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Posted by ブクログ
四女の妙子の出番が多い巻でした。
妙子は奥畑という「船場の坊」と駆け落ちしようとしたことがありますが、今度は阪神間に記録的な水害が起こり、川の氾濫で今にも溺れ死にそうなところに駆けつけてくれた、板倉という丁稚上がりの写真家と恋仲になります。
そして妙子は今までやっていた人形作りをやめて、洋裁の道に進み、洋行してあちらで手に職をつけたいと望むようになります。
幸子らは反対して、欧州の動乱により洋行は中止になります。
そして、板倉は耳の病気が元で細菌が体に回り、片脚を切断され、しばらくして亡くなってしまいます。
神戸の鮨屋の「与兵」に幸子、夫の貞之助、雪子、妙子で食事にいく場面の新鮮なお鮨のネタの描写がなんともいえず美味しそうでした。
コロナが収束したら、久しぶりに回る方のお鮨でもいいから食べに行きたいと思いました。
この小説は、こういった上流中流階級の家族のやることの描写を楽しむ小説でもあるのだなと思いました。
今まで読んだ小説の中でも文章の美しさが大変際立っていると思いました。
下巻に続く。
Posted by ブクログ
人の死に直面しても、社会的体裁を気にしてしまうこと。これもまた当時の文化なのかと。家柄、前年踏襲の傾向など、今の日本で『それってどうなの?』といった考え方が普通であった時代を今一度見つめ直すいい作品だと感じた。今が良くて、昔が悪いのではなく、昔を知った上で、今をどうするべきかを考える良いきっかけになった。
Posted by ブクログ
中巻は妙子の恋愛事情を中心に、舞の会、阪神の大水害と写真師板倉の救出劇、隣に住むドイツ人シュトルツ一家の帰国、東京での台風、奥畑と板倉の確執、板倉の手術と死など。
上流社会は世間体を非常に気にして少しでも悪い噂が立つのを恐れること、何事も本家、夫、両親の了解を得ないと事が進まないことなどがうかがえる。
つらつらと人物の心情や事情が綴られるので、国語の授業的な解釈の必要がない。
Posted by ブクログ
まさか板倉さんが、、続きはどうなるんでしょう!?
中巻で印象に残った場面は、出水時の板倉と奥畑の対応を比較して「人間の真価はああいう際に本当によくわかるものである」となった場面で、まさにその通りだと思った。非常時の対応は、その人の普段の行いや心持ちが如実に現れる場面である。誠実な人間は、普段からそのような行いを自然と行なっているもので、自身の行動の戒めにもなる一説であった。
Posted by ブクログ
(旺文社文庫特製版)
上巻のゆったりとした日常感から一転して、ドキハラ展開が続きました。妙子とその周辺が中心で、近代的で時代の先を行こうとする妙子と旧態依然とした姉たちの対比から、当時の価値観が知れて面白かった。妙子みたいな人はこういう旧家に生まれたら窮屈なやろなー。
上巻で空気やった鶴子も結構出てきたよ。
妙子が奥畑のことを言った、「浪費家であるとか、浮気者であるとか、甲斐性なしであるとか、いう程度のことだけなら、何も縁であるから辛抱しようという考えがないでもなかったが、未来の妻のためにズボンを汚すことさえも厭う軽薄さを見ては、すっかり望みを失ったのであった。」
は名言(?)やと思うよ。よく分かるよ。ただ、何であなたたち姉妹はみんな「浮気者」は許容範囲やと言えるのか理解できん。そんくらい懐の深い女性がいいという、谷崎の趣味か?こいつ(奥畑)余所で子ども作っとるんぞ。わたしには無理やわ。それ以外は全面的に同意。笑
あと貞之助が好きです。洪水のときにあんなに体張って動いてくれて、旧家のお婿さんなのに進歩的な考え方をしていて、有能やけどめんどくさい関わりたくないと思ったらそそくさと逃げる
中巻の陰の主役はお春どんやと思っている。上巻であんだけ株が下がっていたのに、洪水で汚名返上して、おおこのこすごい!有能!と思わせといてなんというズボラ女子。