感情タグBEST3
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この人は明らかに、作品、作品で自分の作風、文体を自在に変化させている。おそらく遠慮なく物語を書かせれば、とんでもないものを書くのではないか富と思うのです。
ゾンビという設定を科学の中に落とし込み、それが出現した社会の法体制、揺らいでしまった「死の基準」を司法がどうするのかということまで書いていきます。そしてキャラの設定も抜群。主人公キャラについてはある短編を読まないこと。それから、なんでこんな表紙絵にしたんだ!ということで表紙絵をあまり見ないこと。これが大事です!
理系出身で博覧強記の方だと思います。そしてその知識をドブにすてない。知識が邪魔になるような読者対象を想定している場合、持っている知識を一切つかわないで、なんだ?って話も書ける。何冊か読んで、底知れぬ筆力に驚くばかりです。
SFミステリという中でも、屈指の名作ではないかと思います。ラストはある意味感動的。
ただ、描写の筆力が高いうえにキツイ場面を書きまくりますので人を選びます。でもって、ギャグセンスもある「ゾンビの踊り食い」ってなんだよ!って突っ込みましたわw
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ダイアローグの小林泰三節(ぎざぎざしていて不条理)はデビュー作から変わらず健在でうれしい。タイトルから哲学的ゾンビの話題か?と思いきや、そうではなく所謂ホラー分野に出てくるゾンビの方だな、とゾンビの踊り食いのスプラッター描写にドキドキしながら読み進めていくと、なぜか次第に哲学的ゾンビ(何をもって人間とするのか?)のモチーフに回帰するという良作。
そしてラストでは『人獣細工』のあの子が得られなかったトゥルーエンドで美しい〆。長年のファンにとっては青年がなぜヒロインに惹かれたのか、とかはもう気にならないことです。
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ゾンビウイルスから食肉問題につなげるところは見事。ちょっと長いかなって思ったのと最後力技で終わらせたかなってとこもあったけど、瑠璃の秘密が明かされるあたりからラストまでは引き込まれて面白かった。
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ゾンビウイルスがまん延した世界。
描写がグロテスクで飛ばし読みしてしまったところもありましたが、遺体活性化現象、活性化遺体とゾンビという言葉を用いず、これ以上うまい表現があるだろうかと変なところに感心してしまいました。
ゾンビウイルスが世界に与えた影響、経済や特に食料問題などのことも細かく設定としてしっかり描かれており、実際に同じようなことが起こったらこうなるんだろうなあと思いながら読んでいました。
瑠璃のキャラクターも魅力的でした。
瑠璃と沙羅の2人が話す内容から、瑠璃は沙羅のもう一つの人格なのではないかと思っていたのですが、彼を家に招いたシーンで彼の肘が瑠璃の顔に触れた的な描写があり、手術の跡があるから服を脱ぎたくないと沙羅が言うシーンがあったりしたものの、どういうことかわからず、ラストで理由がわかった時はそういうことかー!と思う気持ちと、それはわかんないよーと思う気持ちが交錯しました笑
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まずタイトルがインパクト大。内容は設定がかなりアクロバティックですが、勢いにのり一気に読めました。密室の謎、とかよりこの設定自体に重きをおいているように感じました。好き嫌いはあるかもしれませんが、私は面白かったです。でも、グロい表現もあるので、その手のものが苦手な人にはツラいかも。
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またもや「ゾンサガ」からの本書。思ったより会話が多い印象。『生ける屍の死』でもそうだったけれど、特殊な状況設定の場合、ルールは厳密に示されて、厳密にルールを守ることが縛りになる。初期の西澤保彦作品も同様。その点、普通の推理小説だと、厳密ではなく無理筋をゴリ押しのパターンもあるのかもと逆に思ったのでした。ゾンビウイルスの感染の話から、家畜がやられて食用肉の調達が難しくなって偽装問題に発展するとか、ゾンビ臓器の活用法などは、ただのホラー小説の枠を超えて、リアル感を感じた。「津波対策と怠った発電所」という発言で現実とも結びつく。
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ミステリ。ホラー。SF。
死ぬとゾンビになる世界。
ミステリとして読むと、平凡。☆2。
ゾンビコメディとして読むと、素晴らしくぶっ飛んでいて良い。☆5。
平均して☆3.5くらい。
惚けた感じの会話も含め、良くも悪くも小林泰三さんらしい作品。好き。
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新しい世界観と、何が自然なのかわからなく成ってくるやりとりで、不思議な感覚になってきます。
アリス殺し、おやすみ人面瘡、コンテクスト・オブ・ザ・デッドが、思い出されました。
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根幹を成すネタバレになるけど、これピノコの話だ。彼女の存在意識して読むと、すべての感動がネタバレになってしまうので言いたくはないけど、ピノコの話だ。
ゾンビの存在が認知されている社会。その認知が食料として浸透している社会。食人という倫理観が崩れていく過程が淡々語られている部分に、静かな恐怖感じます。あぁ、人間ってどんなタブーでも理屈さえつければ、それがマジョリティになってしまえば、順応していくんだなあ、という怖さ。
自分たちとは違った倫理観の社会の中でも、さらにきわどい感覚を持つゾンビイーター。ただ、そんな感覚の持ち主でも殺人犯に対しては持つ恐怖感は変わらないというのに、殺人を犯すということの重さ感じました。
踊り食いの残酷さ、パーシャルゾンビ食らいの凄惨さ。その二つを通じて倫理観を超越しているように見えただけに、余計にね。
身内という言葉に対して強い反感を示す場面。これもピノコということを鑑みて読むと、なるほどと頷けます。覚悟がない、というのもね。
でも、最後はちゃんと身内になれてよかったのではないのでしょうか。
なれたというか、ここからがスタートなんだけども。
ま、お幸せに。
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初小林泰三作品。
グロイ!!
