【感想・ネタバレ】ドン・キホーテ 後篇三のレビュー

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Posted by ブクログ 2023年02月02日

訳者による解説は必読。この物語の卓越性が余すところなく触れられている。
物語という形式の万能さを本作品は示している。

最後の終わり方も見事。物語が物語で終止符を打つなんて華麗すぎる。

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Posted by ブクログ 2022年11月28日

狂気が薄れていく主人公と、
狂気を帯びていく登場人物たち。

読む前は長すぎると思ってたけど、
読み終えると全部必要な物語だったと思える。
折に触れて読み返したい。


p305
人を愚弄する者たちも愚弄される者たちと同じく狂気にとらわれていると思う

p407
「ああ、旦那様!」と、サンチョが泣き...続きを読むながら叫んだ。「どうか死なねぇでくださいよ。それより、おいらのいうことを聞いて長生きしておくんなさい。

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Posted by ブクログ 2022年08月11日

ラストになると、もう読者は間違いなくドン・キホーテとサンチョのことが好きになっているはずです。彼は確かに狂気を抱いていますが、誠実で、利他的で、知的で、ユーモラスで、魅力に溢れています。そのキャラの魅力と、メタ視点の構造が合間って、とんでもない傑作です。タイトルを知っているだけで人生終わらなくて本当...続きを読むに良かったです。

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Posted by ブクログ 2021年11月07日

狂っているように見えても、人間にとって大事なのはそこじゃない。ドン・キホーテが持っていた誠実さと真剣さと優しい心、それ故にみんな彼が大好きなのです。なんと愛おしきおじさんでしょうか。
サンチョと司祭さんや学士さんたちと一緒に羊を追いかけている様子は想像しただけで幸せでいっぱいになります。
…見たかっ...続きを読むたなぁ。

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Posted by ブクログ 2015年08月13日

遂に本編をもって、一連のドン・キホーテ作品が完結してしまう。

この事実はシリーズを通じて読んだ方にのみ訪れる寂寞の足音を痛感させるものだった。

ドン・キホーテは自らの狂気から目覚め、正気のうちに死ぬのだ。そしてこのことは、私たちが愛したのは、彼の狂気そのものではなく礼節と正義の心であったことを...続きを読む知らしめる。この主人公の旅は誰の心にも潜む狂気を暴いていく正義の旅だったことを知らしめるのである。

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Posted by ブクログ 2013年04月09日

全六巻に及ぶ冒険譚も遂に完結。ドン・キホーテはもはや旅籠を城と見間違えず、豚の群れを合戦場と勘違いすることもない。サンチョだって知己に富んだ発言が所々で顔を出す。もはや狂気に囚われているのは彼らを愚弄する側であり、それを期待する読者の方なのだ。故郷に帰ることで遂に魔法から解放され、自らの名前を取り戻...続きを読むすラストは感動的ですらある。著者の目論見通り騎士道物語は時代遅れのものとなり、中世は葬られ近代が始まる。小説は決して虚構なだけでなく、現実を更新するものなのだ。笑って泣けて批評精神に満ち溢れた、永遠の大傑作。

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Posted by ブクログ 2012年06月14日

 ドン・キホーテが騎士との決闘に負けて故郷に帰り、正気に戻って死ぬまでの話である。公爵のいたずらは入るものの、死はあっけなく終わってしまう。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2012年04月16日

狂気にあれば正気に戻れ、と言われ、正気に戻れば戻ったでそれはそれで狂気だ、と言われ。

最後は思わず泣いてしまった。
ドン・キホーテだけではこうはならなくって、サンチョがいたからこそ面白さが増しているんだと思った。

おかげで「諺」の多さを知ることもできた。

この本は結局「当時の騎士道文学へのアン...続きを読むチテーゼ」ってことなのか、なんかそれ以上のことも(テクニック的な)含まれているような。
本の中で自分の本が出版されていたり、セルバンテスが更に前の原作者を作って登場させていたり。

とにかく面白かった。
何度も読める本

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Posted by ブクログ 2011年04月03日

サンチョは夢であった島の領主を投げ出し、ドン・キホーテも一騎打ちに敗れて羊飼いになる決心をするが、正気に戻って死んでしまう。
偽作 ドン・キホーテ続編でドン・キホーテを精神病院に送り込んだ人物まで出てくるし、最後にはドン・キホーテ自身が物語の登場人物だということを自覚している。ニョルニールのように村...続きを読むに戻ってくるドン・キホーテはあるいは神話をなぞっているのかもしれない。SFとファンタジーの元祖なんだな。

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Posted by ブクログ 2023年08月25日

『ドン・キホーテ後編』最終巻。
セルバンテスは『ドン・キホーテ前編』で終わるつもりだったのだが、贋作が出回ったために反論のためもあり『後編』を書いた。そのため後編では贋作を否定する供述も多い。
さらに『後編』では「『機知に富んだ郷士ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ』(つまり『前編』)が出版されて世の...続きを読む中に出回っている」ということになっている。そのためドン・キホーテが会う人々は、ドン・キホーテは今出版されている本の主人公だと知っていて、本当にドン・キホーテは狂気と教養を持っているのかを確かめたり、騎士道舞台を設置してドン・キホーテをからかったりする。
この後編は「本の主人公のドン・キホーテは実在して旅をしている」という設定なのだが、さらに「贋作の登場人物の偽ドン・キホーテと偽サンチョ・パンサも実在して旅をしている」として、贋作を否定するという書き方をして…ややこしくなってきたな 笑
セルバンテス自身も「前編でこんな間違いがあると指摘されたけど、それはこういうことなんだよ」「前編はこのように書いたけど、後編はこんな感じに書くよ」とお断りも入れている。

