【感想・ネタバレ】殺人者はいかに誕生したか―「十大凶悪事件」を獄中対話で読み解く―のレビュー

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Posted by ブクログ 2022年10月31日

憎むべき凶悪犯罪を犯した人間の生い立ちについて、深く鋭く書かれている。

筆者が言うように、犯行の動機等が明らかにならないまま、世論の「極刑止む無し」の声に後押しされて裁判が終了してはならないと強く感じた。

「罪を憎んで人を憎まず」の言葉が思い浮かんだ。

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Posted by ブクログ 2019年12月18日

最近、幼少期の体験と心の闇に興味があります。
かわいそうな人が減っていきますように。
また、司法がもっと今後の悲劇を生まないためのものになりますように。

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47
生来的な素因に成育上の問題点が付加され、両者が相乗的に作用し合い、さらには犯行直近に社会的ストレスが加わるといういくつ...続きを読むもの要因が複合することによって、犯罪は生まれるものなのです。
50
自分の信念に合致しない情報は排除されてしまう、そんな認知スタイルが出来上がっているとの仮説もたてられます。
59
解離は、通常は統合されている心のさまざまな働きが部分的に断絶してしまうことの総称で、その現れ方も多種多様です。解離も、心の崩壊を守るための防衛と考えられ、無意識のうちに進行します。
虐待を受けた人は多かれ少なかれ解離を示すものです。のちの章にも繰り返し登場する解離の概念ですが、解離性健忘はその典型です。記憶が現在の意識との連絡を断ってしまうものです。

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Posted by ブクログ 2018年12月01日

臨床心理士による殺傷事件の加害者との交流からの考察。
幼児期の愛着関係、家族との関係性の質、学校や社会での対人関係、事件が起こる直前のストレスなど複合的に絡み合っていることを物語のように説明。
加害者本人寄りの発言と自らだけに心を開いているという思いを強調しているような印象は否めないが、再犯予防のた...続きを読むめの真相解明の必要性、裁判での量刑判断重視の方向性については考えさせられた。

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Posted by ブクログ 2018年08月09日

殺人者はいかに誕生したか:「十大凶悪事件」を獄中対話で読み解く。長谷川博一先生の著書。凶悪犯罪者と呼ばれる殺人事件の加害者たちのこれまでの生育環境、家庭環境、生活環境に焦点を当てています。人間の人格形成や価値観の形成にあたって、生育環境、家庭環境、生活環境がどれほど重要であるかが理解できる良書です。...続きを読むもしこの本で紹介されている「殺人者」たちと同じような壮絶な環境に置かれていても同じような犯罪事件の加害者にならなかったと断言できる人は多くないのではないでしょうか。

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Posted by ブクログ 2015年07月01日

 この本を読んで、殺人事件の加害者や裁判についての認識が変わった。
どの事件も猟奇的で衝撃的なものばかりだが、そうなるべくしてなったものばかりであることが分かった。もちろん、一人の臨床心理士による解釈に過ぎないため真の事実は分からないが、加害者にも何かしらの事情があることは確かであるだろう。
 殺人...続きを読むは絶対に許されないことであるし裁かれなければならないことである。しかし、なぜそのような凶悪な殺人事件が起こったのかという事実解明をしていくことは、殺人事件を見ていくうえで必要なことなのではないだろうか。

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Posted by ブクログ 2024年04月06日

穿った両親。不遇な幼少期。
傷ついた心が犯罪に走る原因の一つ。
だけどそれだけを理由にするのは逃げだとも思う。

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Posted by ブクログ 2022年08月05日

数々の犯罪者と触れ合ってコミュニケーションを取ってきた臨床心理士の著者ならではの一冊。
自分でも当日よくニュースで見聞きした犯罪者たちの生い立ちや、当時のニュースからは知ることのなかった背景を知ることができて興味深い。
実際に殺されてしまった人がいるので犯罪は犯罪として当然裁かれなくてはならないけれ...続きを読むども、それでも犯罪に至るまでに数奇な、あるいは過酷な生い立ちの中で育ってきた犯人がいることも事実。情状酌量が云々とかそういう話は別にして、この犯人たちも本来はもっと早い段階で支援の手が伸べられる人たちであったのは間違いないだろうし、その人たちを一概に「非情な殺人をした悪人」と片付けてしまうと、今後同じような犯罪を産まないための本質を見失う。
やや推測で言い過ぎている部分があるような気もするし、直接会ってコミュニケーションをとったことがない人のことまであんな疾患じゃないかとかああいう生い立ちだったんじゃないかと推測するのはちょっと危険ではないかと思うので、一部そういう部分があったのが気になる。
それを差し引いても、重大犯罪を考える上でとても参考になるのではないか。読んで損はしない一冊だと思う。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2021年03月02日

