【感想・ネタバレ】群青の夜の羽毛布のレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2022年07月22日

母と娘2人の闇を抱える家族の謎を、長女の彼氏と同じ視点でどんどん明らかになる。
情と憎しみが入り混じっている異常な家族関係。展開が読めず、続きが気になり一気に読んでしまった。
山本文緒さんの小説は本当に面白い!

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Posted by ブクログ 2021年12月23日

読んでいる最中、背中がぞわぞわしてしょうがなかった。
大学を中退し、家事手伝いとして過ごしているさとる、24歳。
2歳年下の彼は大学4年で、就職も決まった今、自由な時間をさとると過ごしたいと思っている。
しかし、さとるはいつも母の影におびえ、門限を絶対に破ろうとはしないのだ。

父の姿のないさとるの...続きを読む家では、母が絶対的権力者で、何か気に入らないことがあると暴言を吐く、だけではなく、暴力も振るう。
さとるは母に愛されている実感がないまま、母を怒らせないように気を遣って生きているのだ。
さとるの妹みつるは逆に、母に反発を隠さない。
ただし、やっぱり逆らうことはできない。
しんと冷たい家族の姿がそこにはあった。

私の実家の話かと思った。
ここまでひどくはないけれど、過干渉の母に対して反発は許されなかった。

さとるたちが隠す父の影。
その謎が解けたとき、物語は一気に崩壊に向かっていくのだけど、私はそれよりも前半の方が怖かったなあ。
怖いというより苦しかった。
息ができなくて背中がぞわぞわ。
どうして親は私を縛り付け、思い通りにさせようとするのか。
なぜ子どもは自分の意見を言ってはいけないのか。
学生時代は何かが自分の中から飛び出してきそうで、怖かった。
友だちがいなかったら、きっと爆発していたと思う。

物語の終盤でみつるが姉の恋人である鉄男に言う台詞がある。
「入院してるのは、私の両親とお姉ちゃんだよ。だからできる限りは面倒見る。でも、どこまでやったら親孝行で、何をしなかったら親不孝なんだろう」
みつるは家族を愛してはいないが、情はある。
だからできる限りは面倒見るけど、距離を置こうとする気持ちはすごくわかる。
それは、今現在私が実家に抱いている思いと多分同じだ。

哲夫にもまた、さとるには告げていない家族の問題があった。
全くのお嬢様気質のまま大人になった母。
なにも自分で判断することをせず、責任も持たず、誰かの庇護のもとでなければ生きて行けない母。
父は愛人を作って出ていき、兄も大学進学を機に家から離れていった。
全力で人に頼ろうとするから、人は彼女から離れていく。
それを間近にみて母を捨てきれない鉄男。

人は皆、まず自分の力で立てるようにならなくてはだめだ。
親に、子に、恋人に凭れて、縛って、愛憎がきつく絡まっていくのは、結局誰のことも幸せにしない。できない。
そういうことですよね、文緒さん。
夏にこの本を予約した時、この本を読む前にあなたがいなくなるなんて思いもしませんでした。

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Posted by ブクログ 2014年02月06日

門限が夜10時、私と同じでふと気になって手にとってみました。数時間で一気読みしてしまった。読み終わった後のなんとも言えない余韻が続く作品。
なんだか今までの生き方、考え方、家庭環境がさとると驚くほど似ている。
大切な本がまた一つふえました。

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Posted by ブクログ 2014年01月31日

やっぱり山本文緒は最高です。近年稀に見る一気読みをしてしまった。
うしろにある作者の存在なんか感じる余裕もないくらい、そこにある圧倒的な「現実」に巻き込まれて、いつのまにか泣き叫びたいほどの鬱の渦に呑み込まれる感じ。
後半は軽くホラーかという展開になるので、微妙に自分とのシンクロ率が低下して、逆に楽...続きを読むになりました。
そして、根本的には何も解決しない結末も山本文緒っぽい。

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Posted by ブクログ 2023年06月16日

可愛らしい表紙からは想像できないホラー。
毒親の話だと読み始めたが、途中何日か休み休み読んだ。

2人姉妹、姉のさとる、妹のみつる。姉妹の母がかなりの毒親で教師。さとると付き合っている鉄男。大嫌いな母から逃れられない。
最初から挟まれる誰かとカウンセラーとの話。誰と誰の話か後半わかるが、他にもとんで...続きを読むもない事実がたくさん。
母の自白により、さとるは自宅に灯油をまき火を付けようとする。その時のある人の言動から気がふれていた訳ではないのかも、演技かも、と感じた。演技でここまでするのはかなりの精神力が必要。
さとるの彼氏の鉄男、フラフラしてしっかりしてほしい。
でも鉄男の家族にも問題があったからか。
妹みつるが、鉄男に
「どこまでやったら親孝行で、何をしなかったら親不孝なんだろう」「もうお父さんもお母さんもお姉ちゃんのことも、可哀想だなんて思わない」
と伝えたところは、私も思う所あり。

