ブロンズ
レビュアー
  • あの日、君は何をした
    ネタバレ

    全てを理解しようとする傲慢さ

    オチが完全に自分好みでした。
    知りたいと強く願い続けていれば必ずそのゴールに辿り着けるという思いもある一方で、人間の行動や感情なんて、他人がどう足掻いて知ろうとしても、全てを理解することは不可能であり、傲慢な行為に過ぎないということが、この小説を読んで思い知らされました。
    途中様々な家族が出てきて、頭が混乱しそうでしたが、それぞれの家族の1つの事件を通した繋がり、背景を知れば知るほどゾクっとさせられ、ページを捲る手が止められませんでした。

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    2023年08月15日
  • 僕と彼女の左手
    ネタバレ

    美しすぎるミステリー

    この小説を読んで、ミステリーなのにこんなに美しいという感想で終わるものがあるんだと初めて思い知らされました。

    彼女がついた多くの嘘も全て意味があり伏線があり、読んでいて、これもあれも繋がっているのかと感心させられるばかりでした。

    ただ、ページ数が少ない分2人の会えなかった時間が割とあっという間で少しあっさりしすぎているような気もしてしまいました。

    音楽が題材となっているだけあってピアノの描写が何度も出てきますが、実際に聴こえないピアノの音が聞こえてきそうなほど描写が細かく、感情が高まるかのごとく緻密に表現されていて、本当に素晴らしかったです。

    #胸キュン #感動する #エモい

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    2023年06月19日
  • 今、死ぬ夢を見ましたか
    ネタバレ

    抗えない運命との戦い

    身近な人の善と悪は、日頃の関わりからしっかり分別できるようにしたいと思いました。誰が自分にとって良い影響を与えてくれるのか、この人といたら自分は駄目になるのではないかと改めて考え直すきっかけの作品となりました。

    女の子の制服問題、主人公との先輩後輩問題については、物語が進むにつれ勘づいてはいたのですが、若干設定に無理がある気がしてしまいました。

    最後まで主人公は、与えられた運命から逃れることができるのか否か、まったく予想がつかなかったので、ドキドキハラハラしながら読めました。

    #切ない

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    2023年06月19日
  • あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。
    ネタバレ

    周りの人を大切に

    描写が美しく、すらすら読めてしまいました。戦争と現代2つの時代背景を描くことで、自分の周りにいる人の大切さを改めて考えさせられる物語でした。

    ただ、戦争に関する情報・知識がやや薄く、感情移入まではいきませんでした。(また、個人的に表紙の女の子像では、どうみても反抗期を迎えて母親と仲違いしている子には見えなかった点がやや残念でした。)

    特に伏線やひねり等はなく、皆さんが思い描いているストーリーそっくりそのままだと思います。

    結論、「号泣案件」は言い過ぎかと思われます。

    #切ない

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    2023年06月18日
  • 白い闇の獣
    ネタバレ

    奥さんの気持ちを思うと胸が痛い

    読みやすく、あっという間に読了。

    ただ、娘を失ったその日に夫が娘の担任と浮気していたと知った朋美ちゃんのお母さんの気持ちを思うと、胸が痛くてたまりません。

    本文中に香織さんが由紀子さんに対して、直接あの日の件に関して謝罪をしている場面が無かったのが個人的には納得いきませんでした。

    そのためか全く香織さんに感情移入することができず、秋山が香織にどう考えても惚れている描写や、由紀子が香織に怪我を負わせたと知った瞬間、秋山が由紀子の家を睨む描写、秋山と香織の恋愛要素などには若干の不快感を覚えました。

    胸糞の悪さで有名な伊岡ワールドは好きですが、今回は個人的な都合で胸糞の悪さを大いに感じました

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    2023年06月18日
  • 犯人は僕だけが知っている
    ネタバレ

    様々な社会問題に立ち向かう一冊

    ネグレクトや身体的虐待、虐め、ヤングケアラー、アンチからの逃避、様々な社会問題を抱えた登場人物たちが、それぞれのやり方で立ち向かっている描写がとても印象的で、主要人物全員に幸せが訪れてほしいと願いながら読んでいました。

    現実とゲームの世界観を一体化させている部分もあるので、ゲーム好きな方は楽しく読めると思います。

    『戦う』だけが人生ではない、『逃げる』ことも未来に繋げる手段の一つであることを、魂の叫びから伝えてくれる一冊です。

    主人公の正義感と優しさには軽く惚れました。
    彼が遠い世界で平穏に暮らしていますように。

    続編求みます。

    #切ない

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    2023年06月18日
  • 十角館の殺人〈新装改訂版〉
    ネタバレ

    予想だにしていなかった真犯人

    全く見当もつかなかった人物が真犯人だったので、読み応えがありました。本土と島の話のバランスが丁度良くて、とても読みやすかったです。

    真犯人が警察の口から告げられた際に初めて、学生サークルの皆があだ名で呼ばれていたことの面白さを最大限に感じました。

    あの1ページの1行目に彼のあだ名が明かされたのは、作者の趣向なのか偶然なのかは分かりませんが、どちらにせよ天才的な演出でした。

    ただ、トリックに感心させられる代わりに、描写が淡々としており、登場人物への感情移入は難しかったです。本編が唐突に終わってしまって、消化不良になるところでしたが、エピローグにて瓶が彼のもとに流れ着き、子どもに

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    2023年04月04日