【感想・ネタバレ】ドリームガーデン~私と中尉の偽装結婚~【特典SS付】のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

こういう堅物で自分にすら執着のない軍人さんが気付けば恋に転がっている話、大好物である。
ただこの話、そんな単純な構造になってはいないのだけれど。

大佐に愛されて育った料理好きのお嬢様な主人公のシェリル。
でも彼女は実は……詳細は割愛するが、境遇としては軍人のノアのことをより理解できる立場にいた。
いや、ノアがシェリルを理解できる位置にいたというか。
草花が好きで、料理が好きで、愛されて育ったお嬢様というだけではない。
弱いお嬢様ではなく気が強いところ、揺るがない芯が通っているところには、ちゃんと理由があった。
彼女がただのお嬢様ではなく、ノアのことを理解できる立場であり(逆もそう)ただ守られる立場に甘んじる子ではなかったことは、軍人であるノアにとって想定外であり、そして僥倖だったに違いない。

表紙は柔らかいイメージだが、軍事的陰謀や戦災孤児の立場の話も絡むので、決して軽くはない。
そもそもシェリルは人質としてノアに嫁いだ身であり、外を出歩けても監視が付いている状況。
まあそれで大人しくしている彼女ではないのだけれど。
せっせと家を整えて、美味しい料理を作り、言うべきことは言って、やるべき時は行動し、何だかんだでノアを割と初期から尻に敷いていた気がする。
流石あの大佐の娘である。
いざというときはノアより肝が据わっていた。
男性陣の方がタジタジしてしまうほど。

大佐も大人げないからなあ。
終盤の色々分かってからの大佐の行動が本当に親ばか以外の何者でもなく、ノアが気の毒になるほど。
あの後、ノアが再度入院する展開になっていないといいが。

ただの人質と監視役という偽装結婚の立場から、口喧嘩しながらもじわりじわりと交流を深めて、やがてお互いにかけがえのない相手となっていく。
「その時」が来たせいで、二人は決して穏やかではない嵐に飲まれていくことになるが、自分にすら執着しなかったノアは、シェリルの存在が帰る場所を示す道しるべになったし、シェリルはそんなノアを信じて待つと決めた。
誰に強制されたわけではなく、自らの意志で。
ここでは詳細を割愛したシェリルの内にあった問題も、ノア自身の問題も、二人が出会ったことで二人が変わり、未来へ繋がるようになった。
その出会いを、特殊な状況下ではあったが、今となっては心から祝福したいと思う。
某キャラ曰くの「至宝」まさしくお互いがそんな相手だったなと。

ただ優しいだけではない、ぴりっと辛く引き締まった部分もあり、そんなところが魅力的な作品だった。
終わってみれば、不器用な男性とそんな彼を尻に敷きつつ支えている男前な女性の恋物語という印象が残ったので、変化とは凄いなと。
シェリルが強いんだな、うん。
腕力的な意味ではなく、精神的に。
ノアは逆に終盤になればなるほど可愛くなったし。
特に番外編の彼は可愛い以外の何者でもない。
あんな気障な行動と台詞、序盤の彼では命令されてもしなかっただろうし。
変わったね、いい方向に(と信じたい)

2
2021年06月06日

ネタバレ 購入済み

すごく良かった

静かに進んでいくストーリーですが、惹きつけられる文章力のせいか一気に読み進めてしまいました。
不本意に始まった2人の関係だけど、次第に変わっていく過程が丁寧に書かれていて、とても素敵なお話です。

ツラい過去をもつ2人が、手を取り合って幸せになっていくんだろうなぁ。そうなってほしい。と願わずにはいられません。
扉下のカラーイラストを読み終わった後に眺めて、こちらまで感慨深くなりました。

読了後、もう一度初対面のシーンを読むと、なんかお父さんの気持ちが違って読めるので面白かったです。
出来ればお父さんへの挨拶から結婚式にこぎつけるまでの話も短編でいいから読みたいです。
もう一度くらい入院してそう笑
マクベイン少佐もいい仕事してくれて、なんだかんだ好き。

#笑える #ハッピー #感動する

1
2022年09月28日

ネタバレ 購入済み

大好きなお話になりました。

タイトルが美しい作品。
中尉とシェリルが皮肉を言い合いながらも、お互いの過去や想いに触れていく過程が、丁寧に描かれていてとてもよかったです。
途中まで外出先で読んでいたのですが、文章を追っていくなかで自然と涙が出てきて戸惑いました。
綺麗なばかりではない現実だけれど、中尉もシェリルも真っ直ぐ立っていて憧れます。
読み終わって、心が救われました。番外編も特典SSも、心があたたかくなるお話でした。
作者さんの他の作品も読んでみようと思います。
おすすめです。

1
2021年06月18日

「女性向けライトノベル」ランキング