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Posted by ブクログ 2023年12月30日
ディーヴァーの主力シリーズのリンカーン・ライムが、全身麻痺で動けないヒーロー(現代版アームチェア・ディテクティヴ)であるのに対し、近年になって登場したコルター・ショウはひとところに落ち着くことのない動く探偵である。初期シリーズであるジョン・ペラムに似ているが、そちらはロケ・ハンターという職業で、本...続きを読むシリーズ同様、米国内のあちこちに活躍の舞台を移していた。作者としてはペラムの進化型として、コルター・ショウのようなひとところに定住しない放浪型主人公を新たに生み出したのではないだろうか。
当初三部完結と言われた本シリーズの三作目タイトルも『ファイナル・ツイスト』であり、内容的にもコルター・ショウの父や兄との関わりを軸に置いた作品であったこともあったことから、四作目の本書の登場は嬉しいサプライズであった。ショウの出生から父による特殊教育、兄との関係など、プライベイトな側面までもが明らかにされた『ファイナル・ツイスト』だったが、この『ハンティング・タイム』は、そうしたコルター・ショウが過去の因縁から放たれて、またも自由に仕事を請け負い、新たな土地フェリントン(架空?)を舞台にその個性的な活躍を見せてくれる、まさに超の付くほどのエンタメ作品である。
ページを開いたら、止まらなくなる面白さは、そもそもディーヴァーの得手とするところだが、本作は近年のディーヴァー作品の中でもちょっと群を抜いたページターナーぶりを発揮しているように思う。それというのも、いつも追跡の側に立つコルター・ショウが、本作では命を狙われる母と娘を守るというガードマンの役割に追われる。彼らを追うのは、三年間の刑期を終えて娑婆に出て来たばかりの元夫であり父であり元刑事でもあるけっこう凄腕のジョン・メリットという不気味なキャラクターで、その複雑な人物造形は、本作の肝であるかもしれない。ジョンの他、二人組の残忍な殺し屋の追跡も受けることとなり、八方ふさがりのショーと母娘の逃避行は、母と娘と、父(追跡者)との愛憎の軋轢なども重奏的に加わって、実に読みごたえがある。
今回はのっけからの逃走・追跡劇。しかも劇中、どんどん加わってゆく新たなキャラや、見た目通りではないキャラクター像と、思っていた通りではない数多くの真相により、読み手を嘲笑う如き騙しのテクニックを駆使しつつ、どのページも相当なノンストップ・アクションで終始している。「ドンデン返し20回超え(小社調べ)」との帯の宣伝文句が告げるように、ディーヴァーの最も得意とするところの作品である。アクションシーンも多いが、全体を締める緊張感がたまらない。久々に凄まじいまでのページターナー作品に出くわした思いである。
Posted by ブクログ 2023年12月17日
★5 ハラハラドキドキ… 迫りくる追っ手から逃げられるか? 驚愕サスペンス #ハンティング・タイム
■あらすじ
かつて鉄工場で栄えていた街、現在は川や土壌は汚染されてしまい、斜陽の一途をただっていた。原子力テクノロジーの会社に勤める優秀なエンジニアのアリソンは、ある日娘と共に姿を消すことになる。な...続きを読むぜなら、DVの罪で刑務所に入っていた元夫ジョンが出所してきたからだ。彼はアリソンを追い続けている。
勤め先の社長であったハーモンは、アリソンの捜索をコルター・ショウに依頼するのだった。
■きっと読みたくなるレビュー
おもろい。エンタメなサスペンスミステリーを書かせたら、まぁ世界一です。
ディーバーはどんな作品もそうなんですが、文字を追っているだけなのに、まるで映画を観ているかのように絵が見える。プロットの切り取り方やセリフや情報の出し方が上手い。
さて本作のメインの読みどころですが、ハラハラドキドキが半端ないのよ。追う者、逃げる者の距離感が絶妙。単なる追いかけっこではなく、実は頭脳戦、情報戦なところが熱いんすよ。ついに見つかっちゃう?捕まっちゃう? あーもう怖いし、そわそわしちゃう。でも読みたい。
