ブックライブでは、JavaScriptがOFFになっているとご利用いただけない機能があります。JavaScriptを有効にしてご利用ください。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで100万冊以上配信中!
来店pt
閲覧履歴
My本棚
カート
フォロー
クーポン
Myページ
3pt
※こちらの作品は、Android端末と、他のOS端末の間でしおり同期ができません。
祖国の中性子爆弾によって、やがては滅びる運命にあるオハイオ州ミッドランド・シティ。そこに住む「デッドアイ・ディック」と名づけられた男、そして、変人・普通人たちがコミカルに織りなす時の流れのタペストリーを、著者ならではのユーモアと哀愁をこめて描く。軽妙なウィットの陰に鋭い批評眼が光る話題作。
アプリ試し読みはこちら
Posted by ブクログ
お宝を持ち帰った桃太郎は死ぬまでに何回人間不信に陥ったか。 月に帰ったかぐや姫は朽ち果てるまで何度鼻の穴をほじったか。 人生が映画のようにドラマチックでもメトロノームのように規則的でも、エピローグは上映時間の冒頭から既に始まっているという事をこの小説は喋っている。予想外にてきぱきと終わってしま...続きを読むった人生に面食らう事もなく、終わってしまった物語のパーツを一個一個拾い集めておもちゃ箱に仕舞い込む様子を楽し、めと言われても多分無理な話です。そうです、誰かを奮い立たせるようなお話でも、夢を増幅させるような紙芝居でもないです。ただ【そのあとどうなりました?】【はい、彼はお菓子を作るのが好きです】という、噛み合うようでそもそも始めからお互い噛んですらいない、語り手と世界との通話記録があるだけ。 でも人生の記述文法はそれが一番適切だと思うから、自分は死ぬまでこの本から目を離せない。 無人島に持って行くのも無人島なんて行きたくないと思わせてくれるのも、等しく、この一冊。 これが暖炉だ。なくなっちゃったら、生きていく気が風邪を引く。 【P292】 もう暖炉がないと知ったとき、母は意味深長なことをいった。 「あら、どうしましょう――暖炉がなくちゃ、これ以上生きていく気が起きるかしらん」
何度目かの再読。自分の人生が物語としては不十分で、エピローグばかり長すぎることに気づいてもなお、人はエピローグを生き続けることの皮肉と哀しみ。でも、その哀しみをヴォネガットは優しいまなざしで描く。だから好きなんだと思う。
ヴォネガットの作品は皮肉と温情の闇鍋である。ある部分だけをつまみ出せば、それはあまりに口汚い世間への罵りであり、またある部分を切り取れば、まるで宗教の説話のような訓辞になっている。しかし全体として作品を見れば、どうしようもなくひどい世界でも愛してやまない作者の理想主義である。 この『デッドアイ・ディ...続きを読むック』でも、ライフル銃で妊婦を撃ち殺してしまった少年の人生を、かばい立てすることなくえがいいている。兵器、銃器というものは、使用者の善意・悪意・無為を問わず、使用すれば人を傷つける他はない。中性子爆弾にしてもそうである。見かけがきれいに残っていれば、それは破壊ではないのか。居抜きで占領者が殺戮後の都市を使用するとする悪魔のような所業を、ライフル銃で人を誤って殺した少年の罪と並べたのではないか。
「デッドアイ・ディック」の主役は銃であり、ドラッグであり、中性子爆弾であり、人々の偏見だ。 これらがたくみに物語の中で影響を及ぼしてくる。その主役たちの周りで、 へんてこなダンスを踊らされているのがルディ・ウォールツであり、 ルディの父であり、母であり、兄であり、ドウェイン・フーヴァーとその妻だ。 ...続きを読む途中途中にさし挟まれるレシピ、これがまたいい。 そして、人生は演劇だ、ときどき台本までもが登場する。 「デッドアイ・ディック」は「ジェイルバード」のあと、1982年に書かれた小説で、 名前から「ジュニア」が取れた『近年の作品』の範疇に入るのではないかと思うが、 「デッドアイ・ディック」のヴォネガットはとにかく調子がいい。 油が乗っている。職人芸だ。上手い。翻訳もすこぶる調子がいい。 コトバが血肉になっている印象すらある。 