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Posted by ブクログ 2023年02月22日


メランコリックな感情に浸っている時に出会った本です。
私は鉄男と同じ大学生で、恋愛のこと、性のこと、家族との関係などに悩んでいました。
描かれている感情が生々しくて、リアルで、普段見ないようにしている自分の醜いところに少し向き合えた気がします。
心の成長が追いつかないほど、体ばかり大人の女性になっ...続きを読むていく焦りから、自暴自棄になってしまうこともあったのですが、さとると一緒になって感じられた気がします。
心が少し救われました。

読書の経験が浅いこともあり、結末がよくわかりませんでした。
ハッピーエンドなのか、バッドエンドなのかもよくわかりません。
たまに出てくるカウンセラーと話したという人は、さとるのお父さんなのでしょうか。
でも、さとるが救急搬送される時に見た夜明けの景色から感じた希望は、本当のものだと感じて、私も希望を感じました。
生きる希望が持てそうです。
ありがとうございます。

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Posted by ブクログ 2023年01月18日

不思議な魅力を持つ女性・さとると付き合い出した鉄男。
あまりにも厳格な母親、奔放な妹、母親の顔色を伺いながら暮らすさとる。彼女の家庭環境のいびつさは、次第に鉄男の知るところになる。
皆イヤなやつで読後感がめちゃくちゃに悪い…なのに読めちゃう…

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Posted by ブクログ 2021年12月22日

暗くてジメジメしていて、気持ち悪いのに、なぜかグイグイ読めてしまう不思議な小説だった。
「さとる」の恋人、鉄男くんと一緒に、この女3人の毬谷家に惹き込まれ、振り回されてしまう。
後半は読んでいて胸が痛かったけど、最後は衝撃的だったけど少しスッキリしたというか、ほっとした。
時期は不明だけど、山本さん...続きを読むはうつ病を患っていらしたことがあるそうだから、こういう言い方は良くないけど「狂った人間」のリアルさがあって、それもまた胸が痛かった。
真冬、雪が降る極寒の中で読むと、さらにまたリアリティが増す。12月のこの時期に、よくあっていた。

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Posted by ブクログ 2021年04月11日

嫌な気分になる本。
でも読み進めて行くと止まらなくなる。
ある意味ホラーより怖いかも。
色んな人間関係あるけれど、なんだかんだと縁が切れない家族との人間関係が一番難しいのではと考えさせられた。
仕事が忙しい時や余裕がない時にはお勧めしにくい本です。山本文緒さんは、大人しそうだけど男性に依存したり掴み...続きを読む所がない女性像を描くのがとてもうまいですね。今回も唸りました。

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Posted by ブクログ 2019年12月13日

家事手伝いをする24歳のさとるの門限は10時。
それを頑なに守っている。
さとると付き合うようになったスーパーのアルバイト店員大学生の鉄男から見たさとるの家庭は、普通ではないように思えた。

多少の家族の秘密はどこにでもありそうですが、さとるの家庭の問題はとても深く重い。
さとるはその被害者なのかも...続きを読む
さとるの陰湿な雰囲気も、家庭環境にありと思います。
鉄男が救いになるのでしょうか。

物語の後の展開を想像しても、一筋縄では行かなそうな気がします。
みんなが今より少しでも幸せになれたらいいなと願ってやみません。

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Posted by ブクログ 2014年03月01日

どんなに憎くても 家族っていうのは縁を切るのは難しい。家を出ていけば、いちようは丸くおさまることなんだろうけど、、、ここまで家に執着してしまうのはやっぱり病んでる気がする。
病んでる女を書くのほんと・・うまいーーーーー・・・
途中まで展開がまったく読めないので、どんな秘密があるのかゾクゾクしまし...続きを読むた~~。盆に大量に読んだうちの1冊。

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Posted by ブクログ 2023年05月13日

家族という箱は本当に怖い。
さとるはふつう、みつるはすごい。
母という存在はなんでいつも狂ってしまうんだろう。
意識が中にむいているから?
家族を離すまい、という異常な執着?

意識は外に向いていた方がいいのかな。
外から見えない、というのがいけないんだろうか。
わからない。

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Posted by ブクログ 2023年04月03日

山本文緒さんの本はどれも文章がサラッとしていて読みやすい。この本はストーリーが少し重いけど、山本文緒さんの書く文章や会話のリズム良さで、ドラマを見るようにスーッと一気に読めてしまいました。
母親が、どうしてああなってしまったのか、もう少し掘り下げて書いてあれば良かったかな、、。

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Posted by ブクログ 2023年03月10日

一貫してダークで、劇場型な展開も多い反面、心理描写がすごくリアルで、頻繁にゾッとしながら読み進めました。

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Posted by ブクログ 2022年09月29日

歪んだ家族の形を描いた一冊。厳しすぎる母と娘の重く暗い話しではあるものの、不思議と嫌な感じはしなかった。どこかが少しずつ違っていたら、幸せな家族になったのではないかとも思う。

