両親からの仕送りを頼りに東京の大学に通う主人公・時枝 修。が、ある時、両親が事業に失敗し行方不明に。仕送りも無くなり大学は除籍。住んでいたマンションも強制退去となり日雇いの危ないバイトを転々としながらネットカフェ中心の生活に陥っていきます。
自分に弱く、そして優しすぎるがゆえに底なし沼にはまっていく姿はとてもはがゆい。しかし同時に必死に生き抜こうとする姿を応援したくなります。
ちょっとしたボタンの掛け違いで坂道を転がり落ちるように落ちていく。フィクションなのにまるでノンフィクションかと錯覚してしまうマンガ『闇金ウシジマくん』を彷彿とさせるリアルなストーリー。現在の日本社会のひずみを鋭く描き切った傑作です。
感情タグBEST3
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主人公は普通の大学生。突如親の支援が途絶えそこから一気に普通からかけ離れていく。
読んでいて止まらなくなりました。
自分も学生の時こんな風に親の支援が止まって行方がわからなくなっていたらどうなるだろう?
こんなにならず普通に今があるが妙にハラハラしながら読みました。
下巻へ
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主人公には苛立ちを覚えるかもしれない。
いや、覚えるだろう。
しかし、どんどん沼底へと沈んでいく主人公が、そんな沼に順応していくのが面白い。
さまざまな方法で生活費を稼ごうとするが、その過程が面白い。
側から見ている第三者だからだろう。
でも、自分も修のようにならないとも言い切れないのだから恐ろしい。
この本で知ったことが、いつか役に立つ。そんなことにならないことを望む。
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主人公のクズぶりにざまあみろという気持ちがわきながら読んでいたが途中から流石に哀れになってきつつも展開が気になり一気に読破
とはいえ自分が主人公の状態に落ちたらあの様な行動は取らないとは言えるが今の世を生きていく術を持っていないことを感じさせられた。読んでいて親に感謝しつつ自分に何が出来るか考えさせられた。
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最初はイライラ。
ああバカ、そんなに簡単にお金を使っちゃうんじゃないよ、まったくもうなんて、修の能天気さに呆れてましたが、ふと「自分が同じ立場になったら、こうならないという自信があるだろうか」と考えたら、怖くなってきました。
ずっとインスタントラーメンで、やっとお金が入ったら、ちょっと生姜焼き弁当でも食べたくなるのが本音なんじゃないだろうか…。
どんどん修が堕ちて行くのが怖かった。
まあ、警察官のくだりは、「ええ〜、こんなことになるう〜?」なんて思っちゃったけど。
ただ、「それでもぼくはやってない」とか「殺人犯はそこにいる」を見たり読んだりすると、警察は決して「正義の味方」じゃない、とも思ってしまうわけで……。
下巻はどうなるのかな。
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主人公の投げやりな選択で、人生の坂を転げ落ちて行くのに、「なんとかせいよ。自業自得やん」いらっとくる内容です。一方で、一度最下層に近づくと這い上がることの困難さを教えてくれます。
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主人公である時枝 修は社会や言葉をあまりにも知らないため、次々と都会の恐怖に陥れられる。
学費未納で大学は除籍となり、住んでいたマンションも家賃滞納で追い出され、あっという間にネットカフェ暮らしになり、日雇いの身に。
すべては修が社会についてあまりにも知らないことが原因となっている。
例えば、不動産の契約書を読んでいなかったり、クレジットカードについて詳しくないのに利用したり・・・。
作品を通して伝わってくるのは「知らないのが悪い」という社会の考え方。
無知であることは身を滅ぼすのだ。
人は三つのセーフティネット「国家・企業・家庭」に守られて生活している。
主人公のように、すべてのセーフティネットが失われた時、人はどう動くべきなのか・・・。
はじめは「こんなに社会を知らない若者がいるのか・・・??」と突っ込みたくなったが、読んでいくうちに、「そういえば自分も社会を知らない若者だ・・・」と思わされる。
