物、みんな素敵。
posted.by ブクログ
久しぶりに声出して笑ったギャグ漫画。
吸血鬼ハンターと吸血鬼のドタバタ同居がメインで、一巻はまだ序章で大人しめだが、巻が進むごとどんどんかっ飛んだ変態が増え、新横浜のローカル色がでてくる。
とにかくボケとツッコミのセンスが素晴らしく抱腹絶倒、ソウルフルなリリックに爆笑必至。「新幹線が止まる虚無」とかどうやったらこんな斬新な返し思い付くんだ!?
下ネタが多いので好き嫌い分かれるかもしれないが、排泄系ではなく小学校低学年レベル(「ち〇ちん」連呼)のエッチさ故に抵抗なく読めた。
……というかY談おじさんやゼンラニウム、吸血鬼マイクロビキニ、スケベな妄想でグロい姿に変身する変な動物が続々登場する時点でお察し。
フツウにしてればかっこいいのに口を開けると残念なイケメン・ロナルドとすぐ死ぬドラルクのコンビも楽しいし、アルマジロのジョンは問答無用の癒し系。ただ無害で愛くるしいだけじゃなく、コマの端っこのリアクションが逐一面白い。ヌーヌーにも癒される。
基本一話完結でさまざまな(変態)吸血鬼が出てくるのだが、虫や動物はおろか野菜や家電までも吸血鬼化する世界観なので、加速度的にカオス化していく……
が、一話こっきりの使い捨てキャラ皆無。
出オチキャラやモブが準レギュラーに昇格するのは言うまでもなく、こんなの絡ませられるの!?と心配になるようなヤバい個性の持ち主が、思いがけぬ接点で既出キャラと出会い、主人公が干渉するしないにかかわらず性癖や価値観が変化し、人間関係が広がっていくのがめちゃくちゃ面白い。
サブキャラ同士の化学反応で互いに刺激を受け、やがてそれがロナルドたちへも波及していく理想的な循環構造。
結構な本数主人公コンビが出てこず、準レギュラーの吸血鬼や吸対課がメインを張る回があるが、どれも読みごたえたっぷりで面白い。ナギリに至っては裏主人公の風格。
ギャグ漫画なのでさもありなんだが、死人がでないので安心して読める。
吸血鬼を一方的に退治するばかりじゃなく、人間と吸血鬼が共存したり、平和な方面に収拾が付く話も多く読後感がいい。
作中にでてくる吸血鬼は8:2の割合でほぼ手遅れな変態なのだが、やってることがものっそい馬鹿なのでどうにも憎めないし、しばらく見ないと妙に寂しく「また出てこないかなあ」と思ってしまう危険な罠。
ロナルドが吸血鬼退治にいく、ドラルクがトラブルを起こしてロナルドを巻き込む(またはその逆)、愉快な仲間たちの奇行のとばっちりを受ける。
導入は大まかにこの3種のテンプレなのだが、毎回きっちり笑わせる手腕は見事。コミックス二桁台になってもパワフルなボケとツッコミの切れ味は鈍ることなく、マンネリ化の宿命を免れている。ギャグ漫画のお約束、勘違いの玉突事故で大参事に至るテンポも最高。
人や動物の微妙すぎる表情の描写も最高で、ヌヌー!?とショックを受けるジョンや、おばあさんが教会の壁に描いたキリストのような虚無にのまれて目が死ぬボサツには吹き出す。
ロナルドは自伝的な小説を書いてる兼業作家なので、締め切りに追われたりスランプに陥ったりと、作家あるあるイベントで悶々とするさまは物書きの経験があるならツボるはず。
……ここまで出版社をネタにしまくり、いじり倒せる度胸はすごいな……信頼関係のあらわれだろうか。新キャラを出しまくった結果、風呂敷が畳めず自爆するケースも多いが、この作品は「だれだっけ?」って無難な個性が一人もおらず、尖ったヤツと尖ったヤツの相乗がさらに面白くする。
話は型破りだが、吸血鬼の設定自体は意外すぎるほどしっかり練られてるのも好感触。クスッと笑えるどうでもいい小ネタ知識ものっていて、すみずみまでサービス精神が行き届いてる。
気持ちよく笑える漫画をお探しならぜひおすすめしたい。
posted.by ブクログ
終わりに
今回お伝えしたのはあくまでさわり。読まないとわからない、読むとハマってしまう、吸死の魅力は底なしです。
ぜひご自分の目で見て笑って、推しキャラを愛でて、新刊発売とアニメの続報をお待ちください(ΘゝΘ)!

