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Posted by ブクログ
この巻では、様々な理由で犯罪に手を染めてしまう侍を見つめる平蔵のまなざしが印象的だった。
『あばたの新助』
平蔵の部下の一人が、女盗の色仕掛けに抗えず、盗賊の手助けをしてしまう。部下は、責任を取って女盗を捕え、自害しようとするが、盗賊達に殺されてしまう。火盗改メの一員が盗賊に手を貸すというのは前代未聞の御法度だが、平蔵は残されたも者達に配慮し、その部下を名誉の殉職として周りに伝える。
『夜鷹殺し』
実直でまじめな侍が、悲しみと絶望と憎悪によって異常殺人鬼に変貌してしまう。その姿をみた平蔵は、「人のこころの底には、なにが、ひそんでいるか、知れたものではない」と言い、「ひょんなことで、このおれだとて」とまで言う。そして、そのような殺人鬼に対しても、その最期まで武士としての誇りを守るチャンスを与える。
人間の弱さを認め、その死に様を無下にすることをしない鬼平の振る舞いに瞠目。