❐サンチョ・パンサ領主の終わり
前巻で島の領主となったサンチョ・パンサだが、それは10日で終わった。もともと『ドン・キホーテ』の物語の読者である侯爵夫妻が、ドン・キホーテとサンチョ・パンサをからかうためにサンチョ・パンサを「島」と偽って村の領主に任命し、部下たちに「彼の様子を見たり、からかったりして、様子を報告するように。そして一定期間が終了したら領主を辞めるための悪戯を仕掛けるように。」と命じていた。
しかしその部下たちから追い出される前に、ある出来事を経験したサンチョ・パンサは自分から領主を辞めていった。
もともとサンチョ・パンサの揉め事裁きはお見事だったし、賄賂とも無縁だった(賄賂の受け取り方を知らなかったのかもしれない)。それは主君のドン・キホーテからの「判決に迷ったら慈悲の道を選べ」と言われたことを実施したため。
そんなサンチョ・パンサは「おいらは一文無しでこの島(本当は村)に来たんだから、一文無しで出ていくよ」と言って、あれほど望んだ島の領主を返上してドン・キホーテの元に戻っていく。

❐後編でのドン・キホーテ
侯爵夫妻の城から出てまた旅暮らしになったドン・キホーテとサンチョ・パンサだが、ドン・キホーテはどうも精彩に欠けるようになった。
 前編では旅籠を城と言い張っていたが、後編では「あの旅籠に泊まろう」と現実的な見方をしている。
 牛飼いたちに戦いを挑もうとするが、牛たちの下敷きになり慌てて逃げ出す。
 侠気のある強盗たちと知り合ったが、彼の前では精彩を欠いていた。
 恋のキューピットを務めたはずだったが、その後その男女は引き離されたとわかる。
 別の「引き離された男女」が出てくるのだが、ドン・キホーテはこの件には全く関与できなかった。
 キリスト教徒によるガレー船に乗ったら、トルコ人の海賊船の戦いが始まった。いつもなら張り切りそうなドン・キホーテだが全く関与できず。


※※※※以下ラストネタバレ※※※※


❐旅の終わり
「銀月の騎士」と名乗る騎士から「自分との決闘に負けたら、故郷に帰って1年間大人しく暮らせ」という挑戦を受ける。そしてあっさり負けてしまった。すっかり自信も希望も失ってしまったドン・キホーテは失意に項垂れながら屋敷に帰っていく。
帰ったときは仲の良い医師、床屋、そしてカラスコ学士相手に「みんなで牧人になって羊を飼って詩を作って暮らそう。みんなの牧人名も決めてあるよ」と言って、みんなに「まだ騎士妄想から抜け出ていないのか」と呆れさせる。読者としてはすっかり元気のなくなったドン・キホーテはちょっと寂しいのでこの懲りなさっぷり楽しくも思ったんだが、ドン・キホーテは熱病に倒れる。
ドン・キホーテは遺言で騎士道物語をすべて否定する。そしてセルバンテスはドン・キホーテ物語を完全な終わりとしてこの後どんな贋作が出ようとも、それらをすべて否定する。

すっかり正気に返ってすっかり死ぬ気になっているドン・キホーテにサンチョ・パンサが嘆き訴える。
<「いいかね、おいらの大事な旦那様、この世で人間のしでかす一番でかい狂気沙汰は、別にたいした理由もなければ誰に殺されるってわけでもねえおのい、ただ悲しいとか侘しいとか言って死に急ぐことですよ。さあ、お前様、そんなにぐったりしてねえでベッドから起き上がり、前に話し合った通り、羊飼いの格好をして野原に出かけようじゃありませんか。そうすりゃあ、魔法を解かれた、それはそれは美しくて豪勢なドゥルシネーア姫が、どっかの草むらからひょっこり姿を表さねえとも限らねえよ。」P408>
しかしすっかり正気に戻った元ドン・キホーテである善人郷士のアロンソ・キハーノは、そのまま死ぬのであった。
ここで、「みんなアロンソ・キハーノの死を嘆いたが、遺言で財産をもらった嬉しさは隠さなかった」と記載するのがセルバンテスなんだろう 笑


『ドン・キホーテ』前編では「なりきりコスプレで痛い目にもあったけど、やりたいことやったから本人は満足」だった。
それが後編では、ドン・キホーテ自身が騎士道への思い込みが薄くなったり、他人が見せてくる幻に振り回されたり、ドン・キホーテが他人に与える影響が弱まってしまっている。
セルバンテスとしては騎士道物語を否定したような終わり方なのだが、騎士になりきったドン・キホーテとサンチョ・パンサはとても好ましい人物だった。

なお、ミュージカルの『ラ・マンチャの男』では、ここで終わるのは舞台としてよろしくないと思ったのか、ドゥルシネーア姫である宿屋の女中が訪ねてきて、アロンソ・キハーノは最後の最後でまたドン・キホーテに戻り「見果てぬ夢」を思い出しながら息絶え、人々はそんな彼の夢を受け継ぐ…みたいにして終わっています。

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Posted by ブクログ 2013年02月26日

ドン・キホーテもこれで完読。公爵家を離れてからドン・キホーテの存在感はどんどん希薄になっていく様が何とももの悲しい。

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