【感想・ネタバレ】細雪(中)のレビュー

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上・中・下、三巻本の中巻。
戦争の影の忍び寄る中、四季折々の暮らしを営む姉妹。
大水害に遭うといった苦難もありながら、彼女たちの日々は続いてゆく。

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2022年11月03日

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この本は本当に、登場人物たちが発する上品で小気味良い関西弁の台詞が楽しい
当時の上流階級が贔屓にしていただろう実在の名店が色々登場するのも楽しい
谷崎が描写する食べ物の、なんて美しくて美味しそうなことか、、

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2022年02月07日

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ネタバレ

四女の妙子の出番が多い巻でした。

妙子は奥畑という「船場の坊」と駆け落ちしようとしたことがありますが、今度は阪神間に記録的な水害が起こり、川の氾濫で今にも溺れ死にそうなところに駆けつけてくれた、板倉という丁稚上がりの写真家と恋仲になります。
そして妙子は今までやっていた人形作りをやめて、洋裁の道に進み、洋行してあちらで手に職をつけたいと望むようになります。

幸子らは反対して、欧州の動乱により洋行は中止になります。
そして、板倉は耳の病気が元で細菌が体に回り、片脚を切断され、しばらくして亡くなってしまいます。

神戸の鮨屋の「与兵」に幸子、夫の貞之助、雪子、妙子で食事にいく場面の新鮮なお鮨のネタの描写がなんともいえず美味しそうでした。

コロナが収束したら、久しぶりに回る方のお鮨でもいいから食べに行きたいと思いました。
この小説は、こういった上流中流階級の家族のやることの描写を楽しむ小説でもあるのだなと思いました。

今まで読んだ小説の中でも文章の美しさが大変際立っていると思いました。

下巻に続く。

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2021年02月25日

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上巻では旧家の姉妹たちのはんなりとした暮らしぶりが淡々と語られるに終始していたが、中巻になると雪子の縁談の難航や、幸子の身に悲しい出来事が起きたり、妙子が水害に見舞われるなどが語られ、ゆるゆる続くかと思われた物語に起伏が生じる。
これらが蒔岡家の行末の暗さを象徴するように感じられ、上巻から続く季節や姉妹の美しい描写に切なさが帯びてくる。

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2020年08月09日

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鶴子一家は東京へ栄転する、台風大水の被害で建物は被害を受ける、おさく師匠は亡くなる、隣人家族は独逸へ帰る、四季折々と仲の良い姉妹はそのままに、時勢と併せて彼女たちを取り巻く状況は変化していく。
結局、雪子と妙子のお嫁騒動の話題しか書かれてないのだけれど。展開も面白いし、日本の文化情緒と時代性を捉えつつ言葉遣いも巧みで流れるように読める名文。

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2019年07月06日

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細雪を読んでいる間中、ずっと不思議だったのですが、どうして、延々とひとつの家庭の毎日を眺めるだけなのがこんなに面白いのでしょうか。さすが文豪。

上巻のときに、もしや…と思っていたことが本当になりました。4人姉妹(といっても長女はほとんど出てきませんが)の中だったら妙子が結構好きだなーと思ってたのですが、前言撤回です。身内にさえ秘密主義というか、腹黒いというか、どこか信用のおけない感じが苦手です。

逆に、上巻ではなにを考えているのか全然だった雪子が、中巻だと少しだけその心理を吐露してくれて、意外と男前だなという印象に。

妙子は、自称サバサバ系というか、内心がすごくドロドロしているのが苦手なのかもしれません。

そのせいか、上巻よりも雪子のお見合い話に引き込まれ、愛知の田舎でのお見合いは、読んでいて辛かったです。

しかし、小さなアップダウンはあるものの、取り立てて大きなドラマが起こるわけでもないのにこんなに面白いなんて。さすが文豪、さすが谷崎。と何度も唸りました。

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2018年09月30日

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中巻。昭和13年7月3~5日の阪神大水害にはじまる。細かな描写。「海のよう」だったらしい。読むだけで怖い。
その大水害で妙子を助けた板倉と妙子の恋愛の結末。
相変わらずの安定した物語力。
谷崎の描く「蒔岡家」という一家を見つめ続けることで、「家」というものがどのようなものなのか、感じられるような気がする。

