【感想・ネタバレ】上流階級 富久丸百貨店外商部のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

百貨店にも行かず高級ブランド?ロレックスしか知らない…な小娘なので、作中で表現される商品描写の2割も理解できないまま読み始めた結果、中盤までは読んでて辛かった。
なにせ駆け出し冒頭は鮫島も上手くいかないことが多い。そのうえ、問題がどんどんと現れていくパートとはいえ、何一つ解決しないまま次に次にいってしまうのでもやもやがすごい。さらにその問題の一部が、加齢とか、結婚とか、恋愛向き不向きとか、子供が妊娠がとか、個人的にうぅ…(呻き)となるようなことばかりだからこと更に辛い。
あ、取り上げられた!解決策につながっていくか?と思いきや、まぁ人間の思考とは往々にしてそういうものなんだろうけど、さら〜っと違う話題に流れて言ってそっちが取り沙汰されて言ってしまう。現実逃避で小説の世界に入る人間からして、現実問題を引っ張ってこられた挙句解決もなくツライツライと言うだけ言って、話を流され勧められていくほどしんどいものはなかった……

ただやっぱり終盤に行くにつれてスカッとする展開が気持ちよかった!桝家との関係性が良くなったのは鮫島にとっても転機だったし、二人の掛け合いは一気に大好きになっちゃった。お酒片手にする軽口の応酬もいいし、かと思えば人生に対して強くて熱い口調でいい言ったりもする。桝家の普段表にはしないけどしっかりと持ってる考え方とか、それを聞いてムキになるんじゃなく「確かにそうかも」って受け入れて口にできる鮫島の強さもいい。
読んでいて、物語展開的に面白いと感じられてきた場面って、やっぱり桝家の協力は大きくそれで上手くいったってとこが多い気がする。でもそれは、鮫島が毎日毎日必死で仮面ライダーのベルトを問い合わせる努力をしていたからだし、殴られに行く覚悟で絶対に島田に頭を下げないと決めていた鮫島の覚悟があったからだし、っていう、本人が故の関係性の構築なのもしっかり分かって良かった。一緒に暮らしてなんか距離近くなって何故か親密になる、みたいなあやふやなものより私は好き。
そして最後になるけど、葉鳥さん……かっこえええ………

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2024年03月08日

ネタバレ 購入済み

富裕層ってすごい

聞いたことはあっても、実際には知らない世界が描かれていて、へぇ~ ほぉ~っと読みました。ただ、一番気になるのは、桝家と静緒の共同生活です。続編でどのような関係になるのか、楽しみです。

#笑える #シュール

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2023年03月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

再読

上流階級へ出向き、お客様のご要望に応じた商品を提案する百貨店の外商
見たことも聞いたこともない秘密の世界をのぞき見出来て面白い!

主人公は製菓専門学校卒の元バイヤーという変わった経歴を持つ鮫島静緒(37)
彼女は自分を見込んでくれた伝説の外商員、葉鳥士朗の後継者となるべく日々奔走している
男性が多い富久丸百貨店の外商員の中で珍しい女性として、菓子業界への伝手を使い、元バイヤーの知識を使い、様々な手段を使ってお客様に喜んでお金を使ってもらい、ノルマをこなす日々

この話は出てくる登場人物がほんとみな個性的で面白い!
キャラクターがご都合主義ではなく、ちゃんと血肉のある人物になっているのがそれぞれのエピソードから感じられる

その中でも、細く巻いた傘を常にステッキ代わりに持つ紳士、葉鳥さんは別格で格好がよい。
ラストのデパート屋上の遊園地
キラキラした情景が目に浮かぶ


『百貨店ていうハコの中で他店と同じ商品を売るためには、お客さんにこっちを選んでもらうしかない。だけどその判断基準は、老舗の包装紙とかそういうものを省けば、ぶっちゃけ販売員のサービスだけでしょ。その販売員の価値も、結局のところ日ごろから積み上げていくしかない』

静緒のお客さんの中でも特に気難しやの鶴さん、見栄っ張りの彼女にはクリスマスに超有名パティシエのバースデーケーキを所望されたけれど、何とか奇策をひねり出し、別のパティシエのもので満足をしてもらうことが出来た

『高価でスペシャルなバースデーケーキとはいえ、ケーキ一つ用意しても十数万の仕事だ。このために時間を割いてかけずり回って、鶴さんの怒号を浴びてストレスを溜めて…。本来であればわりに合わない仕事だろう。そんなことをするよりも宝石の一つでも売れ、そう邑智に言われるのもしかたがないかもしれない。
けれど、お金で買えない何かを手に入れた実感はあった。永遠に続く魔法ではないけれど、鶴さんはきっと恩に着てくださるだろう。今日のためにさまざまな手を尽くしたことは、将来静緒が本当に困った時の助けになるかもしれない』

静緒の仕事のスタンスは外商員としては規格外なのかもしれないけれど
ネットが普及し、消費のやり方が変わっていく時代
百貨店はきっと静緒のような人が必要になるのだろう


ところでお客様の一人に清家弥栄子様という六麓荘に住む名家のお嬢様(年齢は50前くらい)がいる

『私は生まれた時から富久丸さんにすべて揃えて頂きました。産着もお宮参りもお食い初めも七五三も、入学式も十三参りも、お誕生日会や習い事の発表会や十九のお祝い。成人式。結婚式も出産もほんとうに何から何まで、私の人生は葉鳥さんと…、富久丸さんとともにありました。
私がいなくなっても、富久丸さんがいつもと同じようにしてくださいね。私や妹に葉鳥さんがしてくださったように、娘や孫たちに…。娘たちは今時の子供で、外商さんでものを買うなんて時代遅れだと思っているようで、私もあまりすすめなかったのだけれど、いまになって少し悔やんでいます。
どうぞこれから訪れるたくさんの幸福や、もちろん辛い時や苦しい時も手助けをしてやってください。皆が親戚やお友達にめぐまれてよい人生を歩めるように、節々の記念日に。』

私はもちろん上流階級のお付き合いというものは実体験は全くなく
この物語を通して、こういう世界をのぞき見、想像するだけだけれど
世の中には外商を必要とするおうちがあって、
その人たちのために奔走する人たちがいるのだろうなぁ

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2023年04月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

デパートの外商部は全体の売上の3-4割を稼ぎ出す。
インターネットで欲しい物がすぐに見つかる時代にあっても富裕層のコンシェルジュとしての需要はまだまだあるらしく、へーっと思うようなエピソードも多い。

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2021年06月05日

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