でも面白い!
パーシャルゾンビ、
ゾンビイーター、なんじゃそりゃ!!
ミステリーとしては、まぁ……うん。
でもここまでゾンビで遊んでしまえる
このくだらなさ、嫌いじゃないわ~。
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異次元離れした、ゾンビを主としたストーリーは好みだったが、最後の種明かしが長すぎて細かく読む気になれなかった。
何重もの嘘や秘密なのに、スッと入ってきて読みやすかった。
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20年ほど前から遺体活性化(ゾンビ化)現象が起こり、世界中に広がった…
序盤は飛ばし読みしたいくらいグロい描写が続いてぴえんでしたが、段々ミステリー要素が強くなって夢中で読みました。ですが、グロに免疫無い方はご注意を。
Posted by ブクログ
なかなかのグロさ。ゾンビ化ウィルスが公認され家畜のゾンビ肉、ゾンビを生きながら喰らうゾンビイーター、一部がゾンビ化するパーシャルゾンビと広がっていく世界観が凄く緻密で面白いがリアルさを感じるだけにグロい。
ミステリ部も設定が良く活かされていると思う。全体的にセリフが多いため脚本のよう。誰が喋っているかが分からなくなることがあった。ただセリフが多いので読む速度が早くなった。
Posted by ブクログ
〈140文字要約〉
ゾンビ化した一人の男を「彼は殺されたのだ」と主張する八つ頭瑠璃。〈体の一部がゾンビ化する〉パーシャルゾンビが事件に関わっていると確信した瑠璃は、ゾンビの研究を行う公的機関や、ゾンビの踊り食いを楽しむ女性に接触し推理を組み立てていく。両親の仇を打つために真実を暴いた瑠璃は涙を流す。
〈140文字感想〉
ゾンビとミステリが切っても切れぬ時代に突入していこうとしているのか、と。そもそもゾンビと密室は相性がいいし、なんならゾンビ自体密室のようなものだし、と思いきや意外にも密室で殺されたのはゾンビの方だ。あれよあれよと展開も推理も進むうち、気づけば僕はゾンビのように文字を貪るのでした。
Posted by ブクログ
街を歩いてると「あっ、ゾンビが歩いてる」という終末世界。ゾンビの在り方にまで踏み込んでおり、ゾンビとの正しい付き合い方を学ぶ本だ。真相は見えやすいうえ、設定ありきという感じは否めない。これからゾンビミステリを書く人は大変だ。
Posted by ブクログ
ゾンビ映画が好きなので面白く読めたが、スプラッタが苦手な人は避けた方が良いだろう。とことんグロい描写とパラノイアの様に連続する会話体。ミステリの興味がすっかり霞んでしまった。
それにしても、著者はこの表紙のイラストに良くOKを出したなあ。
Posted by ブクログ
人類・・というか生物がウイルスに侵され死ぬとゾンビ化する世界。そこで発生した・・まあタイトル通りの殺人事件的ななにか。
相変わらず不思議なというか奇妙なというかおもしろい世界観や設定を書く作家さんですね。それを下敷きにしたミステリというちょっと変化球なのが魅力です。今回も・・・世界観は実に面白く興味深いです。実際の真相とかはイマイチなところはあるんですが、そこはやっぱり世界観がかなりぶっ飛んで奇抜なのでそれに比べると「なんか普通だな」と思ってしまうのもやむを得ないんじゃないかと。。。
あと、ゾンビゾンビした話なのでどうしてもグロい場面も結構あるから苦手な人は注意ですね。