そして、「いつ修のようになってもおかしくなかった」と思わされる。
地方から一度でも東京に出たことがある人にならわかる身近な恐怖。
そして、ますます格差社会を生もうとしている現代には非常にタイムリーな話である。
私のように社会を知らない、今時の若者に読んで欲しい。
無知であることは身を滅ぼすということを知る必要性が・・・この話から伝わってきます。
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大学生だった主人公が親の金銭的な都合から仕送りを得られず、大学を除籍、住む所まで奪われていく様にはリアリティを感じて背筋が寒くなった。
派遣切りで仕事と同時に住む所も奪われて行き着いた先はホームレスって話しがあるけども、それも今回の話しも簡単に起こり得る事で不憫な主人公を応援したくなった。
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おそろしいを通り越して、具合が悪くなりそうなくらい。でも読む勢いは止まらない…。
元々、ホラー小説をたくさん書かれている方だと知って、リアルに恐怖をあおる感じがまさにそうだと思った。衣食住がままならなくなっていく様子から、こちらまで心の余裕が無くなってくるような感じ。
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『東京難民(上)』
福澤徹三 著
東京郊外にある私立大学生の主人公。
ある日、突如、大学から除籍されたことを知らされる。親が学費を支払わず滞納していたと。
両親に真意を聞こうとするが、連絡が取れず行方不明。九州の実家に帰省してみるも、家の中はもぬけの殻。
手持ちの金もなく、自身の家賃も滞納。また、ゼロゼロ物件の為、賃貸借契約ではないので、追い出される羽目に。
そこから、ネカフェ難民生活へ。
バイトを転々とするが続かず、ようやく治験バイトで20万の金を手にするが...途中、警察に捕まり留置所へ。
くさくさした気分から飲んでいると、ある女と一緒に飲むことに。一軒、二軒、三軒と。
そして、ホストクラブへ。シャンパンで酔い潰れ、目を覚ますと、女はおらず請求書だけが残される。
そこから、寮付きということで、ホストクラブで働き始めることに。下巻へ。
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落ちていってしまう流れに、どこまで行くのか
気になった。
が、読み進めると、彼の考えが甘くて
嫌になっていた。
まさか自分がなるとは
思わないことだけれども・・・。
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上巻。修の不運には同情するけれど、先々の局面でなんや屁理屈ばかりゴネていて、同情してもしきれない部分が正直あった。
確かに状況は厳しい。だからこそ修には頑張ってほしいのだが。今後の展開が気になる。下巻へ続く。
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ごく普通の大学生の男の子が転がるように転落していく。。何でそうなの?と言いたくなるような選択と態度にイライラしながらも、自分の嫌な一面を重ね見たり…
これからどうなるのか下巻も気になる!
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描写はリアルなのに、主人公のまっすぐさとお人よしっぷりがファンタジーの域。闇堕か、精神崩壊してもおかしくないのに。
茜さん可愛いと思ってたら、いきなり豹変したのには何か笑いました。
Posted by ブクログ
東京郊外にある私立大学の三年生の時枝修は、クラス担任から夏休み明けにクラス担任から、学費未納で除籍になるという寝耳に水の事実を告げられた。北九州の実家では、学費を収め仕送りをしていた両親が借金を抱え失踪行方がわからなくなる。アルバイトを転々とする中、家賃滞納で住居も追い出されてしまう。追いつめられる修。二人の親友と恋人に借金を重ねるが、繁華街でひょんなことから警官に怪しまれ職疑うけ、連行される。それはまだ、底なしの貧困と孤独への入口に過ぎなかった。若者の転落人生を追いかけていく、自業自得がぴったり。
心理的な描写
様々な職業を体験するというのはおもしろい設定であるが、感情の描写がやや稚拙。もっと登場人物の心情的な描写から現在の東京という街を表現したらよかったと思う。