あとがきを読めば、どのくらい調子がいいかがさらに伺える。いいタイミングで訳されたと思う。 どの世界にも原理主義者って言うひとたちがいて、 Genesisならピーガブが脱退する前までしか認めないとか、そんな類の主義なんだけど、 ヴォネガットもご多分に漏れず、「猫のゆりかご」や「タイタンの妖女」の評価がめっぽう高い。 しかし、わたしは職人の熟練した腕で生み出された作品がものすごく好きだ。 わたしにとっての最初のヴォネガットは「スローターハウス5」で、何度も読んだ本だし、 おそらく一番好きな本は?と問われれば、これを指すだろう。 けれど、ほんとうにそうだろうか、とふと思う。 ヴォネガットのよさは、熟練の妙味だ。 これがなければ、すべてのヴォネガットを読み続けることなんてなかった。 その妙味のある作品といえば、70年代後期〜80年代に生まれた作品群にあたるのではなかろうか。 それにしても、「チャンピオンたちの朝食」は、もしかしたら「猫のゆりかご」以上にヴォネガットにとって 重要な1冊なのではないかと思った。「チャンピオン」と「青ひげ」、「デッドアイ・ディック」は 三兄弟のような作品だ。こんな本が読めて嬉しい。 もっと読まれていい一冊だと改めて思う。
なんかいろいろあって気持ちがあっちこっち行くけど最終的には心があったかくなる。 結局しみじみといい話だなあと思う。
行動も思考もほんの少し周りとずれているだけなのに糾弾する空気はどの社会においても大差ないだろう。そこに宗教が介入しても解決するとは限らない。虚構か現実かは問うなかれ。その人の感情に触れてみる。私もそれを疎かにしていることを猛省する。救う救われる。それはボランティアという奉仕活動ではなく日常における言...続きを読む動から見直さなければならない。
初めて読んだカート・ヴォネガット作品。 なんだろう、隅から隅までユーモアと皮肉?? 人生を悲観的に過ごしてはいるのだけど、それを楽しんでいる様な感じを受ける主人公。 がっつかない、こういう人物像が魅力的なのだよな、と思います。
2007/12 新刊本屋で買う。東京行きの新幹線で、半ば以上を読む。まだ、時系列がてんやわんやじゃない方。
内容はテンコ盛りだが、あまり記憶に残っていないのは、ヴォネガットに独特の奇想天外な展開がないせいではないか。 サマセット・モームがたしか「要約するとの」の中でプロット(物語の筋立て)の重要性を説いていて、フローベールの「感情教育」はすぐれた作品だけれども、それがないのでひどく読みにくいと言っていた...続きを読む。スティーブン・キングも「スタンド」の前書きで、「ヘンゼルとグレーテル」を例に挙げてその重要性を語っていた。 この作品では、米国の現状を告発する個々のエピソードが積み重ねられていて、それはそれでウィットに富んでいて面白く読めるものの、これまでの目のくらむような展開がなくなった分、読後の印象がモヤつつまれた漠然としたものになってしまったのではないか。 料理のレシピにも興味が湧かないし……。
SF? 初めてのヴォネガット作品。 『時空のゆりかご』のエラン・マスタイさんが好きということで、細かく章を区切る構成が似ている。 内容は、中性子爆弾で滅びゆく街の様子を描いたSF…だが、全然SFらしくない。主人公一家の人生を描いたヒューマンドラマという印象が強い。 ユーモアある文章で、クスッと笑える...続きを読む場面が多く、退屈せずに読めた。
レビューをもっと見る
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
新刊やセール情報をお知らせします。
デッドアイ・ディック
新刊情報をお知らせします。
カート・ヴォネガット
浅倉久志
フォロー機能について
「ハヤカワ文庫SF」の最新刊一覧へ
「SF・ファンタジー」無料一覧へ
「SF・ファンタジー」ランキングの一覧へ
タイタンの妖女
あなたの人生の物語
猫のゆりかご
青ひげ
アンドロメダ病原体〔新装版〕
ガラパゴスの箱舟
キヴォーキアン先生、あなたに神のお恵みを
逆行の夏──ジョン・ヴァーリイ傑作選
作者のこれもおすすめ一覧へ
▲デッドアイ・ディック ページトップヘ