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印刷物に関わる業界人はみんな読むべき『いとしの印刷ボーイズ 業界あるある「トラブル祭り」』感想解説|鷹野凌の漫画レビュー

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今回は漫画『いとしの印刷ボーイズ 業界あるある「トラブル祭り」』をレビューします。印刷業界を舞台としたお仕事漫画で、関係者は「あるある」と共感し、関係者以外は印刷業界周辺の基礎知識が学べる、ためになる1冊です。著者は奈良裕己(なら・ゆうき)さんで、印刷会社の営業を10年ほど続けたのち、2012年4月に独立してマンガ家・イラストレーターになったそうです。

本作は学研の「GetNavi web」で、「今日も下版はできません!」というタイトルで連載されており、本稿執筆時点で2巻まで刊行中です。なお、最近出たばかりの2巻は『印刷ボーイズは二度死ぬ 業界あるある「トラブル祭り」2』というタイトルなので、後半の“業界あるある「トラブル祭り」”がシリーズ名にあたるようです(逆だと思っていました)。

『いとしの印刷ボーイズ 業界あるある「トラブル祭り」』作品紹介

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業界あるある話の連続で、胸が痛くなる……

本作の主人公は、刷元正(すりもと・ただし)……ということになっていますが、ナビ印刷という印刷会社の社員たちが、日夜問わずに発生する印刷事故などのトラブルに右往左往する物語、と言ったほうがいいでしょう。私は出版社にいたので、どちらかといえば印刷会社の人たちを振り回す側だったわけですが、本作を読んでいると、ほんとあのときはすみませんと申し訳ない気持ちになってきます。

私は、印刷会社の社員経験はありませんけど、本作に出てきたエピソードの一部は、実際に経験したことがあります。赤ペンのフタがはずれちゃって胸ポケットのあたりが真っ赤に染まったり、画像がなぜか先祖返りしていたり、責了時の赤字が読みづらかったのかまさかの誤字修正が起きたり。業界あるある話の連続で、読んでいて胸が痛くなるほどです。

これ、教本に採用しませんか?

なお、ウェブ連載時との大きな違いは、欄外にある「試験に出る(!?) 基本の印刷用語」や「懐かしの絶版系印刷用語」など、おまけ要素が豊富な点。用語にはキーワード索引まで付いている親切設計。私も、知ってるつもりで知らなかったような用語が多くあり、めちゃくちゃ勉強になります。

また、漫画のコマがない白いページには、トンボやカラーバーなどが表示されていたりします。しかも、カラーページならCMYKですが、白黒ページにはKだけしか表示されていないという芸の細かさ。業界外には伝わりづらいかもしれないところにも徹底的にこだわっている点を、私は高く評価したいです。

印刷会社の方はもちろん、印刷物を扱う関連業界の人たちみんなに読んで欲しい作品。これ、新人教育にも使えるのでは。ぜひ、教本として採用しましょう(提案)。

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