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2001年2月13日、時空連続体に発生した異常――タイムクエイクのために、あらゆる人間や事物が、1991年2月17日へ逆もどりしてしまった。ひとびとはみな、タイムクエイクの起きた瞬間にたどりつくまで、あらためて過去の行為をくりかえさざるをえなくなる。しかも、この異常事態が終わったとき、世界じゅうは大混乱に……! SF作家のキルゴア・トラウトやヴォネガット自身も登場する、シニカルでユーモラスな感動作。ヴォネガット最後の長篇小説。
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Posted by ブクログ
ラスト感漂う筆致で最後の方は涙が出そうだった。出なかったけど。大統領選に5度立候補したユージン・デブスの引用はヴオネガットの好きな部分が詰まってる。優しくて、優しくて、不器用。でもとってもクレバー。
トラウトとヴォネガットのグランドフィナーレを飾る、ヴォネガットの最後の長編小説。 タイムクエイクとは、過去十年をリプレイする現象だ。 これまで過ごしてきた十年間を、自分の意思とは無関係にやり直さなければならない。 あのときの事故を防ぐことも、あのときの失敗を防ぐことも、あのときの失言を取り消すことも...続きを読むできない。 皆一様に、自らのたどってきた、愚かしくも誇り高き十年をなぞる羽目に陥る。 ところが、リプレイ終了と同時に、自分の意思で行動をしなければならない。 何にも考えずに行動してきたのに、ある瞬間を境に、「自由意志」のスイッチが入る。 そうすると、人はどうなるか。たとえば、動く歩道に乗って移動をして、 歩道が終わると自らの足で一歩を踏み出さなくてはならないが、 あなたが相当ぼーっとしていたとしたら……。 突如、動く歩道が終わり、おそらくあなたは前につんのめって転ぶだろう。 タイムクエイクとは、そういうことである。 十年間のリプレイ。 非常に面白い発想で、 最後の最後にヴォネガットはSF的な要素の小説で グランドフィナーレを飾ってくれたと思ったものだが、 このリプレイとは、今のわれわれのことなのかもしれないと思うに至った。 自らの意思で考え、気づき、動けとずっと訴えてきたヴォネガットだった。 しかし、もう「坑内カナリア」理論だけでは追いつかない世界情勢に業を煮やし、 読者への最後の贈り物としてこの物語を仕上げたのではないだろうか。 ヴォネガット作品に度々登場した孤独で不遇なSF作家、 キルゴア・トラウトは、リプレイ終了後に 「あんたは病気だったが、もう元気になって、これからやる仕事がある」と、 混乱する人々を励まし続けた。 そして、たくさんの人々から感謝されたトラウトは、一人ぼっちではなくなった。もう孤独じゃない! 「タイムクエイク」は、ヴォネガットのラストの小説であり、 これまでのヴォネガットの小説を継続して読んできた読者への特別なプレゼントでもある。 そのため、他の本を読んでない人にとっては、おそらく意味不明な描写も多いはずである。 が、個人的には、いろんな思い入れのある作品だ。
エッセイ?小説?よく分からない作品。 本の中心になるストーリーは、時間が突然10年前に逆戻りし、人々はまったく同じ10年間をデジャブの中でリプレイする。それが突然終わった時の混乱で、おなじみのキルゴア・トラウトが活躍する、というものなのだが……。 冒頭で作者は、「老人と海」を引き合いに出してこ...続きを読むう説明する。「老人と海」で釣り上げたカジキはヘミングウェイが書いた長編小説のことで、それが鮫に喰われてしまうのは、批評家たちにボロクソにけなされたことの象徴なのだと。 釣り上げた魚は食われる前にバラしてしまえばよかったのだ。 今回、作者は自分の作品が気に入らないので、自分でバラバラにして、いろいろぶち込んでシチューを作ったのだという。 出来上がったのは、なんとも不思議だが味わいのある作品だ。作者の、シニカルだが暖かい人間愛はけっして衰えていない。 これで、最後の作品だと、作者は宣言しているけれど、まだまだこれからもすばらしい作品を作り続けてほしい。
村上春樹の初期の文体は、ヴォネガットから70%、ブローティガンから30%の影響を受け、そこにチャンドラーの性格設定が加わり完成されたのでは?この3人の中でも、特に僕のオススメはヴォネガット。初めて読んだ時はショックを受けた程、そのスタイルは似ている。しかもヴォネガットは春樹に負けないくらい、いい言葉...続きを読む満載!
過去、ヴォネガットは3作品を読んでいる 『プレーヤー・ピアノ』 『猫のゆりかご』 『スローターハウス5』 いま、このブログにある自分の感想を見てみると、どれも好もしくよろしい感触 さもありなん、このもう最後の作品になるのかという、作者73歳か74歳発表の 『タイムクエイク』...続きを読む やはり、なかなかの作物なり 創作あり、随筆風あり、思い出あり、文学紹介あり 幾層にも複雑化した構成の中に、いい年輪を感じさせる、その気持ち わたしたち年寄り(この本では「古手」といっている 笑)にはよくわかるのである タイムクエイク(時空連続体)によってある時、詳しくは2001年2月23日、 10年前逆戻りして1991年2月17日に戻ってしまい、 やり直しできるのではなく、繰り返さなければならない日常になって いざ、タイムクエイクがストップしても、何をしていいか戸惑う設定 人間繰り返しが続くと自分の頭で考えることを無くす しかも、随筆風の部分の2001年は作者の将来で、長生きするつもりで 「そんな風に自分はこの世にいる」と想像するのであって これもわたしがよくやる手(笑) いろいろ文学的な思い出やら、薀蓄もわたしにはおもしろかったですね
2001年2月13日、時空連続体に発生した異常―タイムクエイクのために、あらゆる人間や事物が、1991年2月17日へ逆もどりしてしまった。ひとびとはみな、タイムクエイクの起きた瞬間にたどりつくまで、あらためて過去の行為をくりかえさざるをえなくなる。しかも、この異常事態が終わったとき、世界じゅうは大混...続きを読む乱に…!SF作家のキルゴア・トラウトやヴォネガット自身も登場する、シニカルでユーモラスな感動の長篇。
小説なのかエッセイなのか? 例によって散文の集合と言う特異な文体で綴られた作品ですが、これまで以上に奇天烈です。もはや物語のストーリーなど無く、むしろ作者自身の意見が中心にあるように思えます。 作者の言いたい事は色々とあるのでしょう。それが、様々な風刺で描かれます。共産・社会主義的な発想、拡大家...続きを読む族。。。 しかし、何か伝わってきません。言いたい事が沢山有ると言うのは判るのです。でもそれが一体何なのかが判らないのです しばらくヴォネガットさんから離れていたせいかもしれません。
誰にも生んでくれと頼んだ覚えは無い、というフレーズが出てくるたび心に突き刺さりました。ヴォネガット慣れしてない人には読みづらそう?
カート・ボネガットのタイムクエイクを読みました。この作家の昔の小説では気に入っているものが多いので読んでみましたが、最後の小説と銘打っているこの小説は駄作でした。途中で何度投げようと思ったことか。
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タイムクエイク
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カート・ヴォネガット
浅倉久志
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