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Posted by ブクログ 2022年07月24日

厳しすぎる親子関係はどこかしらにリアリティを感じる部分があって下手なホラーより怖い。
最後の各登場人物の心情の対比がとても印象的。

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Posted by ブクログ 2022年03月19日

変わってるお母さん。
変な家族。
に巻き込まれる健全な大学生男子。

...だと思っていたら、そうでもなく。

健全で幸せな家族ってなんだろう。

どこの家族もみんなちょっとずつクセがあって、それがこの物語に散りばめられていて、共感するところがある。

さとると自分がちょっと似てるなーと思った。
...続きを読むはこんなに怖くないけど笑

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Posted by ブクログ 2022年02月09日

24歳家事手伝いのさとるは近くのスーパーの大学生の鉄男と付き合っている。
坂の上にあるさとるの家は母と妹と3人暮らしだが、教師の母親が厳しく様々なルールがある。
そんな女3人暮らしのどろどろを描いた作品。

やっぱり病的かつクレイジーなのに魅力的な女性を描かせると、山本文緒さん以上の作家はいないとい...続きを読むつも痛感させられる。

嫌な、どうしようもない女なのにどこか憎みきれない。
どこか女らしいねちねちした魅力が文字から香ってくるのだ。
やっぱり一気読み。

母として誰もが自分が正しいと思うことを子どもにして、精一杯の子育てをしている。
それを誰も責めることや、咎めることはできない。

正解も善悪もない。
だからこそおそろおそろしい世界。

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Posted by ブクログ 2021年07月29日

読み始めるとどんどんいやな気持ちが積み重なっていくのに、読むのを止められない。

恋愛の先に家族があり、家族ごとに多かれ少なかれ事情を抱えているものだけど、この家族は鉄男が生半可な気持ちで首をつっこんではいけないしさとると鉄男は目的がすれ違い続けていて幸せになれなさそう。

そのことに鉄男自身もはじ...続きを読むめから気が付いているはずなのに、情なのか何度も「自分はさとるが好き」と言い聞かせて自己暗示をかけて付き合いを保っているのが怖かった。

何度も驚く場面はあったが、いちばんはカウンセリングの謎が解けたとき。
途中でおでんの具材の話になったときに母親がタコの有無を確認して、入っていないことに薄い反応だったのはそういうことか、と納得した(この母親ならタコがスイッチになり怒り狂ってもおかしくないと思ったので)。こういう部分が山本文緒さんのお話の面白いところだなぁ…

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Posted by ブクログ 2021年01月09日

ゆがんだ家庭の事情を赤裸々に描いたお話。

長く一緒に暮らしている家族ならそこでのルールみたいなものは自然と出来てくる。
家族各々はその狭い世界のなかで生きなければならない。
抜け出したくても、なかなかできない。
家族間のルールに縛られると嫌なことなのかいいことなのか、その判別までもが難しくなる。
...続きを読む
娘二人の家庭に母親が女帝になり、彼女の独裁ぶりに父親を含め娘の恋人までが、翻弄されていく。

ここまではよくあると思うのだが、母親が娘の恋人を寝取るというのは、ちょっとわからない。
娘を含めた周囲の者達を独占したいのであれば、そんなことはしないのでは?

この母親が何を目指しているのかが、さっぱりわからない。





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Posted by ブクログ 2014年08月03日

歪んでるなあ。
私は幸せな家族に育てられてよかったと思ってしまった。
それくらいこの話は笑えない、というか、
現実にないとは言い切れない恐ろしさで寒くなった。
この断ち切れない歪みはどうしたら矯正されるのかな。
断ち切れないからやっぱり逃げるしかないんだろうなあ。
でも家族というある意味呪いのような...続きを読むものは消えないもんな。
親ってその気になれば子どもを洗脳させるなんて容易いよね。
こわ。こわいわ、まじで。うまいなあ。

『目の前で溺れている人間を、泳げる自分が何故見捨てることができるのだろうか。』
鉄男が救いになると信じたい。

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Posted by ブクログ 2014年05月28日

家族との関係の中で、自分の価値を見出せずに変わらない日々を過ごす24歳の女の子。母と子、女と男、周りと自分。様々な対比の中で存在する自分を見直す機会を与えてくれる本。気分が憂うつな時にはお勧めしないね。

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Posted by ブクログ 2014年02月19日

歪んだ母子関係は、欧米では結構昔から取り上げられてきたように思います。
しかも、『サイコ』や『キャリー』など、ホラーやサスペンスに絡められるほど、その恐ろしさや問題の根深さが捉えられている気がします。

私が気が付かなかっただけかもしれませんが、日本でこの手のテーマが書かれるようになったのは、欧米に...続きを読む比べると、割と最近になってからのように感じられます。

欧米では早くから、カウンセリングも普及し、家庭の問題を外に出そうという動きがあったからかもしれません。
一方、日本では未だに、DVやその他、家庭の中の問題は外に出さない、という考えが、当事者や周辺の人にも残っているようです。

アダルトチルドレンは連鎖していくけれど、主人公のさとると、その妹のみつるは、少しでも克服出来るかも・・・と、少し希望の持てる終わり方でした。

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