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2018年07月01日

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 中巻では、隣に住んでいたドイツ人が帰国するなど、戦争の跫音が次第に大きくなってくる。もっとも、蒔岡家は世間に比べればその影響は決して大きくないように見え、それでいて後に崩壊することが予期されるような不思議な穏やかさを纏った生活が描かれている。季節ごとの風流な行事も鮮やかで、起きている事件の哀しさや激しさと不思議な共存を成し遂げている。

 そんな中でも一番の事件は四女妙子と写真家板倉の悲恋だろう。板倉は家柄が悪いために、三女幸子は二人の交際を快くは思うことができない。『ロミオとジュリエット』のように(・・・といっても未だに読んだことがないのだけれど)、読者は「身分違いの恋」=応援したくなる存在、と考えがちではないだろうか。

 しかし、この小説では幸子視点(彼女の一人称ではない)で語られることも相まって、二人の恋は妙子たちの浅はかな行動として映りやすい。身分の違いは小説内で「人種」という強い言葉で形容されることもある。人種と聞くと、やはり想起するのはアパルトヘイトのような「非道極まる差別行為」だろうか。現に、軽薄で甲斐性なしの幼馴染奥畑ですら、人種が同じだけマシだとまで描かれているのだ。板倉が死にそうなシーンなど、幸子が「板倉には悪いけど、死んだら面倒ごともなくなって助かっちゃうな・・・」という趣旨の独白をしている。

 では、この小説は人種差別を糾弾するような社会派オーラを纏っているのかといえばそんなことはない。悲劇の恋は終わるとともにあっさりと他の場面に移ってしまうし、この時代はこういう価値観だったんだよ、という程度の雰囲気しかない(ゴーディマ『ジャンプ』で描かれるアパルトヘイトだって、単純には描かれない)。

 みんなで桜を見たことも、蛍狩りを楽しんだことも、お見合いがうまくいかなかったことも、大水害が起きたことも、愛する人が死んでしまったことも、そして忍び寄る戦禍の影でさえも、この物語では平等に過ぎ去ってゆく。

 それは、今季を逃し周りが憂慮しているのをどこ吹く風で「ふん」としている雪子のような視点かもしれないし、人の栄枯盛衰をただじっと見守る老樹の視点かもしれない。時代に取り残される人、時代の先を突っ走る人、その狭間に立つ人、何も気にしない人。人によってその人が感じる時の流れは様々であり、その流れに身を任せるのも逆らうのもその人次第。そうした、様々な時の流れが共存することが、この小説が美しい所以なのかもしれないな。

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2018年01月27日

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上巻より濃密な中巻です。この巻のお気に入りシーンは、酢豆腐というギャグを言ったにも関わらず姉妹たちに全く通じずにスルーされた貞之助です。貞之助兄さん好きなキャラです。冷静で頭の回転も早く、何より妻の幸子のことをとっても大切にしてる感じ。幸子はほんと良い旦那さん捕まえましたね。
今回はあまり雪子に目立った動きがないかわりに、怒涛の展開だったのが妙子。この時代に妙子ような性格の女性は窮屈だっただろうなぁと思いました。妙子の言い分は現実的で理にかなってるし、板倉も蒔岡家の皆様が反対するほど悪い男でもない気がします。妙子が事件ばっかり起こすのは、雪子が片付かないのに妙子は結婚しちゃだめ!っていう古い蒔岡の考え方のせいでもあると思いますし。妙子四姉妹の中で一人だけ毛色が違うので一番魅力的にみえます。そりゃモテるだろうなという感じです。
しかし水害のシーンは迫力ありましたね。実際に水浸しになった町を見ている気分でした。