・読んだきっかけ:凄惨な殺人事件が起きると、メディアは一斉に加害者を袋叩きにするが、加害者が犯行に至るまでの経緯が知りたかった。
・響いた一文(引用):早期に発見されず、支援を受けられず、結果として犯罪者となった人々の「子どもの心」を思い、涙を流します

・この本に登場する加害者は、全員が幼少時にな...続きを読むんらかの「虐待」を受けていた。幼少時の親子関係の歪みはいずれ子供に何らかの形で表れるのではないか。(子供への虐待に関する支援が犯罪予防になるのでは?と感じた)

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Posted by ブクログ 2021年02月20日

凶悪犯罪、連続殺人事件といった言葉から想像するような犯人というものとは少し様相を呈しました。もう、言葉も通じない荒くれかと勝手に思っていました。
実際の彼らの生い立ちは悲惨極まりない場合が多くて、可哀相だよ、と心の中で同情してしまいました。
被害者であるうちに、助けてあげれば違ったのでしょうか。

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Posted by ブクログ 2018年11月26日

題名のせいか、読みだすまでに時間が掛かった。しかし読み始めると、ディープな内容に関わらず、どんどんと引き込まれてゆく。

真実を明らかにして、同様な犯罪の再発防止と、社会的支援のあり方を探ろうとする著者が、量刑判断の場としての裁判所、そして、量刑を軽くする事を一義的目的とする弁護団との間で苦労する姿...続きを読むに感動を覚える。

メディアの報道では、発生した事件そのものにしか触れないが、その背後にある犯人の成長過程にまで遡ると色々な事実が浮き出てくる。その様な事態に至る前に、社会として何か出来たのではないか?と思わざるを得ないと同時に、社会の位置構成員である自分の無力さ、ある意味の無関心さに不甲斐なさを感じる…



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Posted by ブクログ 2018年09月20日

重大凶悪事件を起こした人達を
臨床心理士との獄中対話で読み解いたルポ

重大凶悪事件は以下
池田小学校児童殺傷事件の宅間守
埼玉連続幼女誘拐殺人事件の宮崎勤
大阪自殺サイト連続殺人事件の前上博
光市母子殺人事件の元少年
同居女性殺人死体遺棄事件の男性
秋田連続児童殺害事件の畠山鈴香
土浦無差別殺傷事...続きを読む件の金川真大
秋葉原無差別殺傷事件の加藤智大
奈良小一女児殺害事件の小林薫
母親による男児せっかん死事件の女性

面接と対話を繰り返すことで
殺人を犯した人たちの内面を浮かび上がらせようとする
臨床心理士の長谷川博一氏

語られなかった幼少期のこと
罪を犯した人たちが何を思い何を考えているのか「心の闇」を読み解いていこうとしてる。

幼少期にどんな環境だったとしても決して殺人は許されないとは思う。しかし、本書に記される人々の幼少期はあまりにも悲惨すぎる。ひどい環境でも立派に生きている人もいるのでそれを殺人の理由にしてはならないが、何かやるせないものを感じてしまう。

と同時に、この本を読み終わって心の底から恐怖を感じたのは日本の司法の在り方。

きちんとした精神鑑定ができていない現状
死刑廃止論で盲目的に動く活動家
裁判を有利に運びたいがために真実をゆがめる人々

殺人者が罪を償うということ…
それは「自分が人の命を奪った、人生を奪った」ということを自分で理解し、殺した人に対して謝罪することなんだと思う。

でも、きちんと理解ができていない罪人たちは
自分がなぜ死刑になるのかわからないまま
反省なきまま死刑になる。
または、死刑を回避しようと弁護団に入れ知恵された嘘を重ねる。

被害者も加害者も救われない裁判…。
現実とはそんなものなのか…。

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Posted by ブクログ 2018年02月14日

これまで を 変えることはできない
でも
これから を 変えることはできる

起きてしまったこと(犯罪)を
済んでしまったこと(犯罪)に終らせることなく
起きてしまったこと(犯罪)から
それが
起きてしまわぬように
あらゆる立場から
社会的な問題として
とりあげて、
考えることは
とても大切だと思う...続きを読む

