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Posted by ブクログ
花に染む 心のいかで残りけん 捨て果ててきと思ふわが身に 西行
花染町を舞台にした『駅から5分』のスピンオフ。
『駅から5分』にちょこちょこ出てくる謎の美少年、
圓城陽大(えんじょうはると)の生い立ちと過去が、
主人公の宗我部花乃(そかべかの)の視点で語られます。
隣りの神社の次男坊、陽大が流鏑馬行事で弓を引く姿に憧れ、
弓道を習い始めた花乃。
陽大の兄、陽向(ひなた)と3人で弓道に励みます。
陽大と花乃は「親友」になりますが、
神社で起きた火事を機に離ればなれになり……。
というドラマチックな物語。
もう引き込まれまくって、1巻だけ何度も何度も読んでしまいました。
まず、陽大は神社の次男坊で弓道をやっていて…という和な設定に、なんともいえない凛とした空気があります。
どういうわけか過去を切り離し、人が変わったような陽大と、
怪しげな年上の従姉、雛(すう)。
そうだ、あれは「サヨナラ」だったんだ
これからずっと ハルトガイナイセカイ
ってところ、涙がこぼれてしまいました。
そして、冒頭の西行の和歌です。
花に染む
心のいかで
残りけん
捨て果ててきと
思ふわが身に
過去の思い出を捨てた陽大が、
高校生になった花乃とすれ違ったときに
どうしてまだ、花の美しさに心惹かれるのだろう…
すべての執着を捨てたはずなのに
と西行が詠んだこの和歌が出てくるのです。
陽大は花乃に惹かれていると思うのだけど、
何だかいろいろ事情があるみたいで
過去をなきものとして振る舞います。
因縁めいたもの、幼なじみ、格式のあるものを用いた背景などなど、
名作『いつもポケットにショパン』を思い出させます。
吉田秋生の『夜叉』なんかの怪しげな雰囲気もあるし。
あと、聖千秋の『サークルゲーム』みたいな感じもあるなぁ。
いや〜、しかし弓道ってかっこいいねぇ。
空気が静まり返る感じや、緊迫感。
うちの高校にも弓道部あったから、
見学しに行けばよかったなぁって思いました。
謎を明らかにしながら、
きっと『駅から5分』に繋がるだろう展開。
はぁ〜これぞ漫画だわ。
久しぶりに、続きが楽しみすぎる漫画に出合って幸せです。
染む1
う~ん。予想外のせつなくて謎を含んだ展開に、ハラハラドキドキですね~。弓道って、独特の雰囲気というか、カッコいい世界ですね~。