カート・ヴォネガット作品一覧

  • 猫のゆりかご
    3.9
    わたしの名はジョーナ。いまプエルト・リコ沖のサン・ロレンゾ島にいる。“パパ”モンザーノの専制政治に支配されるこの島で、『世界が終末をむかえた日』の著者となるべきわたしは、禁断のボコノン教徒となったのだ。 “目がまわる、目がまわる”世の中は複雑すぎる。愛するサン・ロレンゾ一の美女モナが、世界中のありとあらゆる水を氷に変えてしまう〈アイス・ナイン〉が、柔和な黒人教祖ボコノンが、カリプソを口ずさむわたしのまわりをめぐりはじめる――独自のシニカルなユーモアにみちた文章で定評のある著者が、奇妙な登場人物たちを操り、不思議な世界の終末を描いた長篇。
  • 青ひげ
    3.9
    元画家の秘密をめぐる物語を、巨匠がシニカルかつ温かく描いた感動長篇 わたしはラボー・カラベキアン。亡き妻の大邸宅に孤独に暮らす老人だ。かつては抽象表現派の画壇で活躍したこともあったが、才能に限界を感じて今では抽象画のコレクターに甘んじている。そんなある日、若くエネルギッシュな女性が現われ、わたしの人生も大きく変わることになった。彼女は、わたしが誰一人入らせない納屋にいったいどんな秘密があるのか、興味を示しだしたのだ……人類に奇跡を願い、奇才が贈る感動長篇
  • ガラパゴスの箱舟
    4.1
    一九八六年、経済恐慌と戦争と疫病で人類は滅亡の危機に瀕していた。折りしもエクアドル崩壊の直前、ガラパゴス諸島遊覧の客船バイア・デ・ダーウィン号が何人かの男女を乗せて海へ漂い出た。進化論で知られる諸島に漂着したわずかな生存者が、百万年を経て遂げた新たな進化とは? 鬼才が描く旧人類への挽歌。
  • これで駄目なら
    3.7
    ジョークが笑えるのは何故か、人々は何故孤独なのか。 男が本当に欲しいのは何か、何故「情熱的に行動する人々」が人生を価値あるものにするのか。 芸術家がすべきこと、音楽の慰め。 自分のルーツの大切さ、何故言論の自由やその他多くの自由を守らなければならないのか。 ヴォネガットは若い聴衆に向けて、そういったことを語り明かします。
  • 死よりも悪い運命
    4.0
    故人となった父母や姉など身近だった人びとの思い出をとおして、悩み多かった家庭生活の秘密を打ち明け、また同時代の作家たちのこと、さらには銃砲所持や民族社会、モザンビークの内戦、地球汚染などの社会的、世界的な問題にいたるさまざまなテーマを、アメリカ文学界の奇才ヴォネガットが、ユーモラスかつ真摯に語るエッセイ集第3弾。スピーチとエッセイと追憶の数々を見事に組み合わせた1980年代の自伝的コラージュ。
  • ジェイルバード
    4.0
    ウォーターゲート事件の巻きぞえをくって囚人となったスターバックが回想する前世紀末の労働争議、サッコ=ヴァンゼッティ事件、世界大戦、赤狩り・・・・・・過去と現在が微妙に交錯しながら奏でられる八十年にわたる物語──現代アメリカ文学の巨匠が、人々への愛と怒りをこめて綴る〈新〉アメリカン・グラフィティ。
  • スラップスティック
    4.2
    ある日突然どういうわけか地球の重力が強くなり、そこへまた緑死病なる奇病まで発生して世界は無秩序、大混乱! アメリカ合衆国もいまや群雄割拠、ミシガン国王やオクラホマ公爵が勝手放題をしている始末。ジャングルと化したマンハッタンの廃墟では、史上最後の合衆国大統領が手記を書きつづる--愚かしくもけなげな人間たちが演ずるドタバタ喜劇、スラップスティックの顛末を……涙と笑いとハイホーに満ちた傑作長篇
  • タイムクエイク
    4.1
    2001年2月13日、時空連続体に発生した異常――タイムクエイクのために、あらゆる人間や事物が、1991年2月17日へ逆もどりしてしまった。ひとびとはみな、タイムクエイクの起きた瞬間にたどりつくまで、あらためて過去の行為をくりかえさざるをえなくなる。しかも、この異常事態が終わったとき、世界じゅうは大混乱に……! SF作家のキルゴア・トラウトやヴォネガット自身も登場する、シニカルでユーモラスな感動作。ヴォネガット最後の長篇小説。
  • デッドアイ・ディック
    4.0
    祖国の中性子爆弾によって、やがては滅びる運命にあるオハイオ州ミッドランド・シティ。そこに住む「デッドアイ・ディック」と名づけられた男、そして、変人・普通人たちがコミカルに織りなす時の流れのタペストリーを、著者ならではのユーモアと哀愁をこめて描く。軽妙なウィットの陰に鋭い批評眼が光る話題作。
  • はい、チーズ
    4.1