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2016年03月06日

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戦争の足音が忍び寄り、時代の流れには抗えない様相になる中でも、日本の文化的行事や生活様式を変わらぬ価値観で貫いて生きる四姉妹とその家族。我々が生きる現代の日本を思うと、歴史的に見ればほんの数年の第二次世界大戦を経て日本の文化や価値観が劇的に変わったのだと実感する。敗戦とはこう言う事なのかと。。
結婚一つ決めるのも本家の許可が必要とか、戦後仕事も結婚も自由に選べる今を思えば生きづらい世の中だったとも思いますが、引き換えにならない程の今はなき良き日本もたくさんある。
神戸の大水害が実際にあった事とは初めて知りましたが、家のしきたりに逆らい奔放に生きる四女妙子がこの大水害にも巻き込まれて九死に一生を得るなど益々波瀾万丈な人生となる一方、相変わらず結婚が決まらず前に進まない三女雪子の人生がより対照的となってくる様から目が離せない。

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2023年04月30日

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ネタバレ

人の死に直面しても、社会的体裁を気にしてしまうこと。これもまた当時の文化なのかと。家柄、前年踏襲の傾向など、今の日本で『それってどうなの?』といった考え方が普通であった時代を今一度見つめ直すいい作品だと感じた。今が良くて、昔が悪いのではなく、昔を知った上で、今をどうするべきかを考える良いきっかけになった。

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2022年11月05日

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上巻がまったりとした雰囲気なので、このまま続くのかと思いきや、事件勃発しすぎでした。 大洪水に縁談、隔離、手術と目まぐるしい。 幸子・妙子・本家とのやりとりで、人の描き方がまあうまいこと。 幸子の、腹は立つけど義理を通さないといけない等、心と頭の乖離がよく分かるし、情に熱いのかと思ったら、身分違いだ、とばっさり切り捨てたり、そこら辺の匙加減が絶妙。 下巻はどういう結末になるのか楽しみ

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2022年12月01日

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久しぶりに手に取り、一気に引き込まれた。戦前の芦屋の有産階級の日常が、芦屋の言葉で語られるさまがとても魅力的。

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2022年09月08日

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ネタバレ

中巻は妙子の恋愛事情を中心に、舞の会、阪神の大水害と写真師板倉の救出劇、隣に住むドイツ人シュトルツ一家の帰国、東京での台風、奥畑と板倉の確執、板倉の手術と死など。

上流社会は世間体を非常に気にして少しでも悪い噂が立つのを恐れること、何事も本家、夫、両親の了解を得ないと事が進まないことなどがうかがえる。

つらつらと人物の心情や事情が綴られるので、国語の授業的な解釈の必要がない。

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2022年09月03日

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細雪の谷崎潤一郎の描写はどれも読者が情景をイメージできるように書かれていて素晴らしいと思っていたが、洪水のシーンはそれが顕著で特に驚いた。
自分は洪水の中を歩いたことがないのでイメージすることしかできないけれど、貞乃助が「どす黒く濁った、土用波が寄せる時の泥海」をかき分け進む様子がありありと想像できた。

最後の方の板倉さんに関するバタバタは衝撃的だった。こいさんどんな人と結婚するのか、下巻が楽しみ。

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2022年06月15日

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谷崎潤一郎の代表作『細雪』の中巻。
上巻に引き続き執筆されましたが、私家版として刊行された上巻と違い、完成後長らく日の目は見られない状態でした。
中巻は戦後ようやく中央公論社から刊行されます。

内容は上巻の続きで、大阪の旧家の四姉妹の日々が綴られるものとなっています。
自分の人生のため、洋行の希望や、手に職をつけるための活動を始める妙子と、それを快く思わない恋人の奥畑。
そんな折に発生する大水害でヒーローのように現れて妙子を救った板倉に苛立ちが募る奥畑と妙子の恋愛事件や、お隣に住んでいた仲の良かったドイツ人一家の引っ越し、恩師の逝去、そして板倉の病気と、次から次へと発生するトラブルだらけの日々がドタバタと書かれます。