そして絵にかいたように申し分のない登場人物。おすすめキャラは殺し屋の二人、卑劣で変態、でもどこか芸術的でクールな彼ら。後半にかけて徐々にイライラしてくるのが小気味よく、読み手にとってはニヤニヤしちゃうんですよね。
イチ推しはアリソンの娘であるハンナ。彼女のおかげで物語が面倒くさくなるけど、反比例して味わいも深くなってくるんです。懐かしいドラマTWENTY FOURのキムを思い出してしまいました。私は息子が二人いますが、やっぱり娘が欲しな~。可愛すぎだろうと… でも女の子を育てるのは難しそう。
お得意のサプライズ演出も光ってます。そもそもタイトルのハンティング・タイムの意味も、思っていたのと全然違いました。なるほどなぁ~。そして次から次へと、えっそうだったの?!という展開が読者を楽しませてくれます。終盤は顎が何度も外れましたよ…治すのが大変でした。
■ぜっさん推しポイント
ハンナとコルター・ショウと語る場面がカッコ良すぎて染みました。私は子どもたちにこんな風に思ってもらえるように生きているだろうか。どんなことでもごまかしたりせず、まっすぐ真剣に向き合うことが大事なんでしょうね。
Posted by ブクログ 2023年11月03日
追跡者コルター・ショウの第四弾。
足元をすくわれすぎて著者に接骨院の請求書を送りつけたくなるレベル。
そう帯には書いてあった。
それに引きずられたとは思いたくないが、
疑心暗鬼に陥ってしまって、純粋に楽しめなかったのが残念。
とにかく、登場人物を片っ端から疑ってしまう。
元刑事で妻に暴力をふるっ...続きを読むて刑務所に入っていた男が、
出所し妻を殺そうと家に押しかける。
いかにもな設定に、どうひっくり返すのかを楽しみにしていたら、
やはりだった。
次に裏の顔があるのではと、疑っていたのは、
コルターが雇われた会社の警備担当の女性。
元諜報員だったが、情報漏洩のため暗殺指令が出てしまい、
名前も体形も職業も変えて生きていると言われても、信用できない。
コルターとすぐいい仲になっていたのも怪しすぎる。
だが、一番予想外だったのは、
元刑事の夫が妻の情報を求めて尋ねて行った女性。
富裕層の地区の自宅でサンドレス姿でじょうろをもっていた。
それなのに、妻の行き先のメモを取ってくると言って、
戻って来たときにはショットガンをぶっ放していた。
路上生活者を狙った連続殺人「ストリート・クリーナー」の話は、
今回の作品には関係なかったので、次回の布石か?
それと、コルターに雇われた会社の機密情報を売れと、
しつこく迫っていた男は逮捕されたが再登場するのか?
Posted by ブクログ 2023年10月12日
「どんでん返し20回超え。」
いやいや文藝春秋さん
数を誇るようになっちゃあおしまいよ┐(´ー`)┌
っていや質も申し分なかった〜!
というわけで懸賞金ハンター、コルター・ショウの新たな三部作が開幕です!
しかしもうのっけから残念で仕方ない
どうやら前作から3年くらい後の話なんだ...続きを読むがヴィクトリアいないんよ
好きだったのになー
あ、前作でショウといい感じになった女の人ね
ま、今作でもいい感じの女の人が登場するけどもね
ソーニャね
ソーニャもいいね
緑の瞳が印象的な元軍人ね(諜報系?)
ああ、ショウのパートナーになる女の人の話しかしてないw
それにしてもとんでもない伏線の量だったよ
まぁワタクシなんか初めから拾う気ないんでどんどん読んじゃいますけど
いやもう全部やん!っていうその時々で物語を進めるのに直接関係ない描写全部やん!
あ、ネタバレ?これネタバレ?
って多分そう前もって言われててもΣ(゚Д゚)Σ(゚Д゚)Σ(゚Д゚)Σ(゚Д゚)Σ(゚Д゚)Σ(゚Д゚)Σ(゚Д゚)Σ(゚Д゚)って感じになること請け合いです
物語の本筋もわいが弱い系のやーつだった
泣いた!。゚(゚´Д`゚)゚。
そして次はどうやらライムシリーズが刊行予定
楽しみ!