    「さよならなんて、ぜったい言えないよ」バーで出会った殺人アドバイザー、夫の新発明を試した妻、見る影もない上司と新人女性社員……やさしくも皮肉で、おかしくも深い、ヴォネガットから14の贈り物。
  • バゴンボの嗅ぎタバコ入れ
    4.0
    世界中を旅する男が、久しぶりに元妻のつつましやかな家庭を訪れた。生活に疲れた元妻に、男は胸躍る冒険の数々や、途上国での豪奢な暮らしなど夢のような土産話を披露する……ユーモアに辛辣さを織り交ぜた表題作ほか、著者自身の戦争体験を反映した「記念品」、音楽を愛するあまり暴走する高校教師の苦悩を描く「女嫌いの少年」など、ヴォネガットならではの、優しくも皮肉な視点で描き出される珠玉の初期短篇を23篇収録。
  • パームサンデー―自伝的コラージュ―
    3.5
    スピーチ原稿、短篇、自作の成績表、書評、自分の質問に自分で答える自己インタビューなどを著者自身が編纂し、全体に自伝的な息吹をあたえるために“つなぎのおしゃべり”を書きくわえた。文学、宗教、核問題など、さまざまなテーマについて、ユーモアと皮肉に満ちた筆致でつづった作品集。
  • 人みな眠りて
    4.2
    ヴォネガット、最後の短編集!冷蔵庫型の彼女と旅する天才科学者、殺人犯からメッセージを受けた女性事務員、消えた聖人像事件に遭遇した新聞記者……没後に初公開された珠玉の短編16篇。
  • ホーカス・ポーカス
    3.3
    二〇〇一年、アメリカはまたも破産に瀕し、企業の大半が外国に買収された。ベトナム戦争中にばかげたスピーチ、ホーカス・ポーカスで新兵を鼓舞していたハートキは、帰国後、勤めていた大学を首になり、日本人が経営する刑務所の教師になる。だが、そこで大脱獄事件が発生した……ハートキがたどる波瀾の人生。
  • ヴォネガット、大いに語る
    4.0
    幼少時からのSFとのかかわりを語るインタビューやエッセー、怪実験をおこなうニューヨークのフランケンシュタイン博士を描いた脚本、『猫のゆりかご』創作秘話と科学者の道徳観について述べた講演録などを収録。どんなに悲惨な状況でも、けっして笑いを忘れない著者の多彩な魅力を伝える作品集。
  • 読者に憐れみを
    6/21入荷
    -
    『スローターハウス5』『タイタンの妖女』などで知られる戦後アメリカを代表する作家、カート・ヴォネガットの「書くこと」と「人生について」 辛辣で、機知に富み、心優しきニヒリスト、ヒューマニストで、教師としては熱血漢、「書くことは魂を育むこと」を生涯の信条としたヴォネガットの教えを、彼自身の言葉と小説の引用、そして周囲の人々の談話からまとめた、「ヴォネガット流・創作指南+回顧録的文章読本」が生誕100年を記念し、待望の邦訳! 「本書の各所に引用されるヴォネガットの助言を読むうちに、自分にも小説が書けるという気持ちになってくる。それはとても苦しいものであることをヴォネガットが強調してもだ。何度も書き直し、声に出して読み、読者の負担を最低限にするべきことを繰り返し言う。でもしかし、その人にしか語りえないことというものがあるのだ。」 ――円城塔(作家) 本書では、彼の教え子であったマッコーネルによるヴォネガット自身の言葉と実際の作品の引用から、作家としての苦闘や、戦争体験や母親の死など、彼の人生に生涯つきまとった「影」、戦後の時代精神を体現するベストセラー作家となった成功の秘訣のほか、「つねに学び、つねに教えていた」という教師としての素顔が丁寧に分析され、余すところなく説明される。 さらに、文章や物語を書く際に必要な原動力、才能、想像力の飛躍、勤勉さ、反省、ブラックジョークについて、生計を立てること、心身のケア、はたまたコミュニティの重要さにいたるまで、さまざまな角度からユーモアを交えながら真摯に語られる。加えて、物語はどこから生まれるのか、冒頭部の書き方、プロット、登場人物の書き方、耳で聞く文章と目で見る文章の違い、見直しと校閲などのコツとテクニックについても惜しげもなく披露される。その驚くほど実践的なアドバイスは、作家志望者のみならず、文章を書く時に悩んだことのある人、何かの課題と格闘して自分は無能だと感じているすべての人の心に突き刺さるだろう。ヴォネガットの手稿や実際の原稿、メモ書きや、出版社からの手紙なども多数収録した、ヴォネガットファン必見の一冊となっている。 ちょっと風変わりで、だけど読むと書き続ける勇気が湧いてくる、カート・ヴォネガットの教えを一冊にまとめた、創作指南+回顧録の決定版。

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