上巻同様、娯楽小説として面白い小説でした。
日本文学史上にこの作品ありと言われる作品ですが堅苦しさはなく、上中下巻の長編ですが非常に読みやすいので長さを感じさせずに読めます。
戦時中に書き始められるも国策により掲載禁止になり、戦後ようやくGHQの検閲の元で刊行を行い、昭和天皇にも献本され、今日、世界中で翻訳され読まれるという大変な作品ではあるのですが、中巻に於いては特に崇高なテーマ性なども感じられず、個人的にはただ面白い作品と思いました。
特に中巻は、要所要所にスペクタクルを感じるシーンが挟まり、エンタメ性を感じました。
下巻は衝撃展開が待っているので、中巻は4人の日々を紹介しているシーンなのかもと思います。

ただ、中巻ラストは少し驚きました。
実年齢以下に見られることが多く、奔放なようでしっかり者の妙子は、個人的に4姉妹の中で一番お気に入りなのですが、一方で奥畑があまり好きくないです。
家柄よりも出会った相手やときめきを優先して幸せになってほしいなと思っていたのですが、そんな終わり方になるなんて。
下巻もあまり良い展開にならないことを知っているので、この先は少し読むのが怖い気がします。

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2021年10月17日

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 大阪の名門、蒔岡家の四女(こいさん)妙子は活動的。28 歳で人形作家として一角の人物になっているだけでなく、日本舞踊にも熱心、さらに洋裁を習い、将来は洋裁で身を立てたいと密かに思っている。 
 自称妙子の許嫁である、同じく大阪のお坊ちゃん、奥畑啓三郎は(蒔岡家から正式に許嫁と認められていないが)、妙子が洋裁なんかで身を立て、職業婦人となることを辞めさせてくれと、仲あんちゃん(次女)幸子に掛け合う。
 幸子が妙子に聞いてみると、啓三郎は、ぼんぼん育ちで、財産をすぐ使い果たしてしまうことは分かっているので、自分が家計を支えたい。そのためにフランスへ行って洋裁の勉強をしたいという。戦前に、妙子はなんてしっかりしているのだろう。四姉妹の中でも両親が二人とも早く亡くなってしまった末っこの妙子は姉たちと考え方が異なる。
 それに引き換え、何も出来ないボンボン啓三郎や本家の旦那の「職業婦人」を軽蔑した態度にはイラッとくる。まあでも、この時代勿論保育制度なんて整っていないし、上流階級でなくても、「主婦」か「職業婦人」かの二択だったのだろうな。
 妙子だけではなく、主婦の幸子も魅力的だ。考え方は妙子と異なり古風だが、一人娘を育てている他、二人の妹のことも母親替わりに面倒を見て、いつも二人の意見を尊重しながら、本家との橋渡しをしている。
 だけど、妙子は旧家蒔岡家の中では進歩的すぎる。頼りない浮気症のボンボン啓三郎よりも、啓三郎の店の元丁稚奉公で、写真家の板倉と結婚したいともらす。板倉は洪水の時、命を掛けて妙子を救ってくれたし、一人渡米し、写真を勉強して「板倉写真館」を経営し、身を立てている。それに板倉なら妙子の生き方を理解してくれる。
 板倉は少し馴れ馴れしいが男として魅力的だという妙子の気持ちに共感出来る。しかし、家庭環境が全く異なる育ち方をした人が義理の弟になるのは嫌だという、幸子や雪子の気持ちも分かる。妙子は熱意のまま突っ走る所があるのだ。
 
 でも、まさか板倉とあんな終わり方をするとは…。板倉は運がなく、本当にいい人だったと思う。それに引き換え、蒔岡家の人々の冷たいこと。
 妙子はどうするのだろう。私なら板倉のことが本当に好きだったのなら、三年くらいは立ち直れないと思うけど。

下巻に続く
 

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2021年05月15日

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上巻は雪子の縁談が軸であったものの、二度の頓挫の後は新たな話も出て来ず。
その代わりに本巻では姉妹の内で最年少の妙子の恋愛が主題になる。
結婚において家同士の格式を重んじる槙岡家だけれど、妙子は当人同士の意思が第一と考え、女性もこれからは手に職を持つべきと、進歩的な存在として描かれる。
その彼女が家同士が同格の許嫁であった奥畑の遊蕩ぶりに愛想を尽かし、水害の折助けに来てくれた奥畑家の丁稚であった板倉との関係を深めていく。
緩やかな物語が劇的・悲劇的な展開に。
けれどその格の違う恋愛が、実は雪子を縁遠くしていたという。