犯罪の抑止というものは
そこからしか始められない
と思う

こうしている 今も
犯罪につながってしまう怖れのある
親 子ども 家庭 社会
が あるのは 事実だ

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2017年08月14日

犯人の名前を聞けばすぐに思い出すような残虐な事件がいくつもとりあげられている。
裁判は迅速化が求められていて真実とは離れたところで決着がついてしまうことも多く、犯人の心理にじっくり迫らないと本当の問題解決や事件の予防にはならないという長谷川さんの訴えは痛いほどわかる。わかるけど、それは無理なんじゃな...続きを読むいかと思ってしまう自分もいる。
ここに出てくる加害者の生い立ちを知ると同情するし涙も出て苦しいけど、正直どうしたらいいのかわからない。混乱してしまう。

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Posted by ブクログ 2016年04月02日

あんな非道で残酷な鬼のような犯人は早々に処罰すべきだという世評は多い。著者は、警鐘を鳴らす。「裁判所は、量刑判断の場で、真実解明の場ではないと公言し、人々の誤解を解いてほしい」「刑事司法が犯罪抑止に積極的に向き合うように」人々の誤解を解くためにこのような著作が世に広まる事を願う。2016.4.2

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Posted by ブクログ 2015年04月19日

ここに紹介された事件は世間を賑わせ、加害者は極悪人のごとく人々の記憶に刻まれる。それでも時間が経過すると人々は忘れ、その事件がなぜ起こったのか、犯罪を犯した者の生い立ちや心を踏み込むことは特に知る機会がないままだった。
加害者が犯してしまった罪は消えることはないが、加害者も生まれつきサイコパスだった...続きを読むわけではなく、犯罪行動を起こす芽が、歪んだ家族関係や環境にあるのだ、そういう意味では加害者もこの世に望まれて生まれてきた人間であるにも関わらす、社会の中で孤立する被害者だったともいえるのではないか。と考えさせられる一冊だった。

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Posted by ブクログ 2021年09月29日

歴史の残る凶悪事件の犯人たちと直接対話して得られたこと。う~ん、たしかに貴重でためになることではあるのだが、私にだけ本音を語ってくれたという自慢話に聞こえてしまうのはなぜかな?

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Posted by ブクログ 2018年01月27日

副題にあるように、十の凶悪事件はいかにして起きたのか、犯人との面会と対話を通して、彼らの心の闇に迫る。
本書で取り上げられている事件の犯人は、皆幼少期に何らかの虐待、いじめを経験している。
それらが彼らの中に暗い影を落としているのは、間違いないが、きっかけが無ければ、このような罪は犯さなかったかもし...続きを読むれない。
心の傷となんらかのトリガーが、事件を誘発してしまうということが分かった。
彼らがもっと自分の傷に、自覚的であったなら別の選択肢もあったのではないかと思ってしまう。
しかし、幼少期の辛い体験は想像を絶するものであり、そのために精神障害を起こしてしまうこともある。
大人になって加害者になってしまったけれど、子供のころは被害者であったのだ。
なんともやるせない切ない気持ちになってしまった。
また、裁判とは事実関係を精査する場ではないということは初めて知った。事件の真相を解明して、再発防止をするためにもそのような機関やシステムがあればと思う。

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Posted by ブクログ 2017年09月18日

臨床心理の立場から犯罪をみる。様々な見方があって、もちろんこれが全てではないのだけれど、単なるニュースへの見方も変わるかな、と思う。「なりたくてなった人はいない」これが何よりの事実。講義中の場面があまりにリアルで、絶する程過酷な現場なのだなと思い返していた。あー...本当真面目に勉強しておくべきだっ...続きを読むたな、と今になって後悔しているのは秘密。

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Posted by ブクログ 2017年04月30日

十大凶悪事件の犯人の心に迫る。
確かに事件がどうして起こったのかがどこまで追求されているのかは不明である。
作者は臨床心理士で、事件を起こす過程には、犯人の幼少期の家庭環境等が大きく影響しているという。
そのため、事件の真相を知るためには、その過程を知ることが大切なのだという。
確かに現在の凶悪事件...続きを読むの犯人の低年齢化が進んでいることを考えれば、事件の真相がわからなければ、また同じことを繰り返してしまう危険は否めないのではないかとも感じる。

2017.4.30

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