Posted by ブクログ 2023年10月06日
「追う者と追われる者」スリラーとしては一級品でしょう。
『ウォッチメイカー』や『魔術師』ほどの、「どんでん返しのキレ」はあまり感じられませんでしたが、その代わりにどんでん返しがきちんと物語に奉仕している(ストーリーテリング上の必然性がある)ように思え、ディーヴァーのどんでん返しの質も変化しているの...続きを読むだなぁ、と思いました。
どんでん返しのためのどんでん返し、になっていないというか。
上にあげた作品とこの作品とでは、どんでん返しの質が違うのではないかと。
おそらく、『ウォッチメイカー』のような作品を期待して読まれた方の気持ちには沿っていないかもしれませんが、ミステリとしての(小説としての)読み味は高いのではないかなぁ、と思います。
「ディーヴァーのミステリを読んだ」というより「小説を読んだ」といった読後感でした。個人的に満足度が高かったです。
面白かったです。
Posted by ブクログ 2024年03月18日
コルター・ショーが3部作で一区切りの後の新たな一篇。ライムのシリーズとは全く違う、アクション的な展開に最後までワクワクして楽しめました。登場人物の状況が複雑に絡み、二転三転するのはディーヴァならでは。
Posted by ブクログ 2024年01月04日
失礼ながらもうひとつのシリーズは飽きてしまった感があり、
最近はもっぱらこちらのコルターさんシリーズを読んで楽しんでいます。
お父様の死の真相までたどり着くにはあと何作かかるかわかりませんが
付き合っていきたいと思います。
Posted by ブクログ 2023年12月05日
毎回、作者のドンデン返しの妙と言ったら、全くもって他の追随を許さない次元にあると思う。
と、思うのだが、そこは逆に愛読者所以の悲しさか、巧みにミスリードされてはいても何とは無しに匂ってしまうのだ。誤導へのいざないが(笑)。
だから、今作の恐らく最も大きなドンデンは『だよね!』だった(と、嬉しがる...続きを読む所がガキだよな…)。
ただ、
驚きでは無いけれど、ある人物の死については意外だった。
私の覚えている限りでは作者の過去作(ライム、ダンス、今シリーズは全て既読)に於いて、作中私が好感を抱いた人物に起きた悲劇は『石の猿』のかの彼ひとりを襲った1件のみだったから(確かトムさんもシリーズ1作目で亡くなった筈だが、次作以降シリーズ化に伴い復活!)。
なので、手放しのハッピーエンドとはいかなかった。
とはいえ、最高にスリリングな冒険譚!
とにかくショウがヤバいほどカッコええ〜て
そりゃモテるわ(嫉)!
で、立ち止まれない男の物語は続く模様。
勿論、ライムにも会いたいけれど、ショウの今後も期待大!
ダンスやパーカーみたいにまさかの共演なんてことも…。
今後の共闘確率は…40パーセントか?
