【感想・ネタバレ】チリの地震 クライスト短篇集のレビュー

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Posted by ブクログ

「チリの地震」息が止まる衝撃。
今まで読んだ短編の中で、一番の傑作。
救われた喜び、再会の喜び、困難な中での一体感、待ち受けていたかのような人間の醜悪さ、夫婦に託された微かな希望。

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2011年09月12日

Posted by ブクログ

今まであまり読んだことのなかった系統ですが、新しいものを読んでみたくて手に取りました。
素直に素晴らしいと思える作品ばかりです。
しかし、ところどころ翻訳が怪しいところがあるようで……それも話の筋に関わるレベルみたいです。
全集なんかと読み比べもしてみたいところです。

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2015年07月17日

Posted by ブクログ

大学のころ、独文の講義をとった。いくつかの短編小説(時代はバラバラ)を読んでいき、そのうち一つについてレポートを提出するという形式だったのだが、それら短編のうちの一つが、この本所収の聖ツァツィーリエだった。その講義は結局出席しなくなり(たぶん面倒だったんだろう)単位を落とした。もったいないことをしたものだ。

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2014年01月01日

Posted by ブクログ

文章が読みにくい。
他、難しい熟語、雅語などが出てくる。

『エンデの読んだ本』より「マリオネット芝居について」で興味を持ち購入。
この評論の切れ味が良すぎて、ほかの短編作品もいいのだが、それを読んだ時ほどの衝撃は得られなかった。

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2013年05月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「チリの地震」
首都サンチャゴで、何千という人間が落命した1647年のあの大地震のまさにその瞬間、さる犯罪のために告訴された、その名もジェローニモ・ルグェーラという一人の若いスペイン人が、監禁されていた牢獄の柱の下に立っていましも自ら首をくびろうとしていた。(p11)

どよめきの中に投げ込まれたあの衝撃からこの方、人々は皆許し合っている、とでもいうかのようなのだ。人々の記憶はもうあの衝撃の瞬間までしか立ち戻れなかった。 (P22)

最初の大揺れの直後、市内は男たちの目の前で分娩する女どもであふれ返ったということであり、修道僧たちがそのなかを手に十字架を持って走り回って、世界の終りがきた、と叫び狂い、衛兵が副王の命により教会を明け渡すよう要求すると、チリの副王はもういない、と応じた事、その副王はあの恐怖の極地の瞬間に略奪行為をやめさせる為に絞首台をたてさせざるを得なかった事、火に包まれた家をようやく抜けて助かった男が、何もしていないのに立ち回りが早すぎるというので家主に捕まって、あまつさえち首をくくられ (P23)

人々の地上の戝がことごとく潰滅し自然が丸ごと滅亡してしまいかねなかったあの恐ろしい瞬間の只中にこそ、人間の精神そのものがあたかも美しい花のように花開いたかのようだった。あたかおあの共通の不幸がそこから逃れ出た人々全てを苦痛はどの人の心の中でもこよなく甘い喜びと混じり合い、エルヴィーレの思うに、ために幸福全体の総計は、それが一つの面から出てくれば、その分もう一つの面から取り除けられる、とは必ずしも申せないほどだったのである。 (P24)

生まれからすればついぞ仏人なんかじゃなくて、スイス人とこちらに判っているお方が、強盗まがいに襲いかかって殺して身ぐるみ剥ぎたくなる程の、どんな悪を私達に働いたというの? (P65)

植民者達に対してここでならした不平が、島のあの人がやってきた地方にも同じ様に通用するのかしら? (P65)


「話をしながら段々に考えを仕上げてゆくこと」
フランス人の言うには「食欲は食べているうちにわいてくる」のだそうだが、この経験命題をパロディ化して「考えは話をしているうちにわいてくる」といっても、事実であることに変わりはない。 (P206)

自分の求めているものとあらかじめ若干の関係のあるなにやら模糊とした観念を私は持っており、(略)これを携えて臆面もなく一歩を踏み出しさえすれば、はじまったからには結末もあるはずという必然性に導かれて、話の進むうちに、(略)情念がその錯綜した観念に完全に明白な刻印を与えてくれる (P207)

モリエールみずからの言うところによれば、モリエールは彼自身の判断を語る術を心得ているこの女中の判断を頼りにしていたという。 (P207)