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2021年01月06日

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ネタバレ

まさか板倉さんが、、続きはどうなるんでしょう!?
中巻で印象に残った場面は、出水時の板倉と奥畑の対応を比較して「人間の真価はああいう際に本当によくわかるものである」となった場面で、まさにその通りだと思った。非常時の対応は、その人の普段の行いや心持ちが如実に現れる場面である。誠実な人間は、普段からそのような行いを自然と行なっているもので、自身の行動の戒めにもなる一説であった。

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2020年06月07日

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上巻は雪子の縁談が中心で、差し当たり大きな事件はなかったけれど、本巻では妙子の恋愛を中心に物語が展開される。昭和13年の阪神の豪雨の様子なども、こと細かく記されている。この豪雨が妙子に大きな変化をもたらすのだが、読んでいてとても臨場感があった。

その他に隣家のドイツ人一家や妙子の弟子のロシア人の家族との交流なども描かれている。妙子は見るからに活動的だが、おとなしい雪子のしたたかさが垣間見られた。

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2018年11月21日

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中途半端な終わり方やと思ったが、三部に分けたのは筆者の知るところではないハズなので仕方ないか。
「上→中→下と、どんどん引き込まれる。」とは言えないダラダラ感。
さて、「下巻」に感動をもらえるのでしょうか・・・?

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2016年10月11日

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四姉妹の物語であると、それぞれの女性の性格の違いによって読者が肩入れしたり気に入らないと思ったりしながら読むことは必定だろう。

長女鶴子は関西の本宅から東京へ転居することもあり、物語で取り上げられることは少な目となる。堅実で控えめといった印象の鶴子が、わたしは個人的には嫌いでないので残念ではある。

次女幸子は物語の中心であり、性格としても姉の鶴子への気遣いと共に妹たちへの目配りといったことが細やかに行える幸子が一般には好まれるだろう。

三女雪子の縁談がまとまるかどうかが、雪子自身にとっても姉たちにとっても気がかりであるのに、煮え切らないというかグズグズはっきりしない雪子は読んでいてももどかしい。

四女妙子は末っ子とはこういうものといった奔放さ。やりたいことを好きにやって自分が一番という身勝手ともいえる様は、同じ末っ子であってもこんな自由気儘に生きたことがないわたしには羨ましいやら呆れるやら。

この作品が映画化されるのもよくわかる。
美しい四姉妹というだけで十分華やかなところへ、昔ほどの繁栄はなくとも経済的に豊かな日常は、まさに絵巻物といった風で、映像として見せたら映えること間違いなしだ。
原作を読むまでは映画は観ないと決めていたが、この美しい物語を映像で観てみたくなってきた。

雪子と妙子がどうなるのか気になる下巻へ。

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2016年06月30日

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上巻の静けさが嘘のようだった。
中巻はやや分厚くなり、話の中心は四姉妹の末娘妙子、こいさん、当時における現代っ子である。
タブーであった身分差の恋愛がテーマであり、こいさんの相手である写真家板倉について使われる言葉がすごい。
家柄、財産、教養が強健、腕に職、情熱とおもいきり対比較される。

東京へ移った長女一家への行き来も多々あり、当時の東京が描写される。目に浮かぶその風景は今とあまりかわらないようでおもしろい。

次女幸子の一人娘悦子とお隣さんドイツ一家の子供達のエピソードがかわいらしい。
そして遊ぶ子供達の言葉遣いの綺麗さに驚く。

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2016年03月14日

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上巻からさらに4姉妹の立像が明確になっていく。4姉妹の中で現代的な妙子の話が中巻の筋。大正、昭和初期の上流階級の中で異端といえる行動、発言をする妙子。いつの時代でも、四人も兄弟がいると一番下は強くなるのだなと、自分が4兄弟の中で育ったので、一番下の妹を思い出しながら読み進めた。この話し、どうやって終わるんだろう。雪子が結婚する以外にはエンディングが思い付かないがどうなんだろう。下巻が凄く楽しみ。そして下巻が終わればこの美しい世界が終わると思うと今から残念な気分になっている。