結びに、
本筋とは異なるが、作中非常に興味深い一節があった。
それはある精神科医の考察で、
人間とは原初的な不安や恐怖を抱いており、それらを相殺し払拭する為に種々の感情を使役していると云うもので、作中のある人物の場合はその感情は怒りであった。
内省的な不安、恐怖のみならず、実際的なスーパーネガティヴに晒されている2023年の世界に於いて、それでも前に進む為には、たとえ一時しのぎ的なものであったとしても、私は怒りや悲しみではなく、喜びや楽しさを使役する事でそれらを払拭したい。
最近目にしたスピリチュアル系の記事に『争いを望まないのであれば反戦に怒りを燃やすのではなく、ひたすら平和を想起、イメージする事だ』とあった。
先の考察からすると、このメッセージもあながち荒唐無稽なものでは無いと思った。
ささやかではあるが、今作の様に良質な作品を読むことも私の心に光を灯し前進への手引きとなってくれる大切なサバイバルツールなのだ。
さしずめ
『闇にとどまるべからず』かな。
Posted by ブクログ 2023年11月22日
コルター・ショウシリーズ四作目。
どんでん返しを警戒しながら読む。
最初のうちはふむふむまあまあ想定内だなた思っていたが結局騙されっばなしでした。それがまた快感なのも否定できないですけどね。面白かった。先入観ってなかなか取り除くのは難しいです。
Posted by ブクログ 2023年11月01日
SL 2023.10.29-2023.11.1
懸賞金ハンター、コルター•ショウシリーズ。
第一部は3作の事件が続けて起こっていることに驚いたけど、今回はもう3年も経っていることに驚く。
ジェフリー•ディーヴァーと言えばドンデン返し、特に今作は20回超えとか宣伝されているので、やっぱりということもた...続きを読むくさんあった。やられたということもたくさんあったけど。
お父さんの事件にケリがついて今回の事件はシンプルでわかりやすかった。
Posted by ブクログ 2023年10月29日
懸賞金ハンター・ショウシリーズ。
DVで刑務所に入っていた、元刑事が早期に釈放される。
元妻を殺すと追いかけ始める。ショウは逃げる妻と子を探し、逃げ切れるのかというのが今回の展開。
元妻がコンパクト原子力発電の優秀な研究者で、会社の運命を握る技術の開発者でもある。
現在の問題も盛り込みながら、スパイ...続きを読むも加わって、話は複雑になる。
元刑事は、同僚の刑事の命の恩人で、ヒーローでもあり警察を味方につけて追いかけているように見える。
最後は父と母の愛情が痛い物語。
面白いけど・・・予想のできる結末になってしまった。
Posted by ブクログ 2023年10月18日
毎回のどんでん返しに驚いているので今度こそは簡単には騙されないぞ、という思いで臨んだけれど、相変わらずのひっくり返し技にやられてそれでも悔しいという思いはしない。
夫婦間の感情、父と娘の絆など改めて感じ入るところが多い。
帯の一行「足元をすくわれすぎて著者に接骨院の請求書を送りつけたくなるレベル」と...続きを読むあるように、絶妙なユーモアにもさすが!と思わせられる。
年中行事の一つと感じさせてくれるディーヴァーの新作、いつも楽しみの数日間。
Posted by ブクログ 2023年10月04日
優秀なエンジニア、アリソンが娘とともに姿を消した。DVで投獄されていた元夫ジョンが突如出所、彼は自分を告発したアリソンを憎んでいるという。元刑事であるジョンは、そのスキルを駆使して逃亡したアリソンを追っていた。ジョンより早く彼女を発見してほしい――コルター・ショウのもとに依頼が舞い込んだ。依頼人はア...続きを読むリソンの雇い主。彼も事態を深く憂慮していたのだ。しかしほどなくして、ジョンと関係の深い犯罪組織からも二人組の殺し屋が送り込まれたことが判明した――
逃げる母娘。追う三組のプロ。熾烈な追撃と反撃の末に明らかになる真実とは? 反転する構図、二重底三重底の策謀、伏線と見えぬ伏線、すぐそこにあったのに目に見えていなかった大犯罪――。
壮大な「かくれんぼ」サスペンスを堪能いたしました。
Posted by ブクログ 2023年12月17日
2023.12 コルターショウシリーズはライムシリーズと違ってあっさりしたストーリーで読み進むのが早いですね。動機も軽いしキャラも軽い。次作に続く感も明らかだし。ディーヴァ版The娯楽小説という感じでたまにはいいかも。
でもやっぱりライムシリーズのひねくれさのほうが好きだな。
Posted by ブクログ 2023年12月06日
2段組み長編、やっと読めた、正直疲れた(笑)
帯に「どんでん返し20回超え」とあるように、場面展開が激しすぎる。一気読みというよりも、落ち着きと頭の切り替えに少しの休息が必要だ。
最後のどんでん返し、しばらく頭が追いつかずぽかん?としてしまった。なるほどと。ここからは結末がやっと開けてきて一気読...続きを読むみ。
ちょっとしつこいのが好きな人にはお勧め。私はもう少し軽めがいいかな。