7月23日、国王が諸身分代表に討議を命じていた国王最後の君主制議会終了の後、諸身分代表がまだ席を去らずにいた議会にとって返して彼らに王命を承ったかと尋ねに来た式部官を、ミラボーはあの「電撃」で片づけたのだ。 (P208)

ミラボーの答えるには、「我々、王のご命令を承りました」-思うにミラボーは、このおとなしやかな発端では締め括りの言葉にした銃剣のことは念頭になかった。「さよう、閣下」とミラボーは繰り返した、「承りましたとも」-御覧のようにミラボーは、自分が何を言いたいのかサッパリ判っていない。ミラボーは続けた、「ここで王名をめかされるいかなる権利がおありかな?我々は国民の代表なのだ」-これこそミラボーの必要とした言葉だったのである。「国民こそが命令を与えるのであり、国民は如何なる命令も受けはしない」ミラボーは、いまや魂が武装蜂起の構えで待機している反抗を表現する言葉を、ようやく見出すのだ。「それゆえ、どうか国王陛下に申し上げて頂きたい、我々に議席を去らせる者があるとすれば、それは銃剣の暴力を措いて他にはございません」 (P209)

相互作用によってそれ自体に内在する電気―度が再強化されるのであるが、それと同様にわが弁論家の勇気は的を壊滅させながら大胆極まりない精神抑揚へと移行していく。 (P209)

この種の話し方こそが真の声高らかな思考である。表象の列と表象の記号の列とがならび会って同時進行してゆき、その両者にも情念が呼応する。 (P212)

ある表象が支離滅裂に表現されたからといって、そこからただちに、当の表象が支離滅裂に思考されもしたという帰結は出てこない。 (P212)

思考から表現への精神の移行という突然の業務交替が、考えたことを口に出すのに必要でもあれば、考えたことを固定するのにもなくてはならない精神の刺激を、再びすっかり解除してしまったのだ。 (P213)

実は、解っていない、のではなくて、それが私たちのある種の解っている状態なのである。むしろ凡庸そのものの精神、昨日暗記したばかりで明日は綺麗さっぱり忘れてしまう人間の方が、こういう場合には打てば響くように回答しかねない (P214)

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2012年08月08日

Posted by ブクログ

【チリの地震】
処刑という絶望の中、起こった大地震。そして、地震は離れ離れになっていた男と女と二人の子どもを再会させる。一瞬、希望が彼らを包む。まるで、それはユートピア。
しかし、たくさんの人々の「犠牲」の上に成り立つ再会と幸せなど長続きすることはない。
一組の男女を生かすのも、許すのも、裁くのも、殺すのも、それらは決して神が行うのではない。すべては、人間が行うことなのだ。

この作品が、3.11後に再び出版された意味とは一体何なのだろうか。わたしたちは、400年以上前のチリで起こった地震をテーマにした作品から何を感じ取るべきなのだろうか。

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2011年11月08日

Posted by ブクログ

起承転結のしっかりした、王道の短編集といった印象。

「チリの地震」
天災が人間の心の中に、ある種逆説的に平穏さをもたらす場面の描写が凄く上手。★★★

「聖ドミンゴ島の婚約」
分かりやすい悲劇。起承転結がハッキリしていて短編のお手本といった観あり。ベタだけど普通に面白い。★★★★

「ロカルノの女乞食」
いや、流石にそこまではいかないんじゃないか。と思ってしまう幽霊の影響力の強さ。★★★

「拾い子」
シンプルな構成ながらも、怒り心頭のピアキの迫力はなかなかのもの。★★★

「聖ツェツィーリアあるいは音楽の魔力」
これは奇蹟と言えばいいのか何なのか。神の配剤は少なくとも俺の理解を超えている。★★★

「決闘」
これも王道と言いたくなるような起承転結のハッキリした構成が読みやすい。正義は勝つ。★★★★

「話をしながらだんだんに考えを仕上げていくこと」
これは小説ではなくエッセーの類かな。タイトル通りのことが書いてある。まずは話題にして口に出してみると、もやもやしてた考えがしっかりした輪郭をとる、というのは仕事の上でもよく使う手段。★★★

「マリオネット芝居について」
エッセーのような小説のような。認識力が自然の動きを阻害するという論旨は結構面白かった。★★★

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2011年08月20日

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