• マイ・ブロークン・マリコ

    息を止めて読みいってしまう

    心地よい疾走感に引っ張られたかと思えば、静かなワンシーンが所々に挟まれて、まるで名作映画を一本観終わったような読後感。何らかのカテゴリーに当てはめるならばロマンシスなのだろうが、二人の関係はもっと複雑な、言葉にするのは難しいもののような気がする。
    「壊れちゃった」のでもあり、「壊された」のでもある「マイ・ブロークン・マリコ」。周囲の人間には、ずっとシイノがマリコの面倒を見て守ってあげていたように映っていたかもしれないが、実際にはシイノもマリコと過ごすことで救われていたのだろう。断片的なシイノの回想で仄めかされる彼女の置かれた環境が、そんな風に思わせる。遺骨を「取り返し」てまで一緒にどこかに行...続きを読む

    #泣ける #切ない

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  • 忘却バッテリー 7

    どんどん面白くなっていく

    最初は各々の事情を抱えて悩んでいた少年たちが、少しずつまとまっていく様は読んでいて本当に応援したくなる。ギャグとシリアスの配分や緩急が絶妙で、笑わされたかと思うと、次には容赦なく重たい話がくるから油断ならない。心理描写がものすごくリアル。それから、この漫画家さん、絵の上達が凄まじい。別の作品でも上手な方だと思っていたけど、今はさらに迫力のある絵を描くようになったと思う。続きが楽しみ。

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  • フルーツ宅配便~私がデリヘル嬢である理由~ 1

    縁遠いようで実は身近な世界

    まずはお試し無料で読んでみました。絵柄は軽いんですが、内容がすごく濃いです。デリヘル嬢一人につき一話完結で、その分ごくわずかな一面から切り取っていることになるわけですが、にもかかわらず「人生悲喜交交」という言葉が浮かぶ濃密さ。主人公のデリヘル店長見習いサキタが言う、「努力でどうにかなることなんて微々たるものじゃないかな」というセリフがなんだか心に残ります。

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