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2016年02月24日

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あらすじ
1936年(昭和11年)秋から1941年(昭和16年)
春までの大阪の旧家を舞台に、4姉妹の日常生活の悲喜こもごもを綴った作品。阪神間モダニズム時代の阪神間の生活文化を描いた作品としても知られ、全編の会話が船場言葉で書かれている。上流の大阪人の生活を描き絢爛でありながら、それゆえに第二次世界大戦前の崩壊寸前の滅びの美を内包し、挽歌的な切なさをも醸し出している。作品の主な舞台は職住分離が進んだため住居のある阪神間(職場は船場)であるが、大阪(船場)文化の崩壊過程を描いている。
感想
没落商家の四姉妹、ある人からフランス語で発行された本をよんで描写が良かったと言われ日本語版を読んでみた。時代背景が違いすぎるが今も昔も
姉妹は変わらないかなって思う。

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2021年12月09日

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姉妹の中で末の妙子は、他の旧式な考えと違い進歩的である。そこが家庭に様々な気苦労や事件を巻き起こすことになる。結婚に対する家の考え方、気遣いを特に家族に対して行動するのが常識とされた昭和初期。医師のステータスも随分異なる。2020.9.5

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2020年09月05日

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雪子と対照的に末娘の妙子は自由奔放な性格で、男との恋愛事件が絶えず、それを処理するためにも幸子夫婦は飛びまわらざるをえない。そんな中で一家は大水害にみまわれ、姉の鶴子一家は東京に転任になる。時代はシナでの戦争が日ましに拡大していき、生活はしだいに窮屈になっていくが、そうした世間の喧噪をよそに、姉妹たちは花見、螢狩り、月見などの伝統的行事を楽しんでいる。

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2019年06月27日

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中巻、ページ数が増える。
大半は大水でのお話が大半。丁稚奉公を前にしていた板倉が妙子を助けることから急展開になる。しかし、終盤に病に陥ることになる。下巻へ続く。

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2016年09月30日

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ネタバレ

(旺文社文庫特製版)
上巻のゆったりとした日常感から一転して、ドキハラ展開が続きました。妙子とその周辺が中心で、近代的で時代の先を行こうとする妙子と旧態依然とした姉たちの対比から、当時の価値観が知れて面白かった。妙子みたいな人はこういう旧家に生まれたら窮屈なやろなー。
上巻で空気やった鶴子も結構出てきたよ。

妙子が奥畑のことを言った、「浪費家であるとか、浮気者であるとか、甲斐性なしであるとか、いう程度のことだけなら、何も縁であるから辛抱しようという考えがないでもなかったが、未来の妻のためにズボンを汚すことさえも厭う軽薄さを見ては、すっかり望みを失ったのであった。」
は名言(?)やと思うよ。よく分かるよ。ただ、何であなたたち姉妹はみんな「浮気者」は許容範囲やと言えるのか理解できん。そんくらい懐の深い女性がいいという、谷崎の趣味か?こいつ(奥畑)余所で子ども作っとるんぞ。わたしには無理やわ。それ以外は全面的に同意。笑
あと貞之助が好きです。洪水のときにあんなに体張って動いてくれて、旧家のお婿さんなのに進歩的な考え方をしていて、有能やけどめんどくさい関わりたくないと思ったらそそくさと逃げる

中巻の陰の主役はお春どんやと思っている。上巻であんだけ株が下がっていたのに、洪水で汚名返上して、おおこのこすごい!有能!と思わせといてなんというズボラ女子。

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2016年06月21日

Posted by ブクログ

愛しき関西。

大水害と、東京の嵐と、四女・妙子の恋愛事件のすったもんだの顛末。生まれ育ちというのは、そんなに尊いものかと思いますが、でもやっぱり最終的に気が合う・気が合わないの、理屈では通らない部分があるのかもしれない。けれど、姉妹として同じ家に生まれても、理解し合えない部分があるのも本当のことで。幸子の苦労がしのばれます。むしろ、貞之助の方だろうか。雪子、結婚できるの?

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2016年06月12日

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