【感想・ネタバレ】プロメテウスの罠 7 100年先まで伝える! 原発事故の真実のレビュー

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Posted by ブクログ

この本は2014年に発行されており、震災から3年が経っている。震災直後からの混乱に加え、原発事故による被害がますます拡大して行く様子がわかる。そこに暮らす人たちの葛藤は深い。東電の無責任体質と国の縦割りの支援金、あげればキリがないが、これはまだ未解決のことだ。まだ被害は続いているし、これからも解決に向けた努力は必要だろう。無かったことにはできないのだ。
しかし年月が経つにつれて風化し、支援金なども打ち切られて行く。それは今なお起こり続けている。「復興五輪」などと銘打って行われた五輪は一体この人たちの何の役に立ったのだろうか。日々問い続けなくてはならない。

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2021年09月01日

Posted by ブクログ

福島県飯館村。2011年3月11日の東日本大震災の発災後、1か月
が経った4月11日に国から計画的避難区域に指定された。

「村を出るなら死ぬ」。全村避難が報道された後、村の最長老で
ある102歳の男性は一緒に暮らす家族に呟いた。生まれ育った
村だ。男性は一度も村を離れることなく、102年を村で生き
来た。

家族に呟いた言葉通り、男性は自宅で自死することを選んだ。
102歳の高齢者が、自らの首をくくる為にコンビニ袋をよる
なんてことがあっていいのか。

原発事故がなければ、家族に囲まれ自宅で天寿を全うしたで
あろう人だ。こんな現実があっても、後に弁解をしたものの
自民党・高市早苗は「原発事故で死者は出ていない」と発言
した。

本書では取り上げられていないが、この男性以外にも被災地
では「私はお墓にひなんします」との遺書を残して、やはり
自ら命を絶った93歳の女性がいる。

これらの事例は原発事故による死者ではないのか。全員とは
言わないまでも、結局は政治家なんてこんな意識しかないって
ことなんだよな。

放射能は見えない。匂いもない。だから、余計に不安にもなる
し、恐怖感もあるのだ。それは身体的な影響はもとより、人の
心さえも蝕む。

福島市では地元の米を学校給食で使用する決定に保護者も地元
農家も揺れる。日本各地から福島県立医大に集まった被曝治療
の専門家たちは、情報の不足、安定ヨウ素剤服用の是非等で
困惑を抱える。

朝日新聞朝刊連載記事の書籍化の第7弾となる本書は、放射能
という姿が見えないものに翻弄される人々の姿を取り上げて
いる。

飯館村に残ることになった高齢者介護施設、地元に密着し
多くの顧客に愛された小売店の再開までの道のり、被災地
で活動を続けた弁護士。皆、極限状態の中で道を模索して
いる。

だから余計に国と東京電力に怒りを覚える。「汚染水は
完全にコントロールされている」と世界に向かって嘘を
吐いた首相がいる。どこがだ?今でもダダ漏れじゃないか。

国策で原発を作りながら「いざ」という時をまったく考えず
突き進んで来たんだよな、この国は。

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2017年08月20日

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