【感想・ネタバレ】ドン・キホーテ 後篇二のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

物語のエスカレート具合はますますドン・キホーテとサンチョ・パンサの聖性を浮き立たせ、周囲の醜さ愚かさをあぶり出していく。特にこの後篇2はサンチョが物語の中心となって、光り輝く賢人ぶりを発揮するし、本物の冒険や城暮らしやサンチョの島?の統治があって盛り上がる。

0
2013年02月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 ドンキホーテとサンチョパンサが公爵の計画によって、騎士物語を実演させられることである。特にサンチョパンサが領主となるということである。そのいたずらの数々がとても面白い。

0
2012年06月10日

Posted by ブクログ

『ドン・キホーテ後編』は、『ドン・キホーテ前編』が実際に出版されているという設定で、ドン・キホーテ主従は人に知られた存在になっている。

❐読者と登場人物の対面!?
そんな『ドン・キホーテ』の読者である侯爵夫妻(名前は不明)は、ドン・キホーテとサンチョ・パンサと出会って「本で書かれている本人だ!果たしてあのなりきりコスプレ旅が本当の出来事なのか、そしてドン・キホーテは本当に狂人なのか」と興味津々、城に招待する。城では侯爵夫妻も使用人たちも彼らを本物の遍歴の騎士として歓待する。前編でのドン・キホーテは、宿屋を「城だ」と妄想していたんだが、その妄想が叶ってしまったわけだ。
ここでサンチョ・パンサの見解も語られる。「おいらは主人のドン・キホーテを極めつけの狂人とみなしてるっことなんですよ。でも主人は思慮深いところもあるしお喋りだって悪魔みたいに上手だし、なんといってもおいらと同じ村のお人で義理堅くていい人で、おいらはあの人が大好きなんだからね」P159あたり抜粋
前編からサンチョ・パンサは、賢いんだか単純なんだか、悪賢いんだか素朴なんだかよく分からん節もあったんだが、この心づもりで行動しているんだということが読者にはっきり示された。

❐侯爵夫妻がドン・キホーテとサンチョ・パンサにをからかう内容
●ドン・キホーテは、サンチョ・パンサの策略にひっかかり想い姫ドゥルシネーア姫が「魔法により醜く下品な百姓女に変えられてしまった」と思い込んでいる。そこで侯爵夫妻は召使いに扮装させた「ドゥルシネーア姫をもとに戻す方法を知っている魔法使い」に「この空飛ぶ木馬に乗ってこの司令を果たしなさい」と命じさせる。ドン・キホーテとサンチョ・パンサは目隠しして木馬に乗り、召使いたちが風を送り「おお、空の上はすごい風じゃ!」みたいに作られた大冒険をするのだった。
●前編から恋に悩む男女が出てきたが、ドン・キホーテの介入により彼らは結婚に繋がっていた。そのキューピット振りは後編でも続いていて、なんかこんがらがった男女関係がすっきりとまとまる様子が書かれている。ドン・キホーテは恋のキューピットが上手!?


❐サンチョ・パンサの島統治
前編でドン・キホーテはサンチョ・パンサに「この冒険の旅が成功したら島の領主にしてやる」と言って連れ出した。ドン・キホーテの物語の読者である侯爵夫妻は、サンチョ・パンサをからかうために彼を自分の領地の島(実際には村)の領主に任命する。ドン・キホーテは自分の従卒から独立して領主になるサンチョ・パンサに、領主として、人間としての心構えを解く。
 身嗜みや立ち居振る舞いはきちんとして、食べるものには気をつけろ。
 自分や召使いの服装は、飾り立てるよりも地味で働きやすいものにしろ。
 領主としての収入で6人の召使いが雇えるなら、雇うのは3人にして、残りの収入は貧乏人に回してやれ。その雇った3人こそが立派な召使いだ。
 人を家柄で判断するな。すると両方から恨まれることになる。
これがかなりのご立派な内容で「ドン・キホーテは、騎士道の話になると狂人そのものだが、基は高い教養を持ち理路整然とした考え方と話し方ができる」という二面性が強調される。
さて、島(本当は村)の領主となったサンチョ・パンサを迎える侯爵の部下たちは「今出版されている本の登場人物がやってくるので、彼の様子を見たり、からかったりして、その様子を侯爵様に報告する」ように命じられている。領主の仕事というのは、要するに裁判官というか住民の持ち込む訴えに答えを出すこと。そしてサンチョ・パンサのもとには、なんというか大岡越前落語のような事件が持ち込まれるんだが、これらを案外うまく解決してのけた。サンチョ・パンサは読み書きはできないが記憶力が良いということと、おそらく地元で農夫をやっていた頃から日常のゴタゴタは村人同士でうまい具合に解決していたという経験があったからだろう。
その「大岡越前裁き」を見た侯爵の部下たちは「この男は頭がおかしいのか賢いのかどっちなんだろう?」と考えることになるのだった。

❐他の出来事
●前編でドン・キホーテが漕刑囚を逃がす場面がある。読者としては「そんな極悪犯人逃さないでよ!」と思ったんだが…、その極悪犯人が再登場した。しかし逃亡犯のため殺人だの強盗だのはもうやらずに、詐欺芸人としてうまく世間を渡っているようだ。
とりあえず前編での心配は解決した…が、こんなにうまくいっていいのかという気もする^^;
●村のしょーもない合戦顛末
ドン・キホーテ主従は、驢馬の鳴き声真似のせいで勃発した村の合戦に助太刀しようとするんだけど、村人を怒らせてしまって襲われてしまう。
そしてドン・キホーテはサンチョ・パンサを見捨てて逃げ出してしまうのだった。ドン・キホーテ、やっぱり前編より大人しくなってるな。
●後編は、前編に対する読者の指摘や感想に答える形で作者シデ・ハメーテの言葉(正しく言うと、シデ・ハメーテの書き込みを編集したセルバンテスの言葉)が出てくる。
 記載ミスかと思われる箇所に対しては「それはこういうわけですよ」という解説。
 前編の後半ではドン・キホーテよりも彼が出会った人々の話がメインになっていたので「後編ではドンキとサンチョ・パンサのことだけ書くよ」とか。
読者としては、前編を読んでいた頃は「ドン・キホーテ主従よりも他の人の話が多いじゃないか!」とは確かに思ったが、いざドン・キホーテ主従のことしか書かれないとこれはこれでちょっと寂しい(苦笑)

0
2023年08月23日

Posted by ブクログ

ここまで前編とは違って、ひどい事件には巻き込まれていない。
しかし、からかわれ続けている。人格のまっすぐさは相当なもの。

0
2023年01月31日

Posted by ブクログ

ドン・キホーテが冒険を他の騎士の冒険だと自ら納得させてすんなり諦めたり、サンチョを置いて逃げ出して、後ろから銃で撃たれたらどうしようと冷や汗をかいたりと、これまでの遍歴の騎士関連の行動ではあまりみられなかった危機感を抱くようになっていて、狂気が薄れているのを感じる。

ドン・キホーテとサンチョで旅に出てからの経過年数の時間軸が異なったり、「前篇のドゥルシネーア」についてドン・キホーテが言及したり、原作者(という設定の)シデハメーテが読者に文句を言ったりと、これまで以上にメタ構造を利用した一冊になっている。

大半が、前篇を読んでいる公爵と公爵夫人が、騎士と従士を面白がるためにからかい倒す話で、サンチョがセルフ鞭打ちしなきゃいけなくなるシーンとか滑稽でにやにやしてしまう。だが、騙され続ける騎士と従士の素朴さに、公爵夫人たちの趣味の悪さを不意に感じて、公爵夫人たちの意地の悪さは、滑稽だが真っ直ぐな主人公たちを意地悪く面白がる読者を暗喩しているのではないかと思った。

下記は、ドン・キホーテとサンチョ・パンサの関係性が表れてていいなぁと思った一節。

150
要するに、拙者はそういう彼がたいそう気に入っているので、たとえ大都市をひとつ付けてやると言われても、彼をほかの従士と取りかえるつもりはありませんのじゃ。

0
2022年11月01日

Posted by ブクログ

ドンキホーテの狂気を楽しむために周囲の人が彼の話に乗ってあげるのが定番のパターンですが、なんと今回は前編を読んでファンになったとおる公爵夫妻が、費用をかけて彼の冒険をお膳立てするという展開に。面白くないはずがありません。

特にサンチョがついに領主になるくだりが最高です。サンチョがいつの間にか諺キャラになって知性がアップしていましたが、その彼が村民の相談を受けるシーンは特に好きです。

0
2022年07月05日

Posted by ブクログ

公爵夫妻が名高いドン・キホーテたちをからかうために金と腕によりをかけて冒険を演出する。
ドン・キホーテ主従は役を演じることになりますますメタフィクション性が高くなっている。

0
2011年03月24日

「小説」ランキング