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Posted by ブクログ
操浄瑠璃の隆盛を描く時代物っぽいけど読みやすい小説。
今回は近松半二の娘、おきみがとっても気になる。
遊びつつ才能に溢れてる松へ、おきみ、おきみに教えをこう徳蔵、たまたま縁でおきみと一緒に立役者になっちゃう柳、最後の足掻きでおきみのために命を削って浄瑠璃をかく菅専助。
それぞれの立場でそれぞれの一生懸命な思いが語られるから、別の人の視点になった時に全ての人物への親しみがグッと増して魅力的に思えてくる。
全ての人をゆるーく繋げてるのが松への懐の広い、カラッとした気質で、癒される。
十返舎一九が誕生したり、浄瑠璃の演目に雨月物語をつかうだとか、日本文学好きにはたまらない展開かもね。
最後おきみが幸せそうで良かったし、徳蔵とはすれ違ってすれ違って別々の人生になったけど、そういうのもなんだかリアルなかんじで良かった。
Posted by ブクログ
2019年の直木賞受賞作「渦 妹背山婦女庭訓魂結び」の主人公である近松半二亡き後の、半二ゆかりの人々によるスピンオフ作品。作品全体に流れる空気感は前作そのままで、前作が面白かった人なら間違いなくおススメです☆
キーパーソンは半二の娘であるおきみですが、江戸時代らしからぬ親しみやすい絵で有名な耳鳥斎さんと、近松半二とほぼ同世代の浄瑠璃作家である菅専助さんの二人がとにかく良かった♪その他、近松徳三さんや近松柳さん、近松余七さんと言ったサブのキャラクターも、主役を張れるほどの秀でた天賦の才は無いものの、それぞれが人形浄瑠璃を愛し、自分なりの人生を紡いでいくところがすごく良かったです。
ネタバレになるんでアレですが、とりあえず僕は、近松余七さんのその後がかなり衝撃的で、衰退期にはあったものの、本当にこの頃は人形浄瑠璃が日本の芸能のど真ん中にあったんだなあと感じました。あと、若かりし頃の近松徳三の言葉「おんなし嘘なら、わしはこっちの嘘のほうがええ」ってのも良かったし、おきみの旦那さんの話もすごく良かった♪