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Posted by ブクログ 2023年09月05日
太平洋戦争に徴収され命を落とした戦没学生の手記集。本の存在は昔から知ってましたがやっと読みました。遺書ではなく手記なんですよね。もちろん遺書的なものもあるし、遺書でなくとも悲壮感のあるものが多いのですが、それでも徴兵前や徴兵後の日々の中でみんな色々なことを感じ、考えてながら生きていたことが日々の日記...続きを読むや、短歌や詩、家族や知人への手紙の中に表れています。失われてしまった声に耳を寄せると共に、高学歴ではなく手記を残す習慣のなかった多くの若者たちにも想いを馳せたい。今後も多くの人に読まれ続けていってほしい本です。
Posted by ブクログ 2022年08月10日
毎年8月になると、戦争関連の本が読みたくなる。本書は前に一度読んだことがあったものの、今回はより深く心に感じるところがあった。
それぞれの方の亡くなった日を確認して、掲載されている文書が亡くなるどれくらい前に書かれたものなのか、という点に着目しながら読むと、なんともいえない切なさが増してくる。
自分...続きを読むの死期をある程度予測できていた(特攻・刑死など)人と、おそらく予測できていなかったであろう(戦死・病死など)人とで、文から伝わってくるものも異なる。前者はある種の諦観や、人生の整理といった感じが強く、後者は当然ながら、自分の命がまだ続くものという前提で、本当に日常の記録といった感じ。「●●がしたい」「□□が食べたい」など、未来へのささやかな希望が書かれているのを見ると、実に切ない気持ちになる。
日々の生活で、不満に思うことやストレスなどは尽きないが、家族とともに「当たり前の日常」を普通に過ごせていること自体が、とんでもない幸せなことなんだと、つくづく思う。
たぶんこれからも、ちょっとした不満やいらだちはついてまわるだろうが、生まれる時期がわずか半世紀ずれただけで、過酷な運命を強いられ、それでも最期まで気高く生きた諸先輩方が確かにいたということを忘れず、感謝と謙虚の気持ちをもって、生を全うしたい。
Posted by ブクログ 2021年03月25日
戦没学生の手記集、今読んでも胸が締めつけられる。辞世の歌を遺している若者も多い。いくつかを引く。「手折りたる土筆なつかし故郷の妹がつみしも同じこの季節(ころ)」「わが妹は母しなければとつぐ今日誰が帯結び粧いするらん」「赤き実を雀ついばむ袋路に吾をまつらんか幸薄き叔母」「ふるさとの背戸に匂わん野いばら...続きを読むの白き花がきいまもつづくや」「かくてこそ人も果てなむ爆雷に打たれて魚数多浮きおり」「蒼く澄みて鷗の遊ぶこの波の底うすぐろき死の光あり」「硫黄島雨にけぶりて静かなり昨日の砲爆夢にあるらし」「しまらくのいのちにあればむらさきのけむりの舞はかなしかりけり」「おののきも悲しみもなし絞首台母の笑顔をいだきてゆかん」
Posted by ブクログ 2018年10月28日
"戦争とは若者を否が応でも大人にさせる。死を意識した生活を強いられる。太平洋戦争時に若者が恋人や親に宛てた手紙を集めたのが本書。
仮に、私が当時にいって同じような体験を強いられたときにこんなコメントは書くことができないだろう。
一つ一つを大切に読み続けたいと少しずつ読んでいった。
今の平和...続きを読むにあらためて感謝するとともに、襟を正しておてんとうさまに恥じない生き方を誓う。
そんな気持ちにさせてくれる。"
Posted by ブクログ 2018年10月23日
本書は、第二次世界大戦で命を落とした若者たちが残した手記、遺書を集めたものである。死を目前にした若い命が、過酷な運命とどのように対峙したのか、赤裸々な葛藤がここにある。恐怖に打ち震え、己の悲運を嘆くもの。死に挑んでまだ学問への執着を失わないもの。残してきた若妻と幼子の将来を心配するもの。家族、特に母...続きを読む親に対しての親不孝を悔いるもの。と、さまざまであるが、ほとんどの人に言えることは、過酷な運命が、彼らの精神を急激に成熟させたことである。これにより、どの遺稿を読んでも極めて純度の高く、読むもの胸を締め付ける。その生々しい臨場感は、息苦しいほどである。特に、木村久夫氏(戦犯として死刑)による本書最後の遺稿は、正に「世に住む日々」の葛藤ドキュメンタリーである。これを読み、涙が出ないものは人ではないだろう。
Posted by ブクログ 2018年02月22日
現代の私たちは、輝かしい青春、そしてその若き命を犠牲にせざるを得なかった彼らに誇れるような国を作れているのだろうか。彼らの青春の日々、命を奪った悲しき歴史。彼らは。今の日本をみて何を思うのだろうか。
Posted by ブクログ 2016年11月21日
第二次大戦により戦没された方々の手記。
家族や友人、恋人を守る為に、死を前提とした戦地に赴く若者達の思いが綴られていて読むのが凄く辛かった。
検閲を潜り抜けるために書けることにも制限があるが彼らが国に対しての疑問や矛盾を感じ取っていたことは充分伝わってきた。
もっと学びたかっただろうし、もっと生きた...続きを読むかっただろうに欺瞞と葛藤を抱えながらも静かに諦観し、無残に散っていった命を思うと涙が止まらなくなった。
今、私が享受している平和は彼らが切り開いてくれた道。この本の中で息づく魂を無駄にはしたくないと思う。
Posted by ブクログ 2016年10月14日
長く手に取らずにこの歳になりましたが、ついに繙きました。未来ある若者にこのような文章をしたためることを余儀なくさせる日が二度と来てはならないと思います。
Posted by ブクログ 2015年01月30日
何度も読み返したい。
自分が毎日どれだけふわふわ生きてるのかと思い知らされる。
明日はないかも、今日死ぬかも、隣の人にはもう会えないかも、日本はどうなるんだろう、家族は
半端じゃない覚悟と葛藤があったんだろうなと思う。
この人が日本の政治を担っていたらどうなっていたか、、と思うことも多々
1回目は彼...続きを読むらに、2回目はその銃前銃後に思いを馳せて。
Posted by ブクログ 2013年05月17日
もっと早く読めばよかった。
これまで戦争に関する本は何冊か読んできた。
だけど。
時間を、自由を、望みを、そして命まで。
理不尽に国家に奪われた人たちの本当の「言葉」。
これ以上心に重く響くものはなかった。
そして、時間の過ぎ行くままに生きてるのを恥ずかしく思った。
今の私は彼らが渇望したものを...続きを読む持っているのに。
Posted by ブクログ 2013年03月02日
絶対に読んでほしい。
まず、この本の初版発行が戦後すぐであること、
戦争を賛美する手記を
あえて載せない決定を下すまでの過程
その後何十年間にも渡って増版の度に
編集後記でそのことについての議論が行われたことが
すべて載せられている点において、高く評価したい。
今まで勝手に考えていた戦時中の...続きを読む若者のイメージを、
覆すことがいくつもあった。
ほとんどのひとが18~20代前半。
その聡明さ、ひたむきさに尊敬の念を覚えた。
とにかくできるだけ多くのひとに読んでほしい本です。
Posted by ブクログ 2012年05月26日
心からご冥福をお祈りしたいと思いました。多くの命が理不尽に消えた事実を決して忘れてはならないのです。死を前にして、きっと彼らは心の底から悔しかったのではないかと想います。なぜ、自分は死ななければならないのか、納得した死など無かったはずです。多くの方々の死によって今の私たちがあるのだということに感謝し...続きを読むなければなりません。
Posted by ブクログ 2012年02月26日
戦争はどちら側でも悲惨である。
家族に対する手紙は、胸をうち、先に読み進めないものもある。
自衛隊が、直接戦闘ではないといえ、海外に進出することに危惧もする。
なによりも、命を失うため起こっている戦争に関与するのだから。
戦後、すぐに発行されたときには、軍国主義を鼓舞するような内奥のものは掲載さ...続きを読むれていないという。
最初の編集時には、時代的に仕方がないかもしれない。
今、軍国主義の危なさを知るためには、
むしろできるかぎり実態のすべてを記録として公開してもらった方がいいかもしれない。
Posted by ブクログ 2017年02月06日
念願の靖国神社への参拝が叶い万感の思いだった。
ちょうど気象庁の桜開花宣言の撮影をしていた。
靖国神社の桜が標本木とは知らなかった。たぶん、意味があるんだろうな。
Posted by ブクログ 2010年12月04日
改竄されているという声もあるからわからないけれども、ただ読んだところで自虐史観を持つことはなかった。考えさせられることは山ほどあったけど。私は普段ほとんどフィクションしか読まないので、この痛々しいまでのノンフィクション作品は衝撃的だった。
時代が違うというだけで、考え方、知性、感性、洞察力、文章力...続きを読む………こんなに差が出てしまうなんて。中身もさることながら彼らの文章は本当に見事だ。理知的に観察しているように見えても、誰もがある種の熱を秘めながら、詩的に、繊細に言葉を紡いでいる。当時の学生たちの精神の高さを思わずにはいられない。
私と同じ歳の人間も、同じ大学の人間もいた。
彼らが希求した平和を貪りながら、今の日本を見ながら、これでいいのかという疑問の念がやまない。
本当に、人の考え方を変えてしまうような作品だ。
Posted by ブクログ 2022年01月12日
ことばのひとつひとつが重い。
74名の戦没学生による遺稿集で、日中戦争期、アジア・太平洋戦争期、敗戦の3部構成。
氏名、生年月日、出身、学歴、入隊日、死因と階級、死亡時の年齢がまず記されている。
出版当時の時代背景からの編集意図は感じるけれど、学生が犠牲となったこと、その背後に無数の声なき言葉たちが...続きを読むあるかと思うと虚しく、途方もない。
Posted by ブクログ 2020年12月17日
本書は、1995年(平成7年)に出版された、第二次世界大戦末期に戦没した日本の学徒兵の遺書を集めた遺稿集『きけ わだつみのこえ』の新版である。
本新版が刊行されるまでには、いくつかのステップを踏んでいるが、巻末にある日本戦没学生記念会(わだつみ会)の「新版刊行にあたって」によれば、概ね次の通りである...続きを読む。最初に発行されたのは、1947年(昭和22年)に東京大学協同組合出版部により編集された、東大生だけを対象とした『はるかなる山河に』で、「戦没学生が最後まで失わなかった人間性」に光を当てたものになっていた。その後、1949年(昭和24年)に遺稿の対象を全国の高等教育機関に広げた『きけ わだつみのこえ』の初版が刊行されたが、朝鮮戦争の危機が間近に迫っていたという時代背景から、遺稿の取捨選択が行われ、「“人間性”より“平和”」に力点をおく編集であったという。そして、本新版は、『きけ わだつみのこえ』の刊行をきっかけとして1950年(昭和25年)に結成されたわだつみ会が、前二版の長所を維持しつつ、「当時の学生たちが侵略戦争を担わされるにいたった冷酷な事実を直視し把握することができるよう」に、という問題意識のもとに再編集されたものだという。また、わだつみ会は、戦争を知らない若者が増え、また、ベトナム戦争が激化しようとしていた1963年に、「『きけ わだつみのこえ』の足らざるところを補正」するとの編集方針の元で、続編『戦没学生の遺書にみる15年戦争』を刊行したが、それは1966年に『弟二集 きけ わだつみのこえ』に改題されて、現在も刷を重ねている。
なお、「わだつみ」(わたつみ)とは、記紀神話に出てくる「海の神」(海神・綿津見)で、転じて海・海原そのものを指す場合もある言葉である。
本書には74人の遺稿が収められており、全篇に、家族や友人への愛、死に対する無念と覚悟、日本の将来への願い、(たまたま検閲を免れたと思われる)戦争や軍部への批判など、溢れる思いが綴られている。
佐々木八郎(東京帝国大学経済学部/1945年4月、沖縄海上で昭和特攻隊員として戦死/22歳)・・・「世界が正しく、良くなるために、一つの石を積み重ねるのである。なるべく大きく、据りのいい石を、先人の積んだ塔の上に重ねたいものだ。不安定な石を置いて、後から積んだ人のも、もろともに倒し、落すような石でありたくないものだと思う。出来る事なら我らの祖国が新しい世界史における主体的役割を担ってくれるといいと思う。また我々はそれを可能ならしめるように全力を尽くさねばならない。」
中尾武徳(東京帝国大学法学部/1945年5月、琴平水心特攻隊員として沖縄南西海上にて戦死/22歳)・・・「浪に消される痕であっても、足跡の主の力づよい一足一足が覗かれる。もり上った砂あとに立ち去った人の逞しい歩みを知る時、私は力づけられる。誠に我々は過去を知らず、未来を知らない。しかし現在に厳然と立つ時、脚に籠る力を知る。」
若くして戦場に散った学徒兵のこうした思いに、我々は今後も責任をもって応えていかなければならないのだ。
戦争の記憶を風化させないための材料の一つとして、受け継いでいくべき記録である。
(2020年12月了)
(尚、本書を巡る批判などについては、この後、保坂正康著『『きけ わだつみのこえ』の戦後史』を読んで、改めて考えてみたいと思う)
Posted by ブクログ 2014年04月06日
自分も学生であるから、この本を読み、出陣していった学生の方々の身と自分の身を照らし合わせることは当然行った。この方々に対してお気の毒だとはすごく思うが、それに対して自分は根性がないとか、しっかり生きていない、などとは思わない。自分がもし戦地に赴くことになったり、学問を続けることができなくなったとして...続きを読むも、その時には、自分ができることをしっかりやったと思うし、様々な覚悟もしたと思う。それとは別に、戦争で亡くなられた学生の方々の存在とその思いは心にとめておこうと思った。
Posted by ブクログ 2014年02月18日
読み進めるのが辛い本だった。
この手記を書いた人達は学業半ばにして戦地に赴いた。
そし亡くなった。彼らの心の声がここにはある。
厳しい検閲の中、残った貴重な声だ。
現在の首相他、政権についている面々には是非この戦没学生の声に耳を傾けてほしい。
Posted by ブクログ 2013年12月13日
戦争中に兵士として亡くなった学徒の手記を集めたものである.
文章から滲み出る当時の大学生の高い教養レベルをまざまざと感じることができる.当時の日本の若き頭脳が失われたことは日本にとっても大きな損失であろう.
この本を読むと英霊の眠る靖国神社に手を合わせないわけにはいかなくなるであろう.
Posted by ブクログ 2013年11月24日
第二次世界大戦中散っていった学徒兵たちの手記集。
帝国大卒の兵士の手記が多い事もあるが、この時代の学生は多くの書物を読み一人一人が一端の論者であったことに感嘆した。
もっと古典読まんとなぁ
Posted by ブクログ 2013年01月23日
出征前に学生達が書き残した生の声を聞きながら、自分だったら最後に何を書くだろう、何をするのだろう、誰のためなら死ねるだろうか誰のためでも死にたくないのだろうか、と考えてほしい。
『はっきり言うが俺は好きで死ぬんじゃない。
~(略)~
東京はもう桜が散りかけているでしょう。...続きを読む私が散るのに桜が散らないなんて情けないものですね。
散れよ散れよ桜の花よ、俺が散るのにお前だけ咲くとは一体どういうわけだ』
(「きけわだつみのこえ」より、大塚あき夫)
Posted by ブクログ 2012年05月25日
どんなふうに編集されたんだか。この本が語るのあくまで一部の空気。
日記は、人に読まれることを想定して書くもの。「SEXしたかった」「あいつは心底嫌い」など、汚いことが書かれていてもおかしくはないのだけれど。
大義名分のもと戦死することに格好つけて最後に良い文章を残すもんだろ。
といろいろ考え巡らそう...続きを読むが、心ひきこまれる文章に、なんだか共感でき感動。
おいらは「浅見雄一」の日記がすきだな。
Posted by ブクログ 2016年10月25日
戦時中の書記集。どうして読もうと思ったかな?色々なところで紹介されているので、題名は知っていたが、読むのは始めて。
戦時中の時代背景情報に詳しく無いので、最初「読みづらいな」「資料としては生の声で良いものだな」と思うが、それでもパラパラと目が止まる箇所を読み進んで行くと考えさせられたり、はっとすると...続きを読むころがいくつも。
もし戦争に行くことになったらどうするのか?を考える。今ではなく、戦時中では拒否することは難しいし、お国の為と行っただろうな。でも、もう子を持つ身の意見で、この本に登場するような若者の立場であれば、苦悩だろうね。
今であれば、自国が攻められたら、戦うかな。
兵舎でのイジメについて。今では考えられないくらい暴力、上下が厳しい様相がわかる。自分は耐えられただろうか?また、上級生になっても暴力を振るわないでいれるだろうか?
今のままそういうシュチュエーションに放り込まれたら、暴力の連鎖を少なくとも自分は断ち切れると思うが、そういう時代に育ち、大きくなっていれば、難しいのだろうね。
時代のせいにするのは好きではないが、そういう要素が大きいケースなのだろうなとは思う。
Posted by ブクログ 2014年10月05日
【出会い】
新聞の何かの記事で見つけた。
【感想】
戦時中の若者の声が淡々と記載されている。
わかりやすいものもあるし、わかりにくいものもあるが、今とは大きく時代が異なることだけはよく理解できた。
かなりボリュームがあるが、最後の木村久夫氏の書記は戦争に対する批判としては非常にわかりやすいと感じた...続きを読むので、そこだけでも読んでみる